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人間主義(ザッポスの奇跡)


『人財』という概念は先日書いたが、それを最も重んじている会社がある。

『ザッポス(The Zappos)』。

それは、年商10億ドル(約1000億円)を売り上げる、靴の通販サイトを運営する会社である。

この会社は、人材こそ最も貴重な財産として、個の唯一無二を最大限に活かす努力をしてきた会社だ。2009年の7月22日に、『Amazonがザッポスを買収した』というニュースが駆け巡った時、アメリカの流通業界関係者の間に激震が走った。

それは、Amazon、ザッポス、の2社は、いずれも『最高の顧客サービス・エクスペリエンス』をビジョンの一つに掲げながら、対極的なアプローチをとってきたからだ。Amazonは『ITシステムのつくりこみで、人の介入を最小化し、サービスを制する』というアプローチ、ザッポスは『ITの力と人の力の、それぞれの長所を最大活用して、最高のサービスを提供する』というアプローチである。

 

Amazonは年商190億ドル(約1兆9000億円)超の『ネットの巨獣』、かたやザッポスはやっと10億ドルを超えたばかりと、規模の上では大きな開きがあるものの、それぞれのアプローチにおいて、両社とも唯一無二の地位を築き、顧客の熱烈な支持を得ている。一見すると、巨獣Amazonがザッポスという一会社を飲み込んだというようにも解釈できそうだが、実際は一方的に『飲み込んだ』というよりも、お互いが理解し合い『結婚した』という表現が的確だと言う。ザッポスは、Amazonが喉から手が出るほど欲しがる何かを持っていたのだ。

それが、『人財』を重んじる、『価値創造型』の概念だった。

ザッポスでは、『80対20の法則』を打ち破ろうとする考え方があり、一部の人間が主役の『利益追求型』の会社ではなく、全員が主役の会社を追求している。ワークライフバランスなどナンセンスだとし、会社を遊び場にしてしまっている。

 

だが、だからこそ、安易な考えの、『気持ちがない人』は入社できない。『人材』選びには、徹底しているのだ。ザッポスの会社風景は、型物の日本人ビジネスマンには理解できないだろう。
ピンク色の髪に、無数に開けられたピアス、タトゥーが掘られた腕は、奇抜な私服によって露出されている。
ここでは、私の髪色が茶色いということは、何の障害の対象にもならないのだ。

 

私は10代のころから、『髪の毛が黒くないからと言って面接に落ちるような会社』には入るつもりは全くないと考えていた。
お洒落もボディメイキングも、自分の表現。好きな表現方法を我慢してまで人生を生きる意味など、あるものかと思っていた。

 

人間はどうせ死んでしまう。制限は、それだけで十分だと思っているのだ。見た目や外見云々ではなく、もっと重点を置かなければいけないことがあるだろう。ザッポスのような会社が成功していることは、私にとっても朗報である。

 

この会社を強いて言うなら、『人間主義』だと思うのだ。個性も社員も、顧客も、最大限に重んじている。私もこの会社の考え方には、大いに賛同したいと思っている。経営者として利益を追求しながらも、人間として、強く優しく生きていきたいと思う。どこまで行けるかわからないが、どこまでも行けると信じて、今日もやるべきことを努力しよう。

 

 


by:一瀬雄治 (Yuji Ichise)
サルベージエンタープライズ株式会社代表取締役社長。
1983年、東京都生まれ。


人間主義(ザッポスの奇跡)

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