お金と器と成長と
兼ねてから芸人がよく口にしていた、
『売れるためにはわざと高い家賃のマンションに引っ越し、自分を追い込むと売れる、というジンクスがある』ということ。
あの言葉の背景には、松本人志がいたということがわかった。数々の芸人が口をそろえてそのセリフを言うということが、その確証を裏付けている。
そうか、松ちゃんだったか。
よかった。間違ってなかった。
なぜなら私も23歳の頃、リスクを恐れず、同じことをしたからだ。
そして、
代償の法則、
潜在能力の活性化、
自己防衛本能、
火事場の馬鹿力、
の原理で、結果を生み、危機を乗り越えることができた。
その考え方は、今も変わっていない。同じ考え方で、何度もピンチをチャンスに変えてきた。
松本は、釣銭を気にした後輩に言った。
『ケチケチと小銭儲かってどうすんねん』
私はその考え方に賛同する。
よく、飲み屋のキャッチと意気揚々と交渉し、
1000円レベルの値引きをしている友人を見かけたが、私にはそれができなかった。そんなことするぐらいなら、自分の給料を1万円でも上げる方法を考えた方がいいと思っていたからである。
また、満員電車が嫌いな私は、通勤を通して、仕事が嫌いだった。
ある上司は
『満員電車は社会人として当たり前だ』
と言ったが、私はそうは思わなかった。
(通わなければならないのであれば、タクシーで通勤する手だってあるだろう。
あるいは、近くに引越せばいいじゃないか。)
この考え方で、私は自分で会社を立ち上げ、自分の家を会社にし、
満員電車に乗ることはなくなった。
よく主婦が、近所のスーパーの10円単位の割引や、マイル、ポイントカードの要領を突き詰めることに躍起になっているのを見るが、そういう小銭の管理の支配で満足感を得るのは危ない。
なぜなら、車や家や、生涯賃金といった、スケールの大きい、本当に集中しなければならない勝負の時に、本領を発揮できないからである。
小銭に慣れた彼らは、本当に見極めなければならない何百万、何千万という単位のショッピングの時に、大きな損をする場合があるし、守りにばかり気を取られていると、いわゆる『機会損失』を起こす可能性が非常に高い。
ローンで買う車や家を、『資産』と考えるか、『負債』と考えるか、レベルの高い環境にて無理矢理でも生活することを、『無謀』と考えるか、『投資』と考えるか。
一つだけ言えることは、もし、自分の器というコップに、たっぷりとした水を入れ、人生を潤わせたいのであれば、水というものは、自分の器以上にはたまらないようになっているということに、先に気づき、せっかく入れた水が、欲張りにこぼれてしまわないように、先にやるべきことを考える必要があるかもしれない、ということなのだ。
by:一瀬雄治 (Yuji Ichise)
サルベージエンタープライズ株式会社代表取締役社長。
1983年、東京都生まれ。