シャーリー『─もうやめたのよ占いは…未来なんて知らない方がいい…』

未来がわかるようになった人生は、 不老不死になった人生や、 透明人間になった人生と同じで、 もしかしたら楽しいのは刹那的なものかもしれない。 そのうち、虚しくなる。 未来を知ったことで偶然の出会いやラッキーな出来事に、もうドキドキしなくなる。 例えばこの世が破滅してしまうことを知ってしまったり、 何かを知ってしまったことでそれについて突き動かされ続ける人生を強いられる。 人と同じように気楽ではいられない。

 

そう考えると、その特殊な能力を手に入れたことは、幸か不幸かわからない。不老不死になったことでたくさんの友人が死ぬのをその眼で見続けなければならない。 話しも永久に若い人間に合わせ続けなければならない。 いずれ自分と話が合う人間が、この世には一人もいなくなる。そう考えると、その特殊な能力を手に入れたことは、幸か不幸かわからない。 透明人間になってやることは何だ。 虚しくなってこないだろうか。そう考えると、その特殊な能力を手に入れたことは、幸か不幸かわからない。

 

 

先のことなどわからない。わからないこそ、わくわくするのだ。 人はいつか死ぬ。儚いからこそ、尊いのだ。 人間の出来ることには限界がある。あるからこそ、それを引き延ばそうとする強い力が生まれるのだ。