いくつか質問があるんだけど、わかりやすく簡潔に教えて!
1.宗教はもっと前からありましたが、ちゃんと体系化したものは『バラモン教(ヒンズー教)』という答えがベターです。
2.インドを支配したアーリア人が、その支配のために階級制度(ヴァルナ制)を設けたのが発端です。
紀元前1500年頃、アーリア人が侵攻してきてインダス文明は滅亡しました。
インドの新しい支配者となったアーリア人が、支配のために『ヴァルナ制』という厳しい階級制度を設けます。最初にインドに住んでいて、征服された人々(ドラビダ人)は、『奴隷(シュードラ)』となり、アーリア人はもちろん支配する側に回ります。つまりこのヴァルナ制は、アーリア人がその地位を維持し続けたいという理由で作った理不尽な階級制度なのです。そしてそれがヒンズー教の『カースト制度』へと受け継がれます。つまり、カースト制度によって行われた身分差別の大元は、『アーリア人の越権行為』だったのです。
宗教に関しては、元々あった民間宗教→アーリア人のヴェーダ教→南部インドのドラビダ教→バラモン教といった形で、小さな民族宗教や神話が交じり合っていき『バラモン教』となり、それに反発する形で、
が誕生し、バラモン教に民俗信仰や仏教が融合して『ヒンズー教』が生まれたという流れです。
上記までにユダヤ教、キリスト教、イスラム教についてまとめたが、今回から『ヒンズー教』だ。ヒンズーというのはインド語のサンスクリットで『インダス川』を意味していて、同時に『インド』という意味でもある。であるからして、ヒンズー教というのはインドの宗教だ。だが、インド人というのは中国に次ぐ人口があり、それゆえ、世界で3番目に多い宗教がこのヒンズー教になる。
人口は現在12億人程度で、2100年頃には18億人になると考えられている。
ヒンズー教は世界最古の宗教だが、厳密に言うとそれは『前段階』の体系が世界最古ということになる。
上記の記事にも書いたように、インドの神話は大きく分けて2つに分けられる。それが、
の2つである。ヴェーダというのは『知識、宗教的知識』という意味で、現在4種類のヴェーダが残っている。
アタルバヴェーダ | 災いの免除などを願う呪術 |
リグヴェーダ | 神々を祭祀の場に呼び込む請願 |
サマヴェーダ | 祭祀の時、神々に捧げる |
ヤジュルヴェーダ | 祭祀の進行 |
ヴェーダ神話には数え切れないくらいの神々が存在するが、もっとも有名で重要な神は雷神『インドラ』である。
これはアーリア人が信仰していたのが『太陽、火、雷』だったからだ。それぞれの神がいたのである。
紀元前2500年頃、世界には『四大文明』が興る。
ヒンズー教が生まれる前、つまりインド近辺のインダスには、大きな文明があった。しかし紀元前1500年頃、アーリア人が侵攻してきて、その地は滅亡する。インドの新しい支配者となったアーリア人が、支配のために厳しい階級制度を設ける。このアーリア人の作った階級制度(ヴァルナ制)が、インド地域にとんでもない負の連鎖を生み出すようになるのだ。『カースト制度』である。
出典:http://lucky2zacky.jugem.jp/?eid=813
上から順に、
である。(バラモン・クシャトリヤ・ヴァイシャ・シュードラ・ハリジャン)。しかし最初は『王族(クシャトリヤ)と『平民(ヴァイシャ)』の2つだった。その後、バラモン教が発達し、その影響で『司祭(バラモン)』がクシャトリヤよりも高い身分となる。
ヒンズー教神話
創造の神 | ブラマ |
維持の神 | ビシュヌ |
破壊の神 | シヴァ |
ちなみにバラモン教が『ブラマン教』とも言われるのは、この創造神ブラマの存在があるからだ。ヒンズー教には実に『3億3千万』の神々がいるが、その最上位に君臨するのがこの3神なのである。
そして、最初にインドに住んでいて、征服された人々(ドラビダ人)は、『奴隷(シュードラ)』の扱いとなった。このことからも、下級層にいる人々は『破壊神』を支持し、上級層にいる人は『維持神』を支持する人が多いという。下の人は現状を『破壊』したいし、上の人は現状を『維持』したいからだ。
さらにこの階級はあくまでも大きく分けたものであり、実際には2000以上の階級があるという。
インドにはヒンズー教(旧バラモン教)のカースト制度の考え方が根強く残ってしまっている。人が『司祭、王族、平民、奴隷、人間あつかいされない人々』の5つに分けられていて下の階級にいる人間の命を侮辱する考え方が蔓延している。
あまりにも残虐な話のため、興味のある人だけ以下のニュースを見てみよう。これが、カースト制度が生んだ『負』だ。
参考
インド8歳児、「集団レイプ」の酷すぎる理由 The New York Times | 東洋経済オンライン
もし、自分の娘がこのような目に遭ったらどうする?私は正直、正気を保つことは出来ないだろう。しかし、このインドに数千年の時間をかけて深く深く根付いた闇は、あまりにも底が深かった。一度ついたこの階級は、死んでも、生まれ変わっても、永遠に変えることは出来ないのである。
だが、この負の連鎖の流れの渦中にあって、その流れを変えた男がいた。それは後に『ブッダ』と呼ばれるようになる。それについては仏教編で書こう。とにかく、大きな革命を起こさなければならないと思うほど、当時のインドには闇が蔓延していた。それは、アーリア人が産みつけた、人間の底なしの闇だった。
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参考文献