サンジ『料理人は手が命、戦闘で傷つけるわけにゃいかねぇんだ』

他人に対し、『彼（彼女）はああいう行動を取るなんて、全く愚かだ』という感情がよぎったときは、自分の無知を思い知るべきだ。なぜ取るかって？理由もなくその行動を取るとでも思うのだろうか。

 

以前私の周りで、こういうことがあった。私の友人は、自分が好意を抱く女性が、気性が激しくて、すぐに喧嘩を始めてしまうような輩であり、それは、この私にも同じように接してくるだろうと豪語した。私はそうは思わなかったし、長年付き合っている友人の無知や、私への理解の少なさに失望した瞬間だった。

 

ある日、とうとうその彼女と私が対面する時があった。確かに、想像通りの性格や態度を見せた。だが、私からすれば、普通の『女性』だったのだ。紐解けば、彼女は漢に暴行されかけた経験があるという。彼女の気持ちになってみればわかる。女性らしくふるまい、大人しくし、色気でもだした刹那、またそういうことになってしまうのではないかと、不安なのだ。だから、自分を守るために、そういう態度を取っていたのだ。

 

私は老若男女、差別することなく、納得のいかない相手とは対立する。そのときも、一触即発の空気が流れ、周りの人間は冷や冷やしていた。周りにいた友人は、私と彼女の性格の両方を、知っていたからである。だが、私は彼女の態度の背景にある理由を汲み取り、次の場面、彼女が重い荷物を持とうとしたとき、私が彼女の荷物を持つと、彼女は最初は照れ臭そうに、素直になれずに、

 

と言ったが、間髪いれずに私が、

 

と言うと、素直に荷物を私に預けたのだ。その瞬間、私と彼女との間の一触即発の空気は消え去った。

 

 

人には”理由”があるのだ。