お酒を飲んで顔が赤くなる人は多い。特に日本人はその傾向がある。それにはちゃんと理由があるのだ。それを知らずに酒を無理やり飲ませると、最悪の場合は死に至ることになる。大学や会社の新入コンパで無理やり酒を飲ませ、アルコール中毒で死亡してしまった例はいくつもある。そろそろ全人間がこのことに対する知識をしっかり持つべきである。
本来、アルコールというのは人によって分解できる量や速度が違う。
参考
酔いのメカニズム|お酒とうまく付き合う|CSV活動キリン
上の図のように、アルコールを摂取すると、アセトアルデヒド等の物質に変化する。そして本来、それを分解しなければならないのだが、それを分解する酵素の量は、各人によって違うのである。ある歌舞伎町のナンバーワンホストは、その酵素の量がとても多いことで有名だが、彼のようにその酵素の量が多いという人の『適量』と、少しお酒を飲むだけで顔が赤くなる人の『適量』は全く違うのだ。
『「からだの不思議」雑学事典 (王様文庫)』にはこうある。
体内に入った酒(アルコール)は胃や腸を経て肝臓に集まり、約80%は『アセトアルデヒド』とう物質に分解され、残りは尿や汗になって体外へ排出される。このアセトアルデヒドが曲者。吐き気や頭痛などを引き起こして、二日酔いのもとになる有害物質だ。アセトアルデヒドは酵素によって分解され、二酸化炭素と水に変化して全身に運ばれる。そのまま尿や汗になったり、口や鼻から吐く息として体から出ていったり、という長いプロセスを経てようやく体の中からなくなるのだ。
つまりこういうことだ。
その歌舞伎町のナンバーワンホストは実際に医者に行き、
医者
と言われていた。現在、お酒を飲まずに人気を得ているホストもいるようだが、基本的に飲みの場でお酒がガンガン飲めるというのは強い。このような知識はまだまだ完全に浸透していないからこそ、コンパでのアルコール強要があるわけだが、水商売の世界にも当然広まっていない。もし広まっていたとしても『お酒を買わせて売り上げを上げる』ビジネスである彼ら、彼女らが、この事実を客に説明することもほとんどないだろう。
では、『お酒で顔が赤くなる理由』は何だろうか。それはアセトアルデヒドである。これが神経に働きかけ、皮膚の血管を広げて血流を増やし、顔を真っ赤にするのである。したがって、お酒を飲んで顔がすぐに赤くなる人は、このアセトアルデヒド分解酵素の量が人よりも少ないため、あまりお酒を飲んではいけないし、飲ませてもいけないということを理解する必要がある。
しかも、日本人はこの酵素の量が最初から少ない。それどころか、むしろ持っていないという人もいるのである。海外の人がウォッカを日常茶飯事に飲んでいるのは『理由があるから』であり、それを意味もなく真似をしてしまうと様々な『条件の不一致』が起こり、体調を崩すことになることを忘れてはならない。そこにはこのような消化酵素の問題や、腸の長さ、腸内細菌等、様々な体質の差異が関係していたりして、不自然なのである。
私もよく周りのやんちゃな人間関係に、無理やりお酒を飲まされた過去がある。私にも意地があるので、馬鹿にされるまで見下されたら、吐こうがどうなろうが無理やりにでもお酒を一気飲みしていた。ウイスキーをショットで飲むような罰ゲームがあれば、それを上回るロックグラスを用意して、それに並々ウイスキーを入れて、一気飲みをしていたものである。
そういう方向に行かなければ周囲を黙らせることはできなかった。
しかし、私は元来、酒を少しでも飲むと顔が赤くなる体質。つまりアセトアルデヒド分解酵素が少ないのだ。だから彼らとの付き合いがなくなってから、お酒を飲むことはなくなった。私のような人間はお酒を飲むべきではないからである。以前、フェスのような場所でジーマをひっきりなしに飲み続けたのだが、帰って鏡を見たら、体中に『赤と白の斑点』があり、驚いたものである。私は幼少の頃毛虫に全身を刺されてから『ぶつぶつ』の類はトラウマであり、この斑点が見られたときは、つくづく自分には酒は向いていないと確信したものである。恐らくそれも、このアセトアルデヒドの仕業だったのだろう。
ちなみに、たとえその分解酵素の量が多かったとしても暴飲は禁物だ。アルコールの過剰摂取で中性脂肪が肝臓にたまり、脂肪肝になって、やがて肝炎、肝硬変を引き起こす。肝臓は『沈黙の臓器』と言われている。そう考えると、『異変が起きる』ということは、幸運である。
参考文献