いくつか質問があるんだけど、わかりやすく簡潔に教えて!
1.人が想像した『神』です。
2.『神』はその時に想像されたと考えられます。
人は昔、動物と同程度の知能しかありませんでした。
ですから、雷や稲妻、洪水のような自然な変化は、何か恐ろしい偉大な存在が自然の秩序を操るものだと信じました。そして、農耕社会が始まり、秩序を必要とした人間が、その時の『神話』を基に『神』をそれぞれが独自的に創造し、それに従って統率していくようになったわけです。それが宗教の始まりでもあります。つまり、人が言うことを聞かなかったから、『神』の存在をほのめかし、『神の指示だ』ということにして、人をまとめたのです。
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上記の記事の続きだ。このようにして、
こういった行為がタブーとされるようになり、ルールというルールが人間社会に登場するようになった。しかし問題なのは、このルールを『誰が』人間たちに植え付けるかだ。やはりテストステロンの影響もあるだろうし、権力同士が争いあって、意見を聞かない人間も現れる。統率が取れないのだ。
そこで登場するのが『神』である。そう。いよいよここで、人間社会に『神』という『人間の上にあるもの』が登場するのである。
世界6大宗教も、そうじゃない消滅した古代宗教も、その大部分はこの農耕時代の初期に生まれたものである。そして人類4大文明も狩猟採集時代から形成されていた神話をルーツにしているのだ。
世界6大宗教
人類4大文明
こうして『神話』が『宗教』へと変わっていく。
『世界の神話 神話の生成と各地の神話。神々と英雄の活躍』にはこうある。
各地域と民族の情緒と現実に合わせ、より細分化、精密化された神話体系を備え、その社会に必要な倫理と道徳の尺度を提供し、ひいては法律、化学、哲学の本体をなす宗教として体系を整えた
『神』が想像されたのは、
という2つの大きなポイントが影響していると考えられる。このように物事の起因がわかってくると、この世界や人間の実態が徐々に輪郭を表すようになる。つまり、まず最初に『動物と同程度の知能の人間』が、『圧倒的な自然現象の正体がわからない』ことから、超自然的な存在を想像するようになった。そして、農耕社会が始まり、秩序を必要とした人間が、その時の『神話』を基に『神』をそれぞれが独自的に創造し、それに従って統率していくようになったわけだ。それが宗教の起因である。
例えば日本には『千と千尋の神隠し』や『バケモノの子』等で当然のように出てくるように、『八百万の神』として、そこら中に神様がいる。水の神とか、山の神とか、そのようにして神様がたくさんいることで、山を大切にするし、水を大切にする。つまり、『そうしなければ人はそれらを大切にできない』という事実があったことから、人々はそこに『高潔さ』、『神聖さ』を持たせ、価値をつけ、慎重にそれらに接していくようになったのである。
『神』や『祟り』という概念があるからこそ、人はそこにたいして『高潔さ』、『神聖さ』を見出すことができ、その対象をぞんざいに扱わない。そうやって人間が徐々に動物とは一線を画す、理性的な存在になっていくのである。
[天岩戸神話の天照大御神(春斎年昌画、明治20年(1887年))]
人間が農耕社会を始めたのは正確にはわからないが、『1万年前』くらいから始まっていたと考える専門家もいる。
シリアにある、11500-7500年前頃とされる新石器時代の遺跡、アブ・フレイラ遺跡から出土した人骨には、脊髄損傷、足指の重い骨関節炎、大腿骨や膝の骨の変形といった、旧石器時代の狩猟生活を送っていた人類の骨には見られない特徴が確認されている。このことは、当時の農耕が、狩猟と異なって、いかに過酷な重労働であったかを物語っている。
またいずれ書くが、いわゆる『天国と地獄』の発想の大元はゾロアスター教で、それがユダヤ教、キリスト教らに影響した。終末論(最後の審判)、救世主論(キリスト等のメシア(救世主)が現われる)という発想も、ゾロアスター教が最初である。ゾロアスター教の創始者ゾロアスター(ツラトゥストラ)は紀元前1600年頃を生きたとされていて、モーセが紀元前1280年頃、ヘブル人をエジプトから脱出させ、シナイ山で神ヤハウェと契約を結んで『十戒』を作ったことがユダヤ教の最初だから、ゾロアスター教の方が最初に存在しているという見方が出来る。
ちなみにバラモン教は、紀元前2500年頃のインダス文明とともに生まれたとも考えられており、世界最古の宗教であると考えられている。宗教が生まれたのは大体このあたり、つまり、今から『4,500年前』くらいだということになるだろう。しかし下記の記事に書いたように人間にとっての一番最初の宗教『原始宗教』である。
『宗教』というのは英語で『religion』と言うが、これはフランス語でもドイツ語でも同じだ。これはラテン語の『religio』に由来し、『神と人をつなげる』という意味がある。したがって、神話で神(創造の範疇を超えた巨大で偉大な存在)を敬う、という行為自体は『宗教』と言えるのである。だとしたら、神話が存在していた時代からすでに宗教も存在していたと言えるだろう。それがいつ生まれたのかは明言できないということになる。
『モーセの十戒』が作られたのは、紀元前1280年頃だ。
[モーセの十戒(レンブラントの絵画)]
※モーセの十戒。ここには異なった訳を入れて11個掲載。
この十戒にあるのは、冒頭に挙げた内容とほとんど同じものである。こうして人間は、人間の上に『神』を想像し、人間に規範(ルール)を与えていき、秩序を作ってきたのだ。
このモーセが十戒を作ったのは紀元前1300年頃だが、映画『エクソダス:神と王』でも、400年以上奴隷として扱われてきたヘブライ人を救い、ある海の前まで連れてきたモーセに対し、ヘブライ人がこう意見するシーンがある。
自分たちを救おうとする存在ですら、人は疑ってしまう。しかし、その人物に偉大なる後光が差すのなら、人はそのエネルギーから力をもらい、立ち上がることができる。
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