ハニワくん
先生
なぜ神話はめちゃくちゃで、宗教は規則正しいの?わかりやすく簡潔に教えて!
それぞれが生まれた時代が関係しています。
ハニワくん
博士
神話は自由に想像され、宗教は人に秩序を与える為に考えられました。
神話が生まれた時代は自由でした。ルールというルールもなかった。そして人に秩序を与える為に宗教が生まれました。ですから、神話は自由に発想され、今考えるとかなり無茶な話が多く出てきます。そして宗教は、人に規範を与えるようなきっちりした教えが軸になっています。
博士
ハニワくん
先生
Contents|目次
『神話』から『宗教』へ
この話の続きだ。とにかく『神話』が『宗教』へと変わっていったわけである。
ヒンズー教などは特殊なケースで、神話の神々がそのまま根底に根付いている。インドが『宗教の国』、『永遠の神話の国』と呼ばれるのは、このヒンズー教の存在があるからである。
ヒンズー教の神々
- 創造神:ブラマ
- 破壊神:シヴァ
- 維持神:ビシュヌ
しかしそれ以外の宗教は神話とは一線を画し、より『人に秩序を与える』ための規律として、磨かれていった。『神』が想像されたのは、
- 圧倒的な自然現象の正体がわからなかったから
- 人間を統率するための『人間以上の存在』が必要だったから
という2つの大きなポイントが影響していると考えられる。つまり、まず最初に『動物と同程度の知能の人間』が、『圧倒的な自然現象の正体がわからない』ことから、超自然的な存在を想像するようになった。そして、農耕社会が始まり、秩序を必要とした人間が、その時の『神話』を基に『神』をそれぞれが独自的に創造し、それに従って統率していくようになったわけだ。それが宗教の起因である。
自由な神話、お堅い宗教
そう考えると、『神話』というのは『宗教』が生み出されたよりも前にあったことはわかるはずだ。そして、前に遡るほど人の知能は低下していく。今の世で、
と言う人はいないが、しかしそれは昔に遡るほど現れていくわけである。例えば、ソクラテスの前にはタレスがいたが、ソクラテス以前は人間についての哲学はなかった。ソクラテスの登場とともに、倫理と道徳の声が高まり、人間社会に新たな秩序と価値を求めるようになる。この紀元前600~400年頃の時代、世界に目を向けるとこのような傾向があった。
彼らが倫理と道徳の尺度を設けたのは同時代だった。この理由は今まで説明したように、世界的に農耕社会が定着し、古代国家時代に移る過程で、より強力な精神体系を必要とした人間の動きが関係している。ソクラテスは、『社会とは道徳と倫理の秩序なしには存在しない』という考え方のもと、国家の理想を一個人の幸福よりも重要だと考えて、国家の定めた『法』を何よりも重視した。
『悪法もまた、法なり。』
と言い、法に逆らわず毒杯を飲んだことの理由には、こうした背景も手伝っていると考えられている。
- 宗教
- 倫理
- 法律
- 道徳
共同生活の規模が大きくなるほど、こういったルールが人間を支配するようになっていった。このあたりではすでにソクラテスや孔子、ブッダのような人がいて、人間の知性が躍動しているのがわかる。しかし、神話を信じていた時代の人々はもっと自由で、悪く言えば『めちゃくちゃ』だった。だから神話には、現代人が理解できない倫理や道徳といった、これらのルールを無視した逸話が多く残されている。
『世界の神話 神話の生成と各地の神話。神々と英雄の活躍』にはこうある。
どの宗教もある社会が目指すべき共同の価値観と美徳を提示する。これに基づいて法律が生まれ、社会規範も備えられた。それほど宗教はある社会や民族の精神を支配する尺度となり、一様に善と悪を区別し、してはならないこととなすべきことをはっきり区別した。しかし神話はこうした独特や倫理が確立する以前に形成されたので、これにあまりとらわれない。ギリシャ神話にも(農耕社会以後の基準からみて)とても非道徳で非倫理的な話がたくさん登場する。神がたくさんの他の女神と浮気するかと思えば、兄弟で結婚して子を作り、場合によっては父と娘の間で子をつくるなど、宗教時代以降の道徳や倫理とは全く異なる乱れた(?)生活が当然のように繰り広げられる。
神話 | 狩猟採集時代に生まれた | 自由でめちゃくちゃな発想 |
宗教 | 農耕社会を作る過程で生まれた | 秩序を作るためのきっちりとした規範 |
神話は完全に、人の自由すぎる発想から生まれたものである。雷や地震を受け、
きっとこういう存在がいて、お怒りになっているんだ!
などと、ただ『イメージする』だけの段階だったわけだ。そして言語の発達とともにそれが言葉で言い伝えられていく過程で、様々な神話が、世界各国で生まれるようになった。しかし宗教の場合は、その起因自体が『人間に秩序を求めるため』であるからして、神話の起因とは全く理由が違うのである。
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