Categories: 世界史

ブッシュ、オバマときてトランプ大統領へ繋がれたアメリカ!『パクス・アメリカーナ』はいつまで続く?

ハニワくん

先生、質問があるんですけど。
では皆さんにもわかりやすいように、Q&A形式でやりとりしましょう。

先生

いくつか質問があるんだけど、わかりやすく簡潔に教えて!

  1. ジョージ・W・ブッシュ時代は何があったの?
  2. オバマ時代は何があったの?
  3. トランプ時代は何があったの?

1.テロやアフガニスタン侵攻等でアメリカの威信が傾いてしまった時代です。

2.『核兵器のない世界』の演説、『オバマケア』という低所得者に対する医療保険制度改革がありました。

3.TPP離脱などの保護主義、極端に排外主義的(アメリカファースト)な政策が取られました。

ハニワくん

なるへそ!
も、もっと詳しく教えてくだされ!

博士

ブッシュ時代の裏番長はディック・チェイニー副大統領でした。

その『ブッシュ&チェイニー』時代(2001~2009年)は、

 

  1. 9.11
  2. アフガニスタン侵攻
  3. 民主主義拡大志向
  4. リーマンショック

 

といった様々な問題によって、アメリカの威信が傾いてしまった時代でした。

 

オバマ大統領はその遺産を受け継ぐわけですから、まず彼がやらなければならなかったことは、その『失われた威信』を取り戻すことでした。オバマ大統領はアメリカ合衆国大統領としては初めて核廃絶に向けた『核兵器のない世界(核なき世界)』の演説を行い、2009年のノーベル平和賞はオバマ大統領が受賞。また、彼は『オバマケア』という低所得者に対する医療保険制度改革を行いました。しかし、これらの対策はあまり有効打にならず、オバマ時代は『空振り』の印象を与えました。

 

トランプ大統領は、その『オバマケアの廃止』を公約に掲げ、TPP離脱などの保護主義、極端に排外主義的(アメリカファースト)な政策を取りました。これによって国内の支持を得ることに成功しますが、この政策がどう出るかを疑問視する声も多くあります。

 

  1. トンキン湾事件捏造
  2. 大量破壊兵器があると主張して強行突破

 

このような先例があるアメリカは、2019年に起きた日本とノルウェーの海運会社が運航するタンカーが襲撃を受けた『ホルムズ海峡タンカー攻撃事件』で悪い噂が上がっています。アメリカもその地位を維持するために様々な手段を使うでしょうが、いつまでこの世界の覇権をアメリカが握っているのかが注目されています。一つ言えるのは、永久に一つの国(帝国)が世界を支配した歴史は存在しないということです。

うーむ!やはりそうじゃったか!

博士

ハニワくん

僕は最初の説明でわかったけどね!
更に詳しく知りたい方は、以下の記事をご覧ください。

先生

ジョージ・W・ブッシュ政権

『アメリカン・ファースト』

『ハード』も『ソフト』も強い『強いアメリカ』!『パクス・アメリカーナ』の時代が到来!

この世界に『ハートパワー』で世界を統治する国(宗教・思想)は現れるか?

 

上記の記事の続きだ。このようにしてレーガンが『落ち込みかけたアメリカ』を『強いアメリカ』にすると主張し、ブッシュに繋げた。そしてレーガン、ブッシュ、クリントンの時代にアメリカの『ソフトパワー』が影響力を持ち、アメリカの覇権は強固なものになっていく。だが、2001年9月11日、イスラム過激派組織アルカイダによって『アメリカ同時多発テロ事件』が勃発。クリントンの次の第43代大統領、ジョージ・W・ブッシュは、『テロとの戦い』を宣言し、テロ首謀者の引き渡しに応じなかったアフガニスタンを攻撃した。

 

[ジョージ・W・ブッシュ]

 

アフガニスタンはなぜ常に戦場なの?背後にある『米ソ対立』と『イスラム過激派』の存在

 

 

大量破壊兵器はなかった

そして2003年には『イラクのフセイン政権が大量破壊兵器を保有している』として、国連の承認を得ないまま『イラク戦争(2003年3月20日 – 2011年12月15日)』を開始。イラクのフセイン大統領はすぐに捕らえられ、拘束された。

 

[米兵に取り押さえられた直後のサッダーム]

聖地サウジアラビアを侮辱したことでビン・ラディン登場!9.11の『アメリカ同時多発テロ事件』はこう起きた!

 

だが、実はイラクで大量破壊兵器は見つからなかった。国連の承認も得ずに暴走し、ある種感情的に突っ走って『報復』をしたアメリカの威信は、大きく傷つく結果になってしまった。

 

 

民主主義国家と反米国

更にジョージ・W・ブッシュは、

 

ブッシュ

民主主義の理念を世界に広めよう!

 

と主張し、中国やロシアに反発される。中国は、毛沢東が『プロレタリア文化大革命』を起こし、鄧小平の時代に『天安門事件』が起きた。以来、『経済は自由だが、政治は一党独裁を続行』というスタンスを維持したまま、胡耀邦政権、習近平(しゅうきんぺい)政権に受け継がれている。

 

高度経済成長を見せた中国が夢見る『一帯一路』とは何か?中国の野望と他国との軋轢

 

ソ連は、経済危機に伴う国力の低下によって東ヨーロッパでの影響力を弱め、市民や労働者によって共産主義政権が次々と倒された一連の民主化革命『東欧革命』である、

 

  1. 1989年11月のベルリンの壁の崩壊
  2. 12月のルーマニアの政変
  3. 同月のチェコスロバキア共産党の一党支配の崩壊
  4. 90年9月のポーランドの非共産党系内閣の誕生

 

が起き、世界的に民主化が活発していた流れを受けて、民主化に至った。ソ連が崩壊し、『ロシア連邦』となり、ロシア初代大統領エリツィンは、資本主義体制へ急速に舵を取り、ロシア経済の停滞と混乱を招くが、現在も大統領であるプーチンの政権になると、資源輸出を利用して経済を回復させ、再び強国ロシアへと力をつけ始めている。

 

『ベルリンの壁』も『ソ連』も崩壊!アメリカ一強時代への突入は『歴史の終わり』なのか、それとも。

 

しかし中国もロシアも、完全な民主主義国家ではない。それに、元々両国は『反米』的思想を持っている。だからアメリカは東アジア地域にある『反米地域(北朝鮮、中国等)』対策の為に『サンフランシスコ講和条約(1951年)』を結び、ワシントンで『日米安全保障条約(1960年)』を締結し、日本を東アジアにおけるアメリカの有力な同盟国にしたのだ。

 

アメリカは日本を戦後に占領したのになぜ現在は『同盟国』となっているの?アメリカの戦略とは

 

 

リーマンショック

更に2008年の『リーマンショック』だ。リーマン=ブラザーズの破綻をきっかけに、アメリカの経済危機が世界に波及した。『世界的株価暴落』は全部で三つある。

 

  • 1929年の暴落
  • 1987年の暴落
  • 2008年の暴落

 

だ。そのうちの一つは下記の記事にも書いた『世界恐慌』である。

 

『世界恐慌』はなぜ起きた?何もかもが順調だったはずのアメリカの経済に大打撃!世界中に甚大な影響を与える

 

1987年10月19日の暴落はブラックマンデーとよばれる、香港を発端に起こった世界的株価大暴落である。

 

[ダウ平均株価 (1987-07-19~1988-01-19)]

 

下記の記事にレーガンの『レーガノミクス』と『双子の赤字』について書いたが、この暴落にもやはりアメリカが関係していた。レーガノミクスや、『イラン・イラク戦争』の影響が少なくともこの暴落に関係していたからだ。

 

ケネディ、ニクソン、レーガン、キング牧師らリーダーが奮闘!1950~1980年までのアメリカ

 

だが、『第二次世界恐慌』と言われたのは2008年の『リーマンショック』だった。リーマン・ブラザーズは、負債総額約6000億ドル(約64兆円)というアメリカ合衆国の歴史上、最大の企業倒産により、世界連鎖的な信用収縮による金融危機を招いた。映画『マネー・ショート 華麗なる大逆転』では、この金融危機を事前に察知した4人のアウトロー(株式市場)を中心にこの事件を見ることができる。

 

住宅市場は安定している。

 

誰もがそう思っていて、だからこそこういう事件に発展した。つまり、それを見破ることができるような人なんて、アウトロー(無法者、非常識人)しかいなかったということだ。

 

 

 

『バイス』ディック・チェイニー

そして、映画と言えば『バイス』だ。この第43代大統領、ジョージ・W・ブッシュは、第41代大統領であり、父親のジョージ・H・W・ブッシュとは違ってかなりの『問題児』だった。それはこの映画を観ればわかるだろう。

 

ジョージ・W・ブッシュは、父親の時に国防長官だったディック・チェイニーを副大統領(バイス・プレジデント)にしたいと直談判。だが、チェイニーは彼のポテンシャルをよく理解していたので、当然のようにそれを断る…。と思いきや、そこがチェイニーだ。

 

むしろこれは私が裏でアメリカを操るチャンスだ

 

ととらえたのである。

 

 

続きは映画のお楽しみとして、とにかくこの『ブッシュ&チェイニー』時代(2001~2009年)は、

 

  1. 9.11
  2. アフガニスタン侵攻
  3. 民主主義拡大志向
  4. リーマンショック

 

といった様々な問題によって、アメリカの威信が傾いてしまった時代だった。

 

 

オバマ政権

そして、2009年からオバマ大統領の時代になる。彼はもちろん『ブッシュ&チェイニー』の遺産を受け継ぐわけだ。まず彼がやらなければならなかったことは、その『失われた威信』を取り戻すことだった。

 

[バラク・オバマ]

 

 

核なき世界

2009年4月、オバマ大統領はアメリカ合衆国大統領としては初めて核廃絶に向けた『核兵器のない世界(核なき世界)』の演説を行い、

 

  1. ロシアと新たな戦略兵器削減条約
  2. 包括的核実験禁止条約の批准
  3. 核拡散防止条約の強化
  4. 核管理に関する首脳会議

 

などを提唱した。更に2009年7月の米ロ首脳会談では、

 

  1. 戦略核弾頭の上限を現状の2500前後から1500~1675へ
  2. 核弾頭の運搬手段を現状の1600から500~1100へ

 

削減する事を合意した。この『核なき世界』は2009年9月24日に国連安保理の首脳会合でも全会一致で採決され、同年10月9日には、これらの功績を含め、2009年のノーベル平和賞はオバマ大統領が受賞した。この演説でイラクから撤退することを主張。2011年に米軍が撤退すると、イラクで宗派対立が激化し、そこから『イスラム国を名乗るIS』が現れる。それに、アメリカ自身は、

 

核兵器を一定数保有し続ける。

 

と明言しているから、『核なき世界』、そして『パクス・アメリカーナ』の時代の継続の意志は消えていないだろう。

 

パクス・アメリカーナ

「アメリカの平和」という意味であり、超大国アメリカ合衆国の覇権が形成する「平和」である。ローマ帝国の全盛期を指すパクス・ロマーナ(ローマの平和)に由来する。「パクス」は、ローマ神話に登場する平和と秩序の女神である。

 

 

オバマケア

また、オバマ大統領は『オバマケア』という低所得者に対する医療保険制度改革を行った。アメリカには国民皆保険制度がなく、民間の医療保険が中心。例えば、日本ではみんな『国民健康保険』を持っているはずだが、あのおかげでいざ病気にかかったとき、安く治療ができるわけだ。しかしアメリカではその制度がない。つまり、もし病気や怪我を負ってしまった場合、その医療費を自分で全額負担しなければならないのだ。

 

したがって、アメリカの自己破産の原因で最も多いのは『医療費の未払い』である。アメリカの自己破産の6割は医療費が原因で、さらに、その医療費が原因で破産した者の8割は医療保険に入っていたとも言われている。それくらい日本とはまるで違う保険事情を抱えているのがアメリカだったのだ。

 

各州の無保険人口の割合(アメリカ合衆国国勢調査局、2009年)

  • こげ茶:20–27%
  • 茶色:16–20%
  • 黄土色:14–16%
  • ベージュ:10–14%
  • クリーム:4–10%


参考
医療保険制度改革 (アメリカ)Wikipedia

 

そこでオバマ大統領は『オバマケア』を導入。2010年全国民の医療保険加入を義務付けた。しかし、保険料が値上がりしてしまい、有効打にならなかった。共和党はオバマケアのような弱者救済には強く反発していて、トランプ政権は選挙戦で『オバマケアの廃止』を公約に掲げた。

 

 

トランプ政権

そして2016年からトランプ政権になった。TPP離脱などの保護主義、極端に排外主義的な政策の影響が懸念されている。

 

[ドナルド・トランプ]

 

TPP(環太平洋パートナーシップ協定)

環太平洋地域の国々による経済の自由化を目的とした多角的な経済連携協定 。関税を取り払ったり、貿易や投資のルールをそろえたりすることで、ヒト・モノ・カネが国境を越えて活発に動く「経済圏」をつくる試み。

 

 

アメリカファースト

トランプが取った政策は、

 

  1. 中国製品に45%の課税を課す
  2. TPP離脱
  3. メキシコからの不法移民の取り締まり強化
  4. 難民の受け入れ制限

 

という保護主義的な政策。こういった保護主義(保護貿易主義)は『重商主義』と言われる。『重商主義』を実行した例は以下の記事に書いた。1650年頃のフランス、『太陽王』と呼ばれたルイ14世の時代だ。財務総監のコルベールが行った『重商主義』は絶対王政に大きな貢献をした。体制を維持するためには、巨額の資金がいる。そこで、以下の政策を実行。

 

  1. 外国製品の購入を制限し、国内生産力を伸ばし、国力を上げる
  2. 金、銀、貴金属等の獲得と貯蔵と同時に、輸出を促進して貿易収支を黒字にする
  3. 領土拡大にも力を入れて、54年の親政の内の実に34年を戦争に費やす

 

これによって、国内にリソース(資金、財源)を蓄積することに成功したのである。

 

『封建国家→主権国家』へ!権力が国王に集中し『重商主義』に支えられながら『絶対王政』が実現!

 

そしてその対義語である『自由放任主義(自由貿易主義)』は、『世界恐慌』の時代に、

 

  1. ウォレン・ハーディング(第29代大統領)
  2. カルビン・クーリッジ(第30代大統領)
  3. ハーバート・フーヴァー(第31代大統領)

 

といった大統領が取った政策だ。

 

自由放任主義

自由に個人の利益を追求させ,競争させることが社会全体の利益の増進に役立つという主張。こういった主張は重商主義に対抗するものであったが,同時に国際的な自由貿易を求める運動にも結びついていった。

 

『世界恐慌』はなぜ起きた?何もかもが順調だったはずのアメリカの経済に大打撃!世界中に甚大な影響を与える

 

TPPを離脱すれば、かつてのフランスのように国内にリソース(資金、財源)を蓄積することができる可能性がある。しかし、国内ばかりに目を向けることはデメリットもあり、外国の反応は悪くなってしまうわけだ。それが『排外主義』的な考え方ということである。この裏には、アメリカの製造業が安価な労働力を求めて海外に工場を移転した結果、国内の産業が衰退し、失業者を生んだ事実も大きく関係していた。トランプのこうした保護主義対策は、自由貿易主義の『共和党』の本流から外れているにも関わらず、白人の労働者層、中間層の支持を獲得したのである。

 

 

だが、輸入品に高い関税を課すと物価の上昇を招き、消費者の負担が増し、かえって国内経済の停滞が悪化する可能性も示唆されている。アメリカは今、

 

  1. 文明間の対話こそが必要
  2. 強いアメリカを誇示しながら力の政策を推進せよ

 

という意見の間で揺れている。

 

 

強いアメリカ再び

かつて、フランスで『王様』をギロチン刑に処してしまったとき、王がいなくなり、一時弱体化してしまった。弱いリーダーシップではこの窮地を脱することはできそうにもない。そこに現れたのがフランスの軍人であり政治家、ナポレオン・ボナパルト、つまり『ナポレオン(在位:1804年 – 1814年、1815年)』である。

 

[ダヴィッド『ベルナール峠からアルプスを越えるボナパルト』]

王を失ったフランスで『ナポレオン・ボナパルト』のエネルギーが大爆発!イギリスの代わりに世界を獲るか?

 

アメリカは『ブッシュ、オバマ』と下降気味かつ弱気になっていた機運を覆そうと、事実下馬評を覆してヒラリー・クリントン(民主党)ではなく、トランプ(共和党)を大統領に掲げたのだ。

 

下馬評

うわさ・評判

 

事実、2019年8月現在トランプ大統領は、

 

  1. 大減税
  2. オバマケア強制加入見直し
  3. 規制廃止
  4. エネルギー開発
  5. 国教壁建設
  6. パリ協定離脱
  7. 核合意見直し
  8. エルサレム首都移転
  9. その他の保守的なイシュー

 

に関し、大統領令や議会策を駆使して実現に漕ぎつけている。政権発足当初2年間で教阿藤多数の上下両院の力を背景とし、トランプ政権は通常の政権では何年かかっても通過させることが困難な政策をいくつも実現させたのである。

 

 

ホルムズ海峡タンカー攻撃事件

だが、2019年6月13日の現地時間早朝に、中東のホルムズ海峡付近で日本とノルウェーの海運会社が運航するタンカーが襲撃を受けた『ホルムズ海峡タンカー攻撃事件』で、トランプ大統領はTwitterでこうツイートした。

『イランは大きな過ちを犯した。』

 

アメリカとイランとの関係は下記の記事に書いたとおりだ。『イラン革命』で中東の『親米派』として確保できなかったアメリカは、イランの代わりにイラクを選び、そして『イラン・イラク戦争』へとつながった。それ以来、イランとアメリカの関係は好ましくない。

 

『第三世界』をなめるな!『イラン革命』でイスラム原理主義を唱え『イラン・イスラム共和国』が誕生!

 

[火災発生後の「コクカ・カレイジャス」。左側円が損傷箇所、右円は吸着水雷の不発弾とみられる物体]

 

トランプ大統領は戦争になった場合、

『かつて見たこともないような完全破壊が起きる。』

『ANNIHILATION(アナイアレーション。完全破壊。国家の消滅)』

 

というあまり外交では使わない過激な言葉を用いてイランを牽制する。アメリカは、事件直後からイランの革命防衛隊の犯行であると主張し、それらが火被害を受けたタンカーから水雷を取り除く様子を記録した映像まで公開し、犯行をイランによるものあと断定してきたのだ。さらに、アメリカの無人探査機が撃墜されたことでトランプ大統領はイランへの態度を硬化させ、対イランの有志連合結成を世界各国に呼び掛けた。

 

だが、結局それに反応する国が現れなかった。実は、兼ねてからこのアメリカの主張が『怪しい』と考えられてきていた。実は、その事件があったとき、日本の安倍首相はまさにイランにいた。そして、イランの最高指導者ハメネイと会談していたのだ。しかし、事件を聞いても慌てず冷静に対処し、目の肥えた日本陣営が彼ら、あるいはイラン全体を観察するところ、どうもイラン側に怪しいところはなかったというのだ。

 

アリー・ハーメネイー


参考
アリー・ハーメネイーwikipedia

 

むしろ、

『阿部首相が訪問してくれて本当にありがたい。これからロウハニ大統領は中央アジアのキルギスで中国の習近平国家主席やロシアのプーチン大統領と会う予定がある。その直線に安倍首相から重要な話を聞けて、中ロとの対話に深みが出る。』

 

と感謝されたという。大統領周辺が日本をそれだけ重視しているのだ。そういう状況下の中、イランが日本を相手に妙な事件を起こすのは考えにくいという。

 

 

ペンタゴン・ペーパーズ/最高機密文書

国連の承認も得ずに暴走し、結局イラクで大量破壊兵器は見つからなかった例で見たように、アメリカはどうも『画策』するのが好きらしい。実は、1964年の『トンキン湾事件』では、当時のジョンソン大統領がベトナムのトンキン湾を巡視中の米国の駆逐艦が行来攻撃を受けたとして宣戦布告し、ベトナム戦争に発展した。だが、後にその事件はアメリカの捏造だったことがわかったというのである。

 

[マドックスから撮影した3隻のP-4魚雷艇]

 

wikipediaを見てみよう。

これをきっかけに、アメリカ合衆国連邦政府は本格的にベトナム戦争に介入、北爆を開始した。アメリカ合衆国議会は、上院で88対2、下院で416対0で大統領支持を決議をした。しかし、1971年6月『ニューヨーク・タイムズ』が、いわゆる「ペンタゴン・ペーパーズ」を入手、事件の一部はアメリカ合衆国が仕組んだ物だったことを暴露した。

 

これは映画にもなっている。2大オスカー俳優メリル・ストリープ、トム・ハンクスがスティーヴン・スピルバーグ作品で初競演を果たした話題作、『ペンタゴン・ペーパーズ/最高機密文書』である。かなり見応えのある映画だ。

 

 

先ほどのイラン革命防衛隊の映像も、アメリカの軍事衛星の能力をもってすれば、爆弾を仕掛け、回収し、持ち帰る先まで追跡することができるはずだが、公開された映像は『回収中』の映像だけだった。このあたりもどうにも怪しいところだと疑われているのである。

 

  1. トンキン湾事件捏造
  2. 大量破壊兵器があると主張して強行突破

 

やはりこのような先例があり、アメリカとイランの関係性を見る以上、どうもアメリカは信憑性に欠けるところがあるわけだ。

 

参照

『PRESIDENT.2019.8.30』

 

 

世界最大のシェールガス大国

2010年6月のマサチューセッツ工科大学の研究では、将来天然ガスはアメリカ合衆国のエネルギー需要の40%(現在は20%)をまかなうようになると報告された。この理由のひとつとしてシェールガスの豊富な供給量があげられている。2013年2月、米国での天然ガス生産は2012年にロシアを超え世界最大になった。実に、世界の3分の1を生産していることになるわけだ。アメリカは2020年までに輸出国になると予想されている。

 

[シェールガスの賦存(黒色部分)。シェールガスを含む頁岩層 (Gas-rich shale) に水平にパイプを入れ、高水圧で人工的に割れ目をつくり、ガスを採取する。]

 

 

世界最大のエネルギー生産国になったアメリカは、中東原油を軽視し始めている。このような背景からトランプ大統領は、

『(ホルムズ)海峡から中国は原油の91%、日本は62%、他の多くの国も同じように輸入している。なぜ我が国が何の見返りもなしに他国の為にシーレーンを守らなければならないのか。

『こうした国々がいつも危険な旅を強いられている自国の船舶を自分たちでするべきだ。』

 

とツイートしている。これは私の完全な思い付きで何の信憑性もないが、もしアメリカがこう考えていたらどうだろうか。

 

イランで事件が起こってイランの信頼がなくなれば、イランとの原油取引をしているところが、アメリカとのガス取引を検討するかもしれないな。

そうなれば、対イラン対策になり、アメリカに利益も入り(取引先が増え)、一石二鳥だ!

 

[米エネルギー情報局 (EIA) による主なシェールガス層の分布図。]

 

もちろんこれは今私が勝手に思いついた無意味なシナリオだが、今までのアメリカの『堂々たる捏造』の先例を考えると、やりかねないと思うのは私だけではないはずだ。先ほど『ロシアを超え』というキーワードがあったが、それはつまり、ライバルであるロシアにもシェールガスが豊富に存在するということになるのだ。

 

果たして、今後『パクス・アメリカーナ』の時代はいつまで続くのだろうか。そしてそれを打破する国は現れるのだろうか。多くの人の本音は『平和』だ。この現状を覆す際に争いが行われるようであれば嫌だし、かといってアメリカがその覇権の維持の為に越権行為をすることも認められない。この世界に平和が訪れるとしたら、それはどういうときなのだろうか。

 

もちろん私は以下の記事でその答えを出しているが、それが『自然発生的に』実現される日が来ることはないだろう。人間はいつも、まずは自分のやりたいようにやり、そして失敗してから学び、試行錯誤しながら徐々に軌道修正してきたからだ。いきなりスパンと世界平和の日がやってくることはないのだ。

 

Inquiryで導き出したもの、導き出していくもの(序)

 

中田敦彦のyoutube大学

オリエンタルラジオの中田敦彦さんがこの時代までのアメリカ史をまとめた人気動画があります。

該当する年表

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参考文献

IQ

I drew illustration. Thank you!

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