いや、無関係である。だが、少し前の人間はそう思っていなかった。
かつて『虫歯』は、歯に穴が開いたところに、何か歯に穴をあける不思議な力を仮想したり、ときには悪霊などの仕業だろうと考えていた。それに対し、アメリカ人のミラーが、ドイツのロベルト・コッホ(1843~1910年)の研究所にいて、結核やコレラのように、何かのバイ菌が虫歯をつくるのだろうと、口腔中のいろいろな菌を調べ、『化学細菌説』という理論を出したのが、虫歯に対する最初の学説である。
このロベルト・コッホという人物は、ルイ・パスツールとともに、『近代細菌学の開祖』とされる細菌学における重要人物だ。そして日本人で言えば、次の5千円札の顔となる北里柴三郎が『日本の細菌学の父』と言われる。北里はつまり、コッホの弟子にあたる人物である。
新紙幣の人物
こんなについ最近まで『悪霊』がどうのとかそういう話がまかり通っていたのだ。それであれば、それよりも前、それよりも更に前になるとどうなってしまうか、想像できるだろうか。例えば以下のようなことがあっても全然不思議ではないだろう。
そして『歯に穴が空いたらそこには悪霊がいる』のだ。人間の想像力は無限である。ちなみに下記の記事で『日本人は、外国人から『口が臭くて残念な国民』と思われている』ことについて書いたが、
虫歯や歯周病は口臭の原因になるから、放置しない方がいい。
というよりむしろ、『死ぬ』ことさえある。『歯周病で死ぬのはイヤだ!』にはこうある。
虫歯で死ぬこともある
あるサラリーマンの方の歯茎が、腫れるようになりました。しかたなく歯科医院を訪れたところ、歯茎を切開して膿を出したそうです。ところが、帰宅後、急に熱が出てきて、しかも悪寒と胸の痛みを覚えて、立つことができなくなりました。慌てて救急車を呼んで病院に行きました。原因は、歯茎の血管から入った細菌が、肺にまわった結果の肺炎でした。しかも、もし体力が落ちていたり、ほかになにが持病でもあったら、命も危なかった。と医師に言われたそうです。
なるほど。虫歯の周りに『死神』のような死のニオイが充満していることは事実のようだ。その禍々しい雰囲気に世の人は『悪霊』の姿を見たのかもしれない。
参考文献