プラシーボ効果とは、思い込みによる効果だ。人は、強くそれを思い込むと、理論的には考えられないようなことを巻き起こすことがある。例えば、単なる冷たい鉄の塊を肌に押し当てただけで、火傷してしまった事例があるのだ。
このようなことは理論的には説明できないことである。普通、火に水をかけたら火は消えて、火に油を注いだら火は燃え盛る。そのような理論がこの世の中には存在して、それで大体のことが説明できるようになっている。そのような論理を利用するからこそ、飛行機が空を飛び、電車が線路を走り、車やバイクが道路を走るのである。それなのに、そうした一般理論に逆らうそのような事実は、理解不能として言いようがない。そして理解不能な出来事が目の前で起きたとき、人々はそれを『奇跡』と呼ぶ。
このプラシーボ効果をより『奇跡』と感じやすい事例がある。世界的に著名なアメリカの細胞生物学者であり、ウィスコンシン大学医学部やスタンフォード大学医学部で教鞭をとる、ブルース・リプトン博士の著書、『思考のすごい力』にはこうある。
1952年、イギリスで、ある掛け出し医師がミスをした。そのおかげで、医師アルバート・メイソンは、短い間ながら学界でもてはやされることになる。メイソンは15歳の少年のイボを催眠療法で治そうとした。イボの治療に催眠療法が適用されることがあり、かつ成功率も高く、メイソンもそれまで経験を積んできた。 (訳註:イボはウイルスの感染によるものだが、催眠によるイボの治療は当時広く行われており、治癒率はかなり高かったという。だが、なぜ催眠によってイボが治癒するのかは解明されていない。)
ただし今回は厄介なケースである。肌がごわごわになっていて、人間の肌というより、まるでゾウの皮膚のようなありさま。しかも全身がその状態で、まともなのは胸だけ。 ある外科医が皮膚移植で治療をしようとして断念し、メイソンに少年を任せたのだ。最初の治療で、メイソンは片方の腕に焦点を絞ることにした。少年を催眠状態に導き、この腕はイボが治って健康なピンクの肌になる、と暗示を与えた。一週間たって再びやってきたとき、治療を施した腕はかなり良好な状態になっていた。メイソンは喜び、少年を外科医のところに連れていった。だがそこで、メイソンは自分が医学上のミスを犯していたのを悟った。
腕が治ったのを見て、外科医はびっくり仰天した。メイソンには伝えてなかったのだが、少年の腕はイボではなく、先天性魚麟癬(ぎょりんせん)という、命にかかわる遺伝病によるものだった。
つまりこういうことだ。
メイソンと少年は、その難病を完全に単なるイボだと勘違いしていた。そして、その勘違いがあったからこそ、プラシーボ効果を利用することによって、それを治すことができた。その話は瞬く間に広まり、メイソンの元に同じ病気で悩む患者が押し寄せた。しかし、メイソンは二度と同じ奇跡を起こすことができなかった。それは、メイソンがもう最初の少年の事例を受け、心底で、
これは難病だ
と少しでも疑うようになってしまったためである。そのせいで、その少しの疑う心が患者に伝わり、奇跡的なプラシーボ効果を発揮することができなくなったのだ。このあたりの話を更に深く潜りたいなら、下記の記事を見るといいだろう。この手の奇跡に目をつけている専門家は実にたくさんいて、本もたくさん出ている。『病は気から』。これは本当のことなのである。これはあくまでも個人的な感想だが、『イエスの奇跡』にもこの効果が関係していると見ている。
ヘレン・ケラーはこう言い、
ジェームズ・アレンは言った。
後、何か載せることがあるとしたら、下記の図で十分だ。この画像の元サイトは詳しく見ていないが、この図はとても重要なポイントをついている。極めて、と言っていい。
(画像)
参考文献