宗教(思想)で世界が統一されるときはくるの?わかりやすく簡潔に教えて!
ゼロではありません。しかし、その時は人間の数が数えるくらいしかいないかもしれません。
世界の歴史を見ると、人間ははるか昔から宗教(思想)の違いで衝突してきました。
ですから、人間の『最高到達地点』だと考えられる『世界平和』を実現させるためには、もはやこれを統一するしかないという選択肢が見えます。しかし、思想を無理矢理統一することは倫理的に間違っていて、世界平和と同じくらい『多様性』と『個人の権利』を大事にしなければならない問題を人間は抱えています。
どっちかを取ると、どっちかが崩れて問題が出る。これを『ジレンマ』と言います。では、この大きなジレンマを抱えた人間は、永久に世界平和を実現することはできないのでしょうか。そして、永久に人間は宗教(思想)の違いで対立し続けるのでしょうか。これは私の個人的な答えですが、記事の最下部にこの問題に対する解決策を載せました。今、私が言えることはこれくらいです。
『ハートパワー』
上記の記事の続きだ。アメリカは、
の2つの方向で確実に力をつけていった。ここで余談になるが、『思想』の部分での力(パワー)はなんと表現するのが適しているだろうか。文化や娯楽がソフトパワー、軍事力がハードパワーとなるわけだから、思想面においては『ハートパワー』か『メンタルパワー』だろうか。『宗教』というのは
だからこのあたりになるだるが、私は個人的には『ハートパワー』がしっくり来る。『メンタルパワー』でもいいのだが、日本語で考えたときの『心』以外の言葉があまりしっくりこないからだ。
人間は、まず『原始時代』に神話を想像し、集団生活と共に『宗教』へと進化させていく。
そういう精神的な問題と同時に、政治的な問題も浮上してくる。人々が、『集団→氏族→部族→部族連盟→国家→帝国』というような形で、徐々にその集団の規模を大きくしていくわけだ。
だが、帝国を作る過程で問題が起こる。例えばローマ帝国は紀元前800年頃から作られ始めるわけだが、その帝国の中には様々な国家や民族があるわけである。そうなると当然、それぞれが持っている宗教観に違いが出てくる。
上記の記事に書いたように、各地域には様々な神話や宗教があった。したがって、一つにまとまらない。最初は力づくでまとめていたがそれには限界があり、どうしても帝国をまとめるために『優秀な宗教』の存在が必要だった。当時、宗教の存在は政治や経済よりもはるかに重要な位置づけにあったので、それを見つけて人間をまとめることは、必要不可欠なことだった。
そこで、帝国のすべての人々が納得するような『優秀な宗教』を探した。
このような条件をクリアした『優秀な宗教』を探し、そしてたどり着いたのが『キリスト教』だった。これによってキリスト教はローマ帝国の国教となり、多くの人に受け入れられ、世界宗教へと発展していった。
そうして確かにキリスト教は『より大勢の人々』の『心(ハート)』に響き、現在においても世界一人口の多い宗教となった。
だが、それに匹敵するくらいイスラム教があり、ユダヤ教、仏教やヒンズー教、そして儒教などの精神も世に根強く浸透している。
『三枚舌外交』における『パレスチナ問題』はどうだ。それを受け、ユダヤ人がイスラエルに移入して戦争が起きる。
そして1948年に、パレスチナを統治していた英国が手を引くと、5月18日、ユダヤ人はイスラエルの建国を宣言した。しかし、周辺国はイスラエルの建国を否定したのだ。アラブ連盟がパレスチナへ侵攻し、第一次中東戦争が始まる。
世界一神聖であるべき場所が、世界一の争いの火種となっていて、現在進行形でこの問題は未解決状態である。
下記の記事にも書いたが、宗教を語る人間は嘘くさいが、宗教を語らない人間に、人間を語る資格はない。まずはWikipediaの『世界宗教』の分布図を確認したい。
大雑把に説明すると、
ということになる。更に違う資料によるとこうなる。
『世界を支配する』ということになると、やはり人間のこうした『心』の部分に目を向けないわけにはいかない。だが、長い歴史を見ていく中で見えてくるのは、結局『一つの宗教』ではこの世界を統一することはできそうもないということだ。キリスト教は優秀な宗教だが、例えばこの日本におけるキリスト教徒の割合は、1%ほどしかない。また、世界規模で見てもそれはうなづける話である。
では、アメリカは『ハートパワー』でこの世を支配、統一、統治することができるだろうか。『[図解]池上彰の 世界の宗教が面白いほどわかる本 (中経の文庫)』にはこうある。
アメリカ大統領とキリスト教の関係
(省略)でも、なぜ大統領の候補者はそんなにも自分がキリスト教徒であることをアピールするのでしょうか。それは、アメリカという国が『神様』、つまり『キリスト教』を信じていることを前提にして成り立っている国家だからです。ですから、イスラム教徒や仏教徒、ユダヤ教徒などが大統領の地位に就くことはあり得ないのです。
アメリカでは全国民の約9割がキリスト教徒であるとされているので、キリスト教はほとんどアメリカの『国教』なのだ。
ユダヤ教はそのうち6%だが、大きな社会的・政治的影響力を持ち、中には親イスラエル・ロビーを形成する場合がある。ユダヤ系アメリカ人は主にニューヨーク州やフロリダ州に多い。
第30代大統領のジミー・カーターは言った。
『私はそれまでの陣しえで祈ったより『大統領の任期中』多く祈った。私の祈りは神が私にすんだ心と正しい判断と、アメリカや外国の多くの人々に影響を与える問題を処理するための知恵を能てくれるように、というものであった』
第42代大統領ビル・クリントンは言った。
『たゆまず禅を行いましょう。飽きずに励んでいれば、時が来て、実を刈り取ることになります。』(新約聖書:『ガリラヤの教徒への手紙6章9節』)
第43代大統領ジョージ・W・ブッシュは言った。
『信仰があったからこそ、人々が好まない決断もできた。そして信仰に基づいて世論の人気のないことでも、正しいと思うことは断行した。さらに信仰があるからこそ、人生を楽しむことができた。』
アメリカ人の9割を占めるキリスト教は、戦争に勝った。『神道』という天皇を崇拝する日本の考え方は、間違いなく宗教だった。開国した明治の時代に、日本は世界から『宗教の自由』を求められ、こういうやりとりがあった。
しかし日本は苦肉の策として『神道は宗教にあらず』という政府の公式見解を出した。そうすれば、キリスト教徒や仏教徒にも天皇崇拝を強要できると考えたのだ。
だが、日本には日本の伝統が残り、世界各地の宗教の多様性は守られた。その理由は何だろうか。『心』まで支配してしまうことは、『思想統一』をしてしまうことは真理ではないという、得体のしれない『答え』が、そうさせたのだろうか。
今後、人口は時がたつにつれて中国人とインド人を中心に増え、世界の人口は100億人を超える。そしてその時には世界の宗教のバランスも崩れる。いずれこの世界は、どこかの国と宗教が『ハートパワー』でもって、この世界を統一する日が来るのだろうか。『イスラム国を名乗るIS』はそれをやろうとしているが、衝撃はあっても影響力そのもののパワーは小さい。
シリア国内の三勢力と介入する国々
アサド政権 | ロシア |
反政府組織 | アメリカ、トルコ、EU等の有志連合 |
IS |
シリア内戦において、イスラム国を名乗る『IS』はイラク、トルコ、サウジアラビア、クルド人、アメリカ、ロシア等々を含めてすべて敵ばかり。
私はもし『ハートパワー』が浸透するとしたら、それはキリスト教でもイスラム教でもなく、下記の内容に書いたことだと推測する。これは私が見出したものだから未完成だし、宗教でもなんでもない。ただの仮説だ。
だが、世界を統一するハートパワーがあるとしたら、これしかないだろう。それは、断固としてどの宗教にも属するつもりがない私の、断固たる断言である。そして厳密に言うとそれは『統一、統治』ではなく『自律』となるだろう。それは以下の記事を見ればわかることである。
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