『神』はどこから生まれたの?わかりやすく簡潔に教えて!
神話における『神』は、『混沌(カオス)』から生まれたか、最初からいたという設定になっています。
昔は自然についての知識はほぼありませんでした。
ですから、雷や稲妻、洪水のような自然な変化は、何か恐ろしい偉大な存在が自然の秩序を操るものだと信じました。そして神話が生まれ、そこで『神』という偉大な存在が想像されます。つまり自然に神が創造され、その次に人間がつくられたわけです。その『神』ですが、
という2つの説に分かれます。そしてその解釈がそれぞれの神話の方向、ひいては宗教の性格を大きく変えることになります。
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このあたりの記事の続きだ。『人間の知能は動物とほとんど変わらなかった。自然についての知識はほとんどなかったので、自然のすべての変化が神秘と畏敬の対象だった』。自然についての知識はほとんどなかったので、自然のすべての変化が神秘と畏敬の対象だった。雷や稲妻、洪水のような自然な変化は、何か恐ろしい偉大な存在が自然の秩序を操るものだと信じた。そうして世界に『神(人の上に立つもの)』が生まれ、言語が発達してそれが『神話』となっていった。
では、その『神』というのはどこから生まれたのかという疑問を紐解いていこう。人々はどうやって『神』をこの世に登場させたのか。『世界の神話 神話の生成と各地の神話。神々と英雄の活躍』にはこうある。
世界各地の神話に共通して現れるのがまさに太古の『混沌』だ。宇宙と自然、人間が想像される前の状態はひたすら闇だけですべてからみあった混沌の状態。ギリシャ人はこれをカオス(Chaos)と呼んだ。カオスの状態から宇宙と人間が創造される過程に向かうとき、神話の世界は大きく2つに分かれる。1つは超自然的で全知全能の力を持つ存在が『創造』したというものだ。つまり神による創造説だ。もう1つはカオスの状態から物質の自然な進化によって神と人間が生まれたというものだ。つまり自然に神が創造され、その次に人間がつくられた。太古に神々がいて混沌から世界を創造したという見方と、混沌から神が現れ、世界を整理したという説は、神話の方向、ひいては宗教の性格を大きく変える。しかし、世界のほとんどすべての神話は混沌から始まる。
つまりこういう2つの説が考えれたわけだ。まず『神』が最初からいる説。
そして『カオス』から神が生まれた説。
どちらにせよ一番最初にあったのはこの『混沌(カオス)』である。これは宇宙とも違う、闇とも言えない、『いろいろなものが交じり合った世界』という、実態の把握が難しい世界である。宇宙はここで言う『自然』に該当するので、それもこのカオスから生まれたということになる。よくはわからないが、それぐらいしか考えられないということだ。人間の想像の限界がこのカオスという状態を生み出しているわけである。
ここで下記の記事を見てみよう。
ここには『ビッグクランチモデル』と言われる、アコーディオンのように収縮と膨張を繰り返す宇宙の在り方の考え方を記載している。つまり膨張はあるところまで行った後『反転』し、今度は収縮が始まる。そう考えたとき、われわれが認識している138.2億年前に起きたビッグバンは、あくまでも『最新のビッグバン』であり、我々はこの連鎖の中という限られた時間の中でしか生きられないということである。
しかし実際には『宇宙は永久に膨張し続ける』という理論が濃厚になってきている。
この『インフレーション理論』ははるか以前からあったのだが、結局はこの理論を考えた方がつじつまが合うということで、現在一番濃厚なのがこの理論だ。そしてそこにある本にも、
したがって、宇宙は特異点という物理法則が破綻する一点から生まれ、その後は相対性理論にしたがって膨張してきたという、不完全なシナリオしか描くことが出来ないのです。
として『宇宙の始まり』が何であるかは謎のままだと考えている。しかしそこに記載する本の著者、バックミンスター・フラーは2000年以前(おそらくは1950~2000年の間)に、すでに『宇宙は本質的に複雑で、永遠に再生的である。宇宙には『始まり』も『終わり』もあり得ない。かなりの科学者がこの始まりと終わりという誤った概念を発明するために、いまだに無駄な努力を費やしている』と言っているわけだ。
その『相対性理論を楽しむ本 よくわかるアインシュタインの不思議な世界』を書いた著者も相当な識者である。彼のような人物が『宇宙の始まりは謎のまま』と言っているわけだ。しかし、このバックミンスター・フラーという人物も相当な人物である。彼は、『宇宙の始まりも終わりも存在せず、永遠に再生的である』と言っている。どちらの意見が正しいかということは、それが人類の手で明確に解き明かされるまで断言することはできない。
しかし、100年前にアインシュタインが相対性理論を見出し、ブラックホールの姿かたちを想像したが、2019年4月に人類が初めて目視することに成功したブラックホールは、彼が想像したほぼそのままの形だったことがわかった。国立天文台の本間希樹教授は言う。
今回の成果は宇宙の始まりの解明にもつながるということで、ノーベル賞級と称賛する声が上がっている。バックミンスター・フラーが言った『宇宙の始まりも終わりも存在せず、永遠に再生的である』という言葉が真実であるか、それとも宇宙の始まりが何だかこれでハッキリするのか、時間の問題である。
人類がこの世界の『最初』にあったものと想像した『カオス』は、本当は何であるか。この研究が進んでいくにつれてハッキリするのか。それとも、更に理解不能なブラックボックスが現れ、人間の心がもう一度『カオス』に逆戻りするのか。それはこの先を進んでみなければ誰にも分らない。
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