ルネサンス時代にはどういう哲学があったの?わかりやすく簡潔に教えて!
『人文主義の王』と言われたエラスムスがしたような『人間中心』の思想を織り交ぜた哲学が登場しました。
中世ヨーロッパの1000年間の暗黒時代というのは、すべては神の為にあった1000年間でした。
しかし、600年頃からイスラム教が登場し、1095年にはエルサレムを奪回しようとキリスト教が『十字軍の遠征』を始めます。しかし十字軍はイスラム軍に敗北。そしてキリスト教の権威が衰退していきます。『神の国⇒人の国』へと移り変わっていくようになり、『ルネサンス時代』へ突入します。
ルター等の面々が腐敗したカトリックに対し『宗教改革』を起こしますが、エラスムスこそ、腐敗し、権威と威厳を失ったキリスト教を『本当の姿』に戻そうとして奮闘した人物でした。エラスムスは『神中心の考えにどっぷりと依存した人間』の思想に、『人間中心』の思想を織り交ぜ、新たな概念を生み出します。イスラム勢力の台頭や、『地球平面説』が覆されたり、何かと神の存在が危うくなっていた時代背景もあって、そうしたエラスムスの考えも浸透しやすかったのかもしれません。
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上記の記事の続きだ。このようにしてキリスト教はローマ帝国滅亡後の中世ヨーロッパを1000年間もまとめたが、権力を持ちすぎて、腐敗する一面も目立った。しかし、このような『キリスト教の一強』時代も永遠ではなかった。
例えば、ムハンマドがイスラム教を作った。また、イスラム勢力は勢いを増していった。そんな中、エルサレムを取り戻そうとして、キリスト教史上最も残忍な戦争と言われる『十字軍の遠征』が始まった。
しかし、サラディンを筆頭としたイスラム勢力は、その戦争に抗った。
そしてキリスト教の権威が衰退していき、『神の国⇒人の国』へと移り変わっていくようになる。『ルネサンス時代』への突入である。
再生、復活、復興を意味する。文芸復興。人間中心のギリシャ文化をよみがえらせる人文主義の流れ。
人間中心の文化。ヒューマニズム。
様々な思想
ヘブライズム | 神中心の発想 |
ヒューマニズム(人文主義) | 人間が歴史と文化の主体 |
自然主義 | 人間は自然の一部分 |
冒頭からの記事を見てもわかるように、中世ヨーロッパの1000年間の暗黒時代というのは、大した発展がなく、すべては神の為にあった1000年間だった。そういう事情もあって、その時代が『暗黒時代』と呼ばれるようになるわけだ。
戦乱、疫病、政情不安定などの原因により、社会が乱れ文化の発展が著しく停滞したような時代。また、文明全体に及ぶ大きな事象でなくても、特定の芸術・技術・文化などが為政者や宗教組織から弾圧を受け衰退したり、革新者の不在などの理由で停滞した時期を指して、暗黒時代と呼ぶこともある。
古代が終わり、近代にいたるまでの1000年間。ローマ帝国滅亡後の1000年間のこと。
しかし、腐敗と停滞の原因とも言えたキリスト教が衰退していくことで、新たな動きが見られるようになった。
彼らのような偉大な芸術家が出てくるのもこの時代である。
この発見によって、
という解釈が崩れるようになる。そして、その『天』にいたはずの『神』の存在も危うくなり始める。しかし、まだまだキリスト教は特権を乱用し続けた。
そこで登場するのが『ルター、カルバン、ツウィングリ』といった人物たちである。彼らが起こしたのは『宗教改革』。つまり、イエスがユダヤ教の腐敗を浄化しようと立ち上がったように、彼らもまた、この腐敗したキリスト教を浄化しようと立ち上がったのである。
[ルター]
ルターが宗教改革を興したのは、法王庁がその売り上げでバチカンに聖堂を築くのが目的で『免罪符』を販売したのがきっかけだった。
これを買えば『天国に行ける』という名目で売られた証明書。カトリック教会が発行した罪の償いを軽減する証明書。
ルターは、腐敗し、権威と威厳を失ったキリスト教を、『本当の姿』に戻そうとして、奮闘した人物だったのである。
だが、そう思ったのはルターたちだけではなかった。のちに『人文主義の王』と言われるエラスムスがその代表である。
エラスムスこそ、腐敗し、権威と威厳を失ったキリスト教を、『本当の姿』に戻そうとして、奮闘した人物だった。そして、同じような目的を持っていたにも関わらず、ルターとは一線を画した。ルターのように過激な改革をするのではなく、あくまでも自分はキリスト教会(カトリック教会)に属しながら、その姿を元に戻そうとしたのである。
ルター達 | カトリックにプロテスタント(抗議)する |
エラスムス | カトリックに属しながら元に戻そうと奮闘する |
先ほど『中世ヨーロッパの1000年間の暗黒時代というのは、大した発展がなく、すべては神の為にあった1000年間だった』と書いたが、エラスムスはその『神中心の考えにどっぷりと依存した人間』の思想に、『人間中心』の思想を織り交ぜ、新たな概念を生み出すのだ。イスラム勢力の台頭や、『地球平面説』が覆されたり、何かと神の存在が危うくなっていた時代背景もあって、そうしたエラスムスの考えも浸透しやすかったのかもしれない。
逆に言うと暗黒時代は、ぬるま湯に浸かっていられて『楽』だった部分もあった。だが、ルネサンス時代を迎えて様々なことが明るみになり、そのぬるま湯に浸かっていられなくなる人間は最初もちろん、慌てて騒いだ。だが、フランスの作家、ジードがこう言ったように、
『その時期』は真実にたどり着くために必要なのである。