多くの人が知らないだろうが、実は漢方薬というものにはある秘密がある。『「からだの不思議」雑学事典 (王様文庫)』にはこうある。
漢方薬は『体にやさしい』ってこれホント?
私たちは、『体調を良くしてくれたり体を丈夫にしてくれるものであれば、体にいいものなんだろう』と思いがちだ。漢方薬がいい例だ。『漢方薬は体にやさしい』というフレーズをよく耳にする。しかし、それが違うのだ。むしろ、漢方薬は『体に良くないものだから、体からの排出が促進されて健康になる』のである。じつは、漢方薬は毒なのだ。(中略)排泄というのは人間にとって大切な機能。体にため込まれた老廃物や毒素などがしっかり排泄されると、免疫力が高くなり、体調がよくなる。漢方薬は天日で干されているので、黒くカラカラ乾いている。苦くてまずくて、栄養になるようなものはほとんどない。それを飲むと、体が毒だと判断して、一所懸命排出しようとする。その結果、体にため込まれていた悪いものも一緒に出て、免疫力が高まるというシステムなのだ。
つまりこういうことだ。
ということで、『自殺』との共通点は『自ら毒を飲む』という行為のことである。もっとも、自殺の場合はその排泄力を上回る毒素を服用してしまうので、そのまま毒に侵され死んでしまうので、毒を飲むなら漢方薬程度の毒にしておいた方がいいということだ。
ちなみに『睡眠薬で自殺できる』と思っている人が大勢いるだろうが、実はそれは古い人間の考え方である。『ササッとわかる「睡眠障害」解消法』にはこうある。
現在の睡眠薬は副作用も非常に少なく、長期間使用しても問題ありません
不眠症の人には睡眠薬が処方されます。睡眠薬というと、『睡眠薬自殺』を連想して、体によくない、飲み続けるとボケるなどという人がいますが、そのようなことはありません。昔の睡眠薬は呼吸機能や循環機能を抑制する作用があったため、大量にのむと死に至ることもありました。また、依存性も高く、飲み始めるとやめられないこともありました。しかし最近は呼吸機能や循環機能に影響を与えない睡眠薬の開発が進み、現在処方されている脳の中のベンソジアゼピンという受容体に作用する睡眠薬は、こうした副作用はほとんどありません。
負のイメージを作ってしまっていたのは『昔の睡眠薬』である。だから、今の睡眠薬を大量服用しても死ぬことはできないので、『睡眠薬=自殺』というイメージは時間が経てばこの世から消えるだろう。
『睡眠薬で自殺』と言えば、2017年にロバート・デニーロ主演の『Wizard of Lies』という映画が放映された。これは実話で、株とか投資とかそういう話で、大勢の有名なアメリカ人富豪者を巻き込んだ主人公の投資家がお金を集め、そして失敗して莫大な借金を残し、死者や、人生が破綻した人を大勢出してしまった事件と、その張本人の人生を描いた映画なのだが、順風満帆に言っていたと思っていた彼の家族は、その事件とともに崩壊。そして唯一の支えだった妻も、彼女自体は何もしていないのに、巻き添えを食らって散々な目に遭い、ついには自殺をすることにした。
夫婦で大量の睡眠薬を飲んで死ぬことにするのだが、しかし、幻覚を見るだけで、結局は死ねなかった、というシーンがある。この自殺しようとしたシーンは現実では2008年やそこらの話だから、もうその時点で、睡眠薬で死ぬことはできなかったということになるだろう。
参考文献