いくつか質問があるんだけど、わかりやすく簡潔に教えて!
1.軍事力や経済力などの対外的な強制力の『ハードパワー』の対義語で、コカ・コーラ等の企業力が代表です。
2.政治、経済、社会、文化の各面が、アメリカ合衆国のようになる現象です。戦後の日本に英語やアメリカ文化が増えたのもこれです。
3.「アメリカの平和」という意味で、超大国アメリカ合衆国の覇権が形成する「平和」のことです。
アメリカが圧倒的な軍事力を駆使して何かをすることを、良くないと思う人もいました。
そうした『ハードパワー』の対義概念として『ソフトパワー』は生まれ、コカ・コーラやマクドナルドといった『軍事力以外の力』を駆使してアメリカの国力をつける方向を見出しました。アメリカニゼーションは『アメリカ化』とも言い、特に日本はその影響を強く受けたと言えます。
といった人々も大活躍し、20世紀はアメリカの持つこうした『ソフトパワー』の力も爆発した時代であり、今ではすっかり『エンターテインメント=アメリカ』という考え方が定着しています。かつて、ローマ帝国の全盛期を指す『パクス・ロマーナ(ローマの平和)』という言葉があったように、冷戦終了後(1990年以降)の世界はアメリカ一強、『パクス・アメリカーナ』の時代に突入したのです。
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『アメリカニゼーション』
上記の記事の続きだ。1950~1980年までのアメリカは、盛衰を続けるが、しかしそれでも『世界の覇権を握っている』という国にふさわしいのは、アメリカぐらいしか存在しなかった。そしてそれは現在進行形でそうなっているのである。
第二次世界大戦の前まではイギリスやフランスが強かったが、戦争でダメージを負って地位が下がり、アメリカが彼らにお金を貸し、また本国が戦場ともならなかったことで、じわじわと国力を引き延ばし、上に上がり、ソ連(共産主義)と覇権争いをするが、ソ連が滅亡することでアメリカの一強となり、その後波はあってもその地位を維持し続けているということだ。
ではここで、レーガン大統領以降の大統領を見てみよう。
1990年以降のアメリカ合衆国大統領
第40代大統領 | ロナルド・レーガン | 1981年1月20日 – 1989年1月20日 |
第41代大統領 | ジョージ・H・W・ブッシュ | 1989年1月20日- 1993年1月20日 |
第42代大統領 | ビル・クリントン | 1:1993年1月20日- 1997年1月20日 2:1997年1月20日- 2001年1月20日 |
第43代大統領 | ジョージ・W・ブッシュ | 1:2001年1月20日- 2005年1月20日 2:2005年1月20日- 2009年1月20日 |
第44代大統領 | バラク・オバマ | 1:2009年1月20日- 2013年1月20日 2: 572013年1月20日- 2017年1月20日 |
第45代大統領 | ドナルド・トランプ | 2017年1月20日- |
このあたりまで来ると、現代を生きている人々にとってどれも聞き覚えのある名前ばかりになる。ちなみに、
は親子である。後者が息子だ。これで言うと、まずジョージ・H・W・ブッシュの時代は、『東欧革命(1989年)』があった。
ソビエト連邦(ソ連)の衛星国であった東ヨーロッパ(特にワルシャワ条約機構)諸国で共産主義体制が連続的に倒された革命である。1989年革命と呼ばれる事もある。
それについては下記の記事に書いたが、その後1989年12月2日から12月3日にかけて、地中海のマルタでジョージ・H・W・ブッシュとソ連(ミハイル・ゴルバチョフ)両国の首脳会談『マルタ会談』が行われ、これをもって、44年間続いた東西冷戦は終結した。
[マルタ会談にて、ジョージ・H・W・ブッシュ(手前右)と会談するゴルバチョフ(手前左)]
『イラン=イラク戦争(1980年9月22日 – 1988年8月20日)』は、ちょうどレーガン大統領の時代にあった。『冷戦』の真っ最中である中東戦争終了後、アメリカは中東でも自分たちの味方である国を探していた。そして選んだのが『イラン』だった。しかし『イラン革命』が起き、『イラン・イスラム共和国(1979年~)(通称イラン、あるいはペルシャ)』ができる。それを受け、今度はアメリカがイラク側につく。利害が一致したイラクはアメリカと組み、イランを攻撃。そうして『イラン=イラク戦争』が勃発した。
その後、『クウェート侵攻(1990年8月2日)』が始まる。それを受け、ブッシュはイラクのフセイン大統領を非難し、翌年1991年に米軍を主力とする多国籍軍がイラクを攻撃した。『湾岸戦争』である。そして先ほどのマルタ会談が行われ、ソ連が崩壊し、アメリカ一強時代へと突入するわけだ。
レーガンが『落ち込みかけたアメリカ』を『強いアメリカ』にすると主張し、ブッシュに繋げた。そしてブッシュの時代に中東地域(イラク・イラン)を抑え、ソ連も抑えて世界の覇権を獲った。東アジア地域にある『反米地域(北朝鮮、中国等)』対策の為に『サンフランシスコ講和条約(1951年)』を結び、ワシントンで『日米安全保障条約(1960年)』を締結し、日本を東アジアにおけるアメリカの有力な同盟国にしてあるから、世界全体の秩序はアメリカ次第という体制が作られていった。
国連はどうか。『第二次世界大戦(1945年)』以降、国際秩序は、政治面では国際連合、経済面では『ブレトン・ウッズ体制』として実現した。
しかし、経済面の『ブレトン・ウッズ体制』は1971年のニクソンショックで崩れる。そして、政治面での秩序は、国際連合が保っていたはずだが、1990年代には各地で地域紛争が頻発し、国連はあまり機能していなかった。むしろ世界は混沌状態に傾いた。
しかし、アメリカは確実に力をつけていった。
例えば、『アメリカニゼーション』だ。20世紀(1900年代)はまさに、アメリカの『ソフトパワー』が頭角を現した時代だった。
政治、経済、社会、文化の各面が、アメリカ合衆国のようになる現象である。また、アメリカ合衆国の政治、経済、社会、文化を模倣したり嗜好したりする現象もいう
国家が軍事力や経済力などの対外的な強制力によらず、その国の有する文化や政治的価値観、政策の魅力などに対する支持や理解、共感を得ることにより、国際社会からの信頼や、発言力を獲得し得る力のことである。対義語はハード・パワー。
ソフトパワーというのは、この後に起こる『9.11(アメリカ同時多発テロ事件)』等で、アメリカが圧倒的な軍事力を使ってこれに対抗したことが国際社会からの批判されたり、中東やイスラム圏を中心とした反米感情の広がり、またそれを背景にしたテロリズムの頻発やその被害に悩む中で、その事態の打開のための手法として提唱されるようになった言葉だ。つまり『ハードパワー』の大義概念として生まれた。
しかし、ソフト・パワーという概念を提唱したのは、アメリカ・ハーバード大学大学院ケネディスクール教授のジョセフ・ナイである。1990年のことだ。彼はクリントン政権下において国家安全保障会議議長、国防次官補を歴任した経歴もあり、発言力があった。彼はこのソフト・パワーによる対外政策の重要性を説き、軍事力や経済力など強制力の伴うハード・パワーにのみ依存するのではなく、アメリカの有するソフト・パワーを活かすことの重要性を唱えたわけである。
アメリカニゼーションは『アメリカ化』とも言い、特に日本はその影響を強く受けたと言えるだろう。
こういった全世界に影響力を誇示する大企業とその製品が牽引した。
特にマクドナルド、コカ・コーラは誰もが知っているほど世界に浸透したのである。したがって、
という言葉も造られたほどである。ただしその言葉の意味は必ずしも『アメリカニゼーション』と同じではない。例えばマクドナルダイゼーションは、アメリカのグローバル企業が執る支配体制(企業内か企業外かを問わない)を指してそう呼んだりする(マクドナルド化)。
これらの大企業は、アメリカ合衆国以外の国々にも恩恵をもたらす一方、底辺の労働者は容易かつ大量に解雇されやすく、大量解雇や大量非正社員化も嫌悪しない頂点の企業家(冷戦後では「CEO」と呼ばれることもある)は破格の高報酬を手にする例がザラにある。
音楽における象徴的な人物としては、
が挙げられる。
映画で言えば、
等、アメリカ映画が世界を席巻することが当たり前になった時代だ。
ちなみに、この時代を盛り上げた人物で、1955年生まれの人がすごい。
1955年生まれの偉人
ローワン・アトキンソンは『ミスター・ビーン』の役者である。日本にもとてつもないエンターテイナーやクリエーターが誕生していた。また1963年もすごい。
1963年生まれの偉人
私はここに出てきた登場人物全員が好きなので、これらの誕生年の一致には驚いたものである。しかもAmazonの創始者ジェフ・ベゾスはその翌年1964年生まれだからすごい。ちなみに今のは大体10年の間隔が空いているが、更に10年後の1973年にはこういう人物が誕生する。
1973年生まれの偉人
日本が世界に誇るイチロー。そして後の二人はあのGoogleの創始者である。とにかく20世紀はアメリカの持つこうした『ソフトパワー』の力も爆発した時代であり、今ではすっかり『エンターテインメント=アメリカ』という考え方が定着しているのである。
だが、アメリカニゼーションは必ずしもメリットばかりではない。『からだのニオイは食事で消す 体臭は内臓からの注意信号』にはこうある。
食の欧米化が体臭をふやした!
かつて、日本人の食生活は菜食が基本だったので、肉はほとんど食べていませんでした。仏教の影響が強かった日本では、おおむね肉食禁止の戒律が守られてきたからです。明治時代になって、西洋の肉食文化が入ってきました。それでも、戦前まではこうかな肉類は庶民の手には入りづらく、一部の人たちだけのごちそうでした。けれど、戦後アメリカの影響で食事が欧米化するとともに、動物性の食べ物や油脂の採取量が大幅に増えたのです。
日本人には日本人に適したものがあるということなのである。だがそう考えると、アメリカの文化がこうして世界中の人々の『内部構造(体質)』にまで影響を与えているわけで、それくらいアメリカは、
共に力を持った国へと確実に育っていき、世界はアメリカ一強、『パクス・アメリカーナ』の時代に突入したのである。
「アメリカの平和」という意味であり、超大国アメリカ合衆国の覇権が形成する「平和」である。ローマ帝国の全盛期を指すパクス・ロマーナ(ローマの平和)に由来する。「パクス」は、ローマ神話に登場する平和と秩序の女神である。
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