自我を立て直すための処方
ある事業で成功した夫婦が、その蓄えたお金で長期の休養を取り、
その間にバランスを崩してゼロに戻ってしまった。
召使まで雇っていたはずなのに、解雇し、食事や洗濯を自分たちで
やらなければいけなくなった。
洗濯をしている時に、ふと男が気付いた。
これは、(ナポレオン・ヒルの)PMAプログラムの中で言及している
『間違い』の行動だ、と。
つまり彼は、『自我に栄養を与える』ことなく、
『自我を飢えさせていた』のだ。
それからの彼の行動が興味深い。
お金がないのに高価な物を揃え、いわばモチベーションを上げるという行動に
出ている。つまり、『自我に栄養を与えた』のである。
彼は自分にご褒美を与え、自信と幸福感がわいてくるのを感じた。
そして、彼はまた成功の方向へと立て直すことができた。
この根本にあるのは、自我をコントロールするということ。
自我を支配する最高司令官になり、自分という国の領主になる。
自分で自分の人生の舵を握り、必要なものを満たしていく。
一国の王となれば、そのように振る舞うだろう。
自分はもう不足を感じていない。
自分は物と心の双方の豊かさに向かって、ためらわずに進んでいる。
自分は恐れを知らない。
自分の心は、恐怖から解放されて自由になったのだ。
輝かしい自由を持ち、好きなだけよい報いを受ける人生を生きることができる。
消極的な心構え(NMA)を持って、消極的に生活していると、
人生そのものが消極的になってしまうのだ。
PMAとは『積極的心構え』という意味である。
NMAの『N』は、『ネガティブ』、PMAの『P』は『ポジティブ』だ。
人はPMAを抱くと、不思議と自分の思い通りの人生を生きることができる。
これは魔法でも宗教的な話でもなんでもない。
いわば、説明書のない人間の、『仕組み』という概念にもなりうる。
俺自身、よく自分にご褒美を与える。
自分の欲望は、満たしながら生活をしている。
ある節税の本には、『経営者の欲望をコップの水に例え、そのコップに水を
満たさなければ、水がこぼれず、周りの者が潤わない』と書いてある。
綺麗事は言わない。自我を満たすということは、大切なことなのだ。
経営者になってからというものの、当然収入が何倍にもなったし、
一般の人以上はお金を持ち、生活ができている。
無論、まだまだ氷山の一角ほどの資産しかないが。
そんな俺も、家賃の高いマンションに住みだしたとき、この彼のような
考え方があった。
彼と同じ。お金に余裕があったわけではなかった。
しかし、あえて引っ越したのだ。
つまり俺のモチベーションはこのマンションに住んだときから、一気にヒート
アップし、仕事に全力を費やせたのだ。
名古屋にいるときは4畳半のアパートだった。
金沢にいるときはコンビニの往復で1時間かかっていた。
しかしその後は、新卒の人はとても住めない場所に住めるようになった。
こういった崇高な環境が、自分のモチベーションを高めてくれる。
4畳半のアパートで『節約、節約』とひしめき合いながら経営することもできるが、
やはりやる気が全然違う。
100%、いや、120%の力を引き出すことができる。
それに、ずいぶん前から、今の何倍もの家賃のマンションへ引っ越したいという
考えさえ、起こっている。
つまり、物もお金も環境も心構えも、何もかも水準が高くなってきているのだ。
ここ数年の買い物と言えば、一見生活には必要のないようなものが増えた。
たとえば、限定アイテムとか、限定Tシャツとか。
それが『無駄遣い』かなと気になっていたのがあったが、この彼の話を見ると
一概にそうとも断言できない。
どんな経営状況でも、映画や旅といった娯楽の時間は確保し、NMAを
持たない。
むしろ、俺の帳簿にはこう書いてある。
『支出を減らすな!収入を増やせ!』
この考え方は、この彼の考え方と同じ考え方が根本にあるのだ。
つまりこれは、
(NMAを持つな!PMAを持て!)
と言っていることと、同じ意味だったのだ。
そして俺自信、実際にその考え方で自分の生活水準を上げたし、今もなお、
続行している。
そして、これからもっともっと水準を上げるつもりだし、
事業で大成功したとしても、この考えをキープしていくつもりだ。
これが、アンドリュー・カーネギー、ナポレオン・ヒルの提唱した
『成功哲学』、『PMA』だったのだ。
今後、ますますの会社の発展を作り上げるために、どんな過酷な試練にも負けず
俺がPMAを持ち続けることは、言うまでもない。
by:一瀬雄治 (Yuji Ichise)
サルベージエンタープライズ株式会社代表取締役社長。
1983年、東京都生まれ。