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ゾロ『もし死んだら殺してやる…』

私もよく、臆病な人達から煙たがれたり、怖がられたりする。もちろん、尊敬されたり、羨ましがられたり、嫉妬されたりもするが、いちいちそういう人間の本性を見るのは嫌だから普段は『無』でいることが多かった。どれだけ『無』かというと、18歳のときは電車で喧嘩を売られても微動だにせず殴ってくるまで待ち、(殴ってこなかったが)結婚式では私の噂を聞いて敬語を使ってきた親せきに気を使い、『自分はとても気さくで話しやすい』と演じた。

 

悪友との間では、難しい話をするよりもふざけた方が受け入れられるので、自分の『本性』は押し殺し、『ピエロ』になった。それなら、私は怖がられない、煙たがられない。相手が、喜ぶ、助かる、顔が立つ、メンツが保たれる。だが、そうするとそうするで、デメリットがあった。喧嘩を売ってきた少年は調子に乗って勘違いが助長したし、親戚の人間は最初に敬語を使って怖がっていたのに、(なんだ、大したことないな)と、見誤る方向へ行ってしまい、逆に私を見下し始め、言われの無い罵倒や揶揄をし始め、自分が以前私に敬語を使ってしまったという情けない出来事の、採算を合わせることを考えてしまった。

 

彼らの為にピエロを演じたのに、悪友たちは、それを私の等身大だと勘違いし、私がたまに真面目なことを言っても『冗談だ』と決めつけられ、笑われるようになってしまった。そして、本来であれば彼らが行う誕生日会、夏休み、年末年始の旅行等のイベントを率先して企画し、常に集団を統率していた私の貢献度からいっても、私の意見に耳を傾けるべきなのに、ある悪友はこう言った。

『お前、自分が特別な存在だと思ってんじゃねえの?』

 

彼が私にそんな口をきくのは初めてで、それまでは顔色をうかがうような人間だったが、それは私が、彼ら悪友との距離を置き、2年が過ぎた頃だった。つまり、彼は私にもう『用済み』の烙印を押していたのだ。だが私はハッキリと覚えている。池袋のデニーズ、旅行の帰りだ。5年前、私が皆の為に仕事を頑張って金を溜めて、月1000万円くらいの利益を出せるようになったら、皆を海外旅行に連れて行くと言ったら、その人間はこう言ったのだ。

『おう。頼むぜ。そうしてくれよ。』

 

自分の彼女といちゃつきながらそう言った人間が、その3年後、私にそう言い捨てたのである。もう一度言おう。彼は私に、『用済み』の烙印を押したのだ。俺が求めているのは『ピエロ』だ。『ピエロの本性』じゃねえ。こっちをもてなせないんだったら、俺はお前の言うことは聞かねえ。…こういうデメリットだ。これらの経験を持つ私が出した答えはこうである。

『どっちみち人との対立や軋轢は避けられないのであれば、自らを偽り、同調し、追従し、あるいは中途半端な情けをかけるよりも、等身大の自分で生き貫き、生まれる”それ”の方が、腹が決まりやすい。自分を偽ってはならない。自分が正しいと思うことをしなくてはならない。”人の為に”とか、そういう言い訳をしてはならない。金?ダイヤモンド?それよりもはるかに価値のあるもの、それが、過去未来永劫、唯一無二の、我々の人生だ。誤解を恐れるな。軋轢を恐れるな。我々はたった一度の人生を生きているのだ。』

 

byエレノア・ルーズヴェルト

 

『もし死んだら殺してやる…』

 

4年ほど前から、私はそうやって『他人の為に』という言い訳をするのをやめ、自分の人生を生き貫く責任を重んじるようになった。長く連れ添った悪友も当然、その他の一切の私を『誤解』している人間との距離が空いたのは、当然、その決意と共に自然発生する現象だった。そのときに別に、『誤解』していない人間、つまり『正当な評価』をしている人間がいれば、別に距離は空かないはずだったが、空いたのだ。ものの見事に全員と。彼らは『私』と向き合っていたのではなく、『私が演じるピエロ』と向き合っていたのだ。その中でも私を信頼していた後輩が何人か私の会社に入ったが、一人は私に求めていたものとのギャップについてこれず逃げるように退社し、もう一人は『今までは社長の10%も理解していなかった』とつぶやいた。

 

当時、メールで文字を最大にし、四の五の言わずにやることをやれやとよく言ったが、退社したような人間はその意味を、こう履き違えたのだろう。

『社長は俺を責めている。社長は俺を嫌っている。社長は俺を押しつぶそうとしている。社長は俺を否定している。俺なんかいてもいなくても変わらないんだ…』

 

実に残念だが、半分当たっている。私は男のくせに慣れ合ったり、女々しい態度をとったり、表裏的だったり、背信的だったり、自分にも他人にも厳しく出来ないような奴は、 “嫌い”だからである。だが彼は女々しくも、”自分の存在自体を否定された”と思い違いをしたのだろう。私はそんなこともいちいち説明しなければならないような奴とは、仕事はできない。ピエロ時代(常に人を笑わせ、幸せにし、貢献することを主とする)の私を等身大だと思っていたのであれば大間違いである。一流で働くビジネスマン、男だらけの体育会系出身や、軍隊で訓練する男どもから言わせれば、そいつのとった行動など、『情けない』の一言である。

 

『女々しい男』と仕事をするくらいなら、『女性らしい女性』と仕事をしたほうが1億倍マシである。『男は、男』なのだ。男らしく、ガタガタ言い訳せずにやるべきことをやるべきなのだ。

 

それから4年経った今、今週号のPRESIDENTにはこう書いてある。

偉くなる男、ダメな男の見極めポイント私は年収2000万~5000万円レベルの経営人材を日常的に目利きしている。彼らのキャリアを振り返ってみると、30代で勝負の大方はついているように感じる。(中略)退路を断ち、リストラ遂行などの厳しい局面を責任ある立場で経験し、他人の気持ちがわかるリーダーへと成長する人を私は何人も見てきた。修羅場を乗り越えることで一皮むけるのだ。

 

体当たりの経験を積んで大化けする人がいる一方、『伸びない人』は『自分が何に向いているかわからない』と、いつまでも足踏みしてしまう『キャリア迷子』に陥りがちだ。経験の場を失うことになりもったいない。つべこべいわずに目の前の仕事に真剣に取り組むべきだと思うが、『つべこべタイプ』が意外に多い。(中略)OJTに勝る学習は無いのだから、まずは目の前の仕事に打ち込みたいものだ。』

 

(OJT…on-the-job training。職場での実務を通じて行う従業員の教育訓練。)時間を無駄にしてはならない。”聞きたい意見”ではなく、”聞くべき意見”に耳を傾け、人生を邁進するべきである。ここからが本題である。小さなことでガタガタ騒ぐような奴と一緒に居ても、ろくなことにはならないのだ。そういう奴に自分の人格を”同調”させるくらいなら、己を貫き、それに”共鳴”できる人間をつくるべし。波の少ない浅瀬も確かに”海”だ。だが、神秘で未知なる深海も、サイクロンに轟く荒波もまた、 “海”なのである。

 

『死んだら殺すぞテメエ』浅瀬に居る人間がこういう言葉を使うだろうか。使う度胸がないのだ。普段から傷をなめ合う彼らには。『なめ合わなければ死んでしまう』…とでも思っているのだろう。だが、それはただの勘違いである。その証拠に私は、4年前『僕は現実逃避をして生きていきます』という信じられない言葉を放った社員と全身全霊で向き合い、本当にわずかだが、彼の成長を確認することが出来ている。今でも一人前には程遠いレベルだが、当時のそれからすれば、確実に成長しているのだ。

 

それは私が、この世の厳しさを、口で、手で、足で、OJTで、死ぬ気、殺す気、思いっきりぶつかってきたから以外の、なにものでもない。『死んだら殺してやる』この言葉の背景にある信頼関係を見抜けないのであれば、この人生で、三流にもなれないだろう。

 

 

Vアニメ「ワンピース」15周年記念!15の名場面で綴る感涙PV

※画像は以下の参考文献から引用しています。

 

一言

この記事は2009年に書いたものです。とても未熟な時期に書いたものなので、いずれまた修正いたします。またこの記事は運営者のワンピースに対するリスペクトの想いから書いていますが、もしこの画像の著作権が問題になる場合は、画像をすぐに削除いたします。