レストラン等で外食をするとき、店主からでも自分からでも『旬のもの』を食べるような流れを作るときがある。例えば店主が、
などと言い、それに対して、
などと返すと『通』っぽく見えて格好いい。そう考えるような人がいるだろう。しかし実際には、『旬のものを食べる』という行為によって得られるのは、『通っぽく見える』という恩恵だけではないのだ。『アトピーは病気ではない』にはこうある。
陰陽と身土不二を知り、旬のものを食べる
(省略)今では一年じゅうトマトやきゅうりやなすなどが食べられますが、本来夏でなければ育たないものを冬に食べれば、体を冷やして病気になってしまうことを知ってください。(中略)たとえば、私たちは遠く南の国からバナナを輸入して一年じゅう食べることができます。けれどもバナナがとれるような国は熱帯の暑いところです。気候が『陽』のころには『陰』のものが育ちます。
バナナもマンゴーもヤシの実も暑い国にしか育たない『陰』の果物です。食べた人の身体を冷やしてくれます。暑い国の人が食べてちょうどよいようになっているのです。それを温暖な気候の国の人が、まして冬に食べたりしてはいけないのです。そのうえ、遠くに運ぶために、防腐剤や防虫剤などがたくさんかけられていることも、よく知っておいてください。食べ物に長い旅をさせてはいけないのです。
『人間の身体と土地は切り離せない関係にある』ということ。その土地でその季節にとれたものを食べるのが健康に良いという考え方。
旬のものを食べることが最も人間の心身にいい影響を与えるのだ。そして、無理矢理旬ではない季節外れの食べ物を食べようとすると、人間の身体に入れる必要のない、余計なものまで摂り入れることになる。例えば、バナナもマンゴーも『夏の果物』だ。それなのに、それを夏以外の季節に食べようとすると、収穫したあと、それをどこかで『保存』する必要がある。
しかし、そのときに使われる『保存料』は決して体にいいものではない。その保存料は、『夏の食べ物なのに、それを冬に食べたい』というわがままな人の希望を叶えるために、やむを得ず使用する防腐剤なのである。
旬のもの | 栄養価が最高値の状態 |
旬ではないもの | 栄養価が低く、保存料等の余分なものが入る |
『旬のもの』というのは、その食物の栄養価が最高の状態にあることを意味し、『旬ではないもの』はその逆で、高い栄養価を期待できず、むしろ有害物質さえも取り入れてしまう可能性があるということなのである。
上記の記事に、利便性を追求したコンビニエンスストアに『品質』を求めるのは、カップラーメンに最高の品質を求めるようなものだと書いたが、同じように、旬ではない時期にその食物を食べられるということは『便利』ではあるが、同時に『わがまま』でもあり、それらの欲求を満たすならその代償として、『体に悪い影響』を与える可能性を覚悟しなければならないのだ。
レストラン等で『旬のもの』を食べる流れがあるときは、このあたりの要素を理解した上でその流れを進めれば、ただ表層的に『通っぽく見える』だけじゃなく、本当の意味で『賢者』の立場を味わえるだろう。
そう考えると、本当に賢い食事というのは、『一年中旬のもの』を食べるという生活を送るということがわかる。現在は、お金があればその生活が簡単に送れるようになっている。農家の人は野菜、漁師の人は新鮮でおいしい魚を食べる特権を持っているが、彼らが『すべての食物』の旬を食べられるわけではない。しかしお金があればこの問題を解決することができる。
もしお金がなくても『愛と知恵』があれば、皆で協力して食物を交換し合い、人は常に『旬で栄養価が高く、体にいいもの』を摂り入れる生活を送ることができる。さて、あなたはどの選択肢を選ぶ?
多くの人は『3』を選択するだろう。健康に問題が出ていない人、年齢が若い人なら尚のことそうなるのが相場だ。そしてそういう人はとても多い。だからこそそういう人向けに『中途半端な品質の食物』を『安い価格』で『時期と場所を問わず』売り、お金を稼ぐことができる人間がいるのである。
『ある程度の商品を買って楽をしたい消費者』と、『適当な商品を売って儲けたい生産者(提供者)』の、需要と供給がマッチするのである。
参考文献