いくつか質問があるんだけど、わかりやすく簡潔に教えて!
1.『国家の最も重要な任務は人権の保障だ』とという自由主義思想をして、アメリカの基礎を作った人です。
2.『立つべき者が人の上に立っている』として、伝統や階級を正当化した人です。
トマス・ペインは『自由』、エドマンド・バークは『保守』を意識しました。
当時、イギリスだけじゃなくヨーロッパ中の権力者が腐敗している現実があり、その腐敗ぶりといったら例えば、『権力者の子供は、親の学位まで受け継ぐことができる』という、あまりにも馬鹿馬鹿しいものでした。そうした事態を受けトマス・ペインは、『国家の最も重要な任務は人権の保障だ』と考えます。このような自由主義思想が軸となり、アメリカの基礎が作られていきました。イギリス出身の彼ですが、アメリカ大陸の『アメリカ合衆国』の独立に貢献し、『アメリカの哲学者』となりました。
エドマンド・バークは彼とは違い『保守』を意識しました。彼もアメリカの独立には貢献しますが、トマス・ペインと違って『フランス革命』は否定します。彼は保守主義だからといって、ただひたすら何もしないというわけではありませんでした。『伝統を守りながら保守にとどまらず、常に改善を怠らない』考え方を重んじ、イギリスの議会政治に大きな影響を与えました。
上記の記事の続きだ。様々な哲学者たちが、『真理(神)』に目を向け、より正しい社会を目指そうと考えた。そこにはイギリス出身のアメリカの哲学者、トマス・ペインの姿もあった。
[トマス・ペイン]
各人の誕生年
ジョン・ロック | 1632年 |
ルソー | 1712年 |
カント | 1724年 |
トマス・ペイン | 1737年 |
彼はイギリス出身だが、アメリカという自由で『市民が主人の強力な国』を作るために奮闘した人物だ。当時、イギリスだけじゃなくヨーロッパ中の権力者が腐敗している現実があった。その腐敗ぶりといったら例えば、『権力者の子供は、親の学位まで受け継ぐことができる』という、あまりにも馬鹿馬鹿しいものだった。
まあ、人間が権力を持ったら大体やることは一緒である。自分の身の周りの利益を最優先にし、それを脅かす者、自分とは遠い者を見下して、そこに格差をつける。経済学の巨人と言われたガルブレイスは、1636年のチューリップ狂の経験以来、 何も変わらないある法則を見極め、こう言っている。著書『バブルの物語』にはこうある。
『個人も機関も、富の増大から得られるすばらしい満足感のとりこになる。これには自分の洞察力がすぐれているからだという幻想がつきものなのであるが、この幻想は、自分および他の人の知性は金の所有と密接に歩調をそろえて進んでいるという一般的な受け止め方によって守られている。』
キリスト教が腐敗した理由も、同じことだ。ここで言われている『金の所有』は、『権力の所有』に差し替えて考えても、同じことなのである。
そうした事態を受けトマス・ペインは、『国家の最も重要な任務は人権の保障だ』と考えた。このような自由主義思想が軸となり、アメリカの基礎が作られていった。
しかし、アイルランド出身で、イギリスの哲学者、エドマンド・バークは違った。
[エドマンド・バーク]
各人の誕生年
ルソー | 1712年 |
カント | 1724年 |
トマス・ペイン | 1737年 |
エドマンド・バーク | 1729年 |
トマス・ペインとは違って、イギリスの伝統的な保守主義を熱烈に擁護したのである。そこには当時問題となった『フランス革命』も影響があった。当時のフランスは、絶対王政の時代。度重なる対外戦争や宮廷の浪費がフランスの財政を大きく圧迫し、そのしわ寄せが国民の多数を占める第三身分の『平民』に来ていた。
国王 |
第一身分 | 聖職者 | 約12万人 |
第二身分 | 貴族 | 約40万人 |
第三身分 | 平民(市民、農民) | 約2450万人 |
フランスは、『自由、平等、愛』を主張して、フランス革命を起こした。しかし実際には、その理想を大きく逸脱し、多くの血を流した。イギリスのバークは、
という考え方で、伝統や階級を正当化した。それを、急な革命でそれまでの歴史をすべてひっくり返そうとすると、様々な問題が起こる。このような保守的な考え方でバークは、『近代保守主義の精神的父』と呼ばれるようになる。バークは、英国憲法が2つのものを法的に主張していると見た。
順を追って徐々に目的を実現しようとするさま。
これは彼の言葉だが、彼は保守主義だからといって、ただひたすら何もしないというわけではなかった。『伝統を守りながら保守にとどまらず、常に改善を怠らない』考え方を重んじたのである。
この考え方は現在でも通用する。私はトヨタやソフトバンク、ディズニー等の巨大企業の社長も登場するテレビ東京系『カンブリア宮殿』を10年観てきたが、そこに出演した多くの企業は生き残るため、飛躍するために取ってきた、あるいは重んじてきた共通する選択肢がある。それは、『伝統と革新』である。
守るべき伝統は守り、しかし時代に合わせて柔軟に対応する。これが出来ない企業は生き残れず、淘汰される。もう、面白いくらいにここが一致する。例えば和菓子の企業が、『インスタ映え』、『若者受け』するような洋菓子風の和菓子を作るとか。
イエローハットの創業者、鍵山秀三郎はこう言っている。
『私の同業者が全部つぶれたのは、一時的な成功に惑わされて事業が成長するごとに大きくなるマイナス面に対応ができなかったからです。いつまでたっても以前と同じことをやっていたから、みんな消えてしまいました。時代が読めなかった、お客様の心が読めなかったわけです。現実の空気こそ読まなければならなかった。そこに問題があると思うのです。』
『伝統と革新』を忘れた人や企業や国家は、衰退し、淘汰される。そしてバークも『伝統と改善』という考え方で、イギリスの議会政治に大きな影響を与えた。
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参考文献