ハニワくん
先生
いくつか質問があるんだけど、わかりやすく簡潔に教えて!
- ヒンズー教、ユダヤ教、キリスト教、イスラム教、一番荒っぽい宗教はどれ?
- 宗教は『戦争の火種』なの?
1.荒っぽくなった段階でそこにあるのは『宗教』ではありません。
2.宗教は『戦争の火種』ではありません。
ハニワくん
博士
宗教は『神』を敬う行為です。
宗教というのは英語で『religion』と言いますが、これはフランス語でもドイツ語でも同じです。これはラテン語の『religio』に由来し、『神と人をつなげる』という意味があります。つまり、『神』への解釈次第では、人を攻撃する人が出てきてしまいますが、もしその『神』が『愛』のように、攻撃するようなことを否定する概念であれば、攻撃をした時点でそこにあるのは『宗教』ではなくなります。『神(愛)を敬っていない』からです。
ここを正確に理解し、解釈することでこの世から宗教戦争がなくなり、人間は『世界平和』へ大きく近づくことになります。しかし、人の数だけ解釈があり、主張があり、間違いがあります。従って、この世から争いがなくなることはないでしょう。そして、その争いを起こす人がもし何らかの宗教を信仰していても、その人は『真の信仰者』にはならないでしょう。この考え方の軸となる『真理』は、まるで『神』に似た威厳を持っていますね。
- 真理=愛=神
この図式だけがこの世界を平和に導くカギになるでしょう(ちなみに私は無宗教です)。
博士
ハニワくん
先生
Contents|目次
歴史の裏で支配する宗教
その男『ガンジー』。負の連鎖に立ち向かった男はブッダだけではなかった!
上記の記事の続きだ。このようにしてヒンズー教と『カースト制度』はでき、そしてガンジーらが筆頭になってそれを撤廃したが、結局、1950年の撤廃以降も、インド人の根底にはカースト制度は根付いたままになっている。彼らにとってカースト制度はヒンズー教の教えそのものだから、それを失うことは心の混沌を生むのだ。そういう原理主義派はいまだに存在していて、下級層の人権を蹂躙しているのである。
ただ、そういうことが起こると国中でデモが起き、結局犯人がひどい目に遭うのが救いだ。彼らの中にも何が真理で、何が誤謬かということが『本当』はよくわかっているということになる。その心の光を道標にしながら、インド人はヒンズー教と向き合い、人生に光を照らしていってほしい。
間違った判断。誤った考え。
アブラハムの宗教の争い
さて、世界の戦争は、キリスト教徒の強欲が招いたという見解がある。
第一次世界大戦 | キリスト教徒の植民地への欲望 |
第二次世界大戦 | 世界の覇権を巡るキリスト教徒の衝突 |
イスラム教が攻撃的になった理由とは?虐げられたムハンマドの決意
また上記の記事に書いたように、キリスト教徒とユダヤ教徒がイスラム教を攻撃している過去がある。
625年 | ムハンマドの生活した地域 |
1095年 | エルサレム襲撃 |
イスラム教も、ユダヤ人を攻撃し、中東戦争を何度も起こしている。
ヒンズー教とイスラム教
そして、ヒンズー教とイスラム教も大きく対立していた。16世紀、インドを制圧したムガル帝国は、インドをイスラム教の国にしようとしたが、ヒンズー教徒はそれに逆らい、対立が続いた。ムガル帝国はその後滅亡し、今度はイギリスが支配するようになると、ヒンズー教徒側が勢いを上げ、イスラム教徒を強く攻撃するようになった。
しかし、冒頭の記事で最後に少し触れたように、1947年に『インド独立の父ガンジー』らの奮闘もあり、インドはイギリスの支配から脱することに成功した。しかし、彼の平和主義、非暴力主義の発想は、当時行われていた『イスラム教VSヒンズー教』の対立を止めたことにより、ヒンズー教徒の一部に誤解されることになる。
ガンジー
そしてガンジーは凶弾に倒れた。せっかくインドが一つにまとまるきっかけができたのに、国内の宗教問題でこのような大惨事が起き、国の宝とも言える人物を失う。色々なことが重なり、インドはついに『国を分ける』ことを決断する。それが『パキスタン』である。
[インド・パキスタン分離独立]
オレンジがインド、緑がパキスタンだ。パキスタンはこのようにして、左右にできた。『西パキスタン』と『東パキスタン』である。このパキスタンにイスラム教徒が住むようになったのである。このようにして、いつでも宗教というのは人を争わせる火種となる。ユダヤ教、イスラム教、キリスト教、ヒンズー教、正直、そのどれもが荒々しい一面を持っていて、『必死』である。
宗教は『戦争の火種』?
キリスト教は常に率先して拡大の過程で攻撃する。
ユダヤ教もその推進力の強さから常に対立をしてきた。
イスラム教も『聖戦』を盾にしたテロリストのイメージが強い。
イスラム教が攻撃的になった理由とは?虐げられたムハンマドの決意
そしてヒンズー教もこうして争いを続ける。カースト制度による差別的な人への侮辱もあまりにもひどい。
世界最古の宗教『ヒンズー教』の誕生と、最悪の負の連鎖『カースト制度』の始まり
では、宗教というのは『戦争の火種』なのだろうか。その答えは、先ほどのニーチェの言葉もさることながら、フランスの小説家、プレヴォが言ったこの言葉がすべてを語っているだろう。
そして彼らが下の図式を理解していれば、争いは起こすことはなかっただろう。
『世界平和の実現に必要なのは『真理=愛=神』の図式への理解だ。』
『真理(愛・神)から逸れれば逸れるほど虚無に近づく。』
『ソクラテス・イエス・ブッダ 三賢人の言葉、そして生涯』にはこうある。
私は現ダライ・ラマ14世、テンジン・ギャツォに十数回あったことがあるが、今までにいかなる人にも、彼ほどの慈悲の力を感じたことは無い。(中略)2001年、インドのダライ・ラマの住まいで、チベット人のリーダーであるダライ・ラマと、幼い息子を連れた一人のイギリス人との出会いを目撃した。イギリス人の妻は悲惨な状況で亡くなったばかりであった。この男の話を聞いたダライ・ラマは立ち上がり、彼と息子を抱きしめながら、二人とともに長い間泣いていた。
そしてイギリス人がキリスト教に長い間失望してきたので仏教徒になったと話すと、ダライ・ラマは自分の持っている、ギリシャ正教のキリストと聖母マリアの見事なイコン(絵画のようなもの)を取ってこさせた。それを男に渡し、こう言った。
男は非常に感動し、キリスト教信仰の道を再び見出した、と私に語った。この出会いには、写真もビデオ撮影もなかった。
ガンジーやダライ・ラマのような人間もいる。彼らは真理が何かを理解している。
これでヒンズー教の話は終わりだ。次は仏教である。
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参考文献