タバコ依存症の人間
喫煙者は、タバコ(ニコチン)に依存している。
(PRESIDENT8月号参照)
その依存レベルは、KING OF ドラッグのヘロインや、罪悪感の薄いアルコールを押さえ、一番高いと言われているのがタバコである。
タバコに含まれるニコチンは、強烈な薬理作用で脳のドーパミン神経を刺激し、ドーパミンを無理やり放出する。
ドーパミンとは、幸福感を感じさせる脳内物質であり、食事、運動、衝動買い、問題解決、仕事達成、SEX、ドラッグ、実に様々な場面ですべての人間がドーパミンが放出されている状態を体験しているはずである。
そのため、
ドーパミン=幸せ
だと、短絡的に結び付けてしまう人も少なくない。だからこそ、『依存症』という概念が存在するのだ。
アルコール依存、ドラッグ依存、ニコチン依存、SEX依存、買い物依存、ドカ食い、過食症、仕事人間、ストイック、これらの人間に起こる症状には、そんな問題が深く関係している。
ニコチンを吸っている人は、自分の力でドーパミンの出せなくなってしまっている。
だから、手っ取り早くニコチンを身体に投入し、幸福感を得ている。
私の周りにもタバコをやめられないと言う人が何人かいるが、彼らの共通点は、皆、
『他への貢献心』が薄い、『受け身』、あるいは、『自分の欲望を満たすことを優先』してしまう、自分本位な人間が多い。
タバコに依存している人は、タバコのおかげでリラックスできていると勘違いをしている。実際には、タバコさえ吸わずなければ、ニコチンが切れ、
『吸いたい(落ち着きたい)』
というイライラが襲わないので、吸おうとも思わないのだ。吸っていなければ、ずっとリラックスしていられたのに、刹那的な『安息』のためにニコチンを投入し、それと引き換えに、 ”依存体質”を作りだしてしまったのだ。
そう考えれば、タバコをやめられない人に、刹那主義の快楽主義、自分本位な人間が多いこともうなずける。
『依存症』の人をWikipediaで見ればわかる。
依存症の人の共通点は、『私は依存症ではない』と正当化している人間が多い。
だが、本当に依存していない人間は、自分に厳しく、他人に優しくあるものなのだ。
自分の非を認めることは、一番難しい。だが、始めるとしたら、まずはそこからなのだ。
by:一瀬雄治 (Yuji Ichise)
サルベージエンタープライズ株式会社代表取締役社長。
1983年、東京都生まれ。