ハニワくん
先生
エジプトにも神話はある?わかりやすく簡潔に教えて!
あります。当時、命の源だったナイル川や、太陽、ファラオ(王)などを軸に作られています。
ハニワくん
博士
どの地域にも独自の神話があります。
エジプト神話は、まず『ヌン』という神の父(ナイル川の意味)がいて、『アトゥム』という太陽神が主神になっています。鷹の頭をしていて、体は人。どこかでこの様子を描いた壁画を見たことがあるかもしれません。エジプト神話では、これが人間の祖先という位置づけになっています。そのほかにも破壊の神である『セト』や、一番人気の『ホルス、オシリス、イシス』という様々な神々が想像されました。
また、エジプトのファラオ(王)は、太陽神ラーの化身であるとされていたので、彼らがトップに君臨し、すべてを支配していました。それだけ人々が神話を重視して生きていたということがわかります。少し冷静な言い方をすると、世界の歴史を見ればいたるところでこのように『権力者が権力者である理由』をこじつけて、その地位を守ろうとする人間の越権行為を見ることができます。
博士
ハニワくん
先生
エジプト神話
メソポタミアの神々の王『マルドゥク』とペルシャの絶対神『アフラ・マツダ』
上記の記事までに、様々な地域の神話について考えてきた。今回考えるのは『エジプト神話』である。エジプト神話に関しては以下の記事でも少し考えたが、ピラミッドがあるあのエジプトの地域に蔓延していた神話だ。ピラミッドは、ファラオ(王)が死んだあと、また帰ってくることを前提として作られた墓であり、家のようなもの。だからピラミッドにはファラオ関連のミイラや、たくさんのお宝が眠っているわけである。
寿命が『22歳』でこの世の生活が『苦あるのみ』であれば人は何を想う?
世界四大文明は以下の通りだが、
- メソポタミア文明
- 中国文明
- インダス文明
- エジプト文明
そのうち、メソポタミア文明はイラクとイランの間あたり、そして、ナイル川の近くの場所あたりでできた文明が『エジプト文明』であり、モーセが活躍した舞台と同じである。
エジプト神話の神々
エジプト神話にもたくさんの神々が存在する。
ヌン | 神の父(ナイル川の意味) |
アトゥム | ラーと同一視される |
ゲブ | 大地の神 |
ヌト | 天の神 |
シュ | 空気の神 |
テフヌト | 湿気の神 |
大ホルス | 太陽神の1人 |
自然現象を説明するには『神』が必要だった。では、その『神』はどこから生まれた?
上記の記事に、それぞれの神話で『世界の最初』は、こういう2つの説が考えれたと書いた。まず『神』が最初からいる説。
そして『カオス』から神が生まれた説。
どちらにせよ一番最初にあったのはこの『混沌(カオス)』である。これは宇宙とも違う、闇とも言えない、『いろいろなものが交じり合った世界』という、実態の把握が難しい世界である。宇宙はここで言う『自然』に該当するので、それもこのカオスから生まれたということになる。よくはわからないが、それぐらいしか考えられないということだ。人間の想像の限界がこのカオスという状態を生み出しているわけである。
この『ヌン』という神は、このカオスのことを指すという文献もあるようだが、実際には『ナイル川』のことを指す考え方が有力。当時、ナイル川というのは命の源だったため、何よりも重要な神の位置づけにあったことがわかる。
[太陽神の天空の創造の瞬間に、原初の混沌の海から船を持ち上げるヌン]
人間の祖先『ラー(アトゥム)』
そしてその次にある『アトゥム』は、『ラー』という太陽神と同じ存在であるとされていて、ヌンの暗い海から生まれた太古の光とされる。その後、人格化されたアトゥムだが、これが人間の祖先という位置づけになっている。鷹の頭をしていて、体は人である。
こう考えると、すべての源的存在である『ヌン』は『ナイル川』のことだから、エジプトの神のトップはナイル川という考え方ができる。だが、人間の祖先や、ヌンが別次元にあるという考え方をするなら、このアトゥム(ラー)がエジプトの神のトップと考えることもできる。事実、エジプトのファラオ(王)は、太陽神ラーの化身であるとされていた。だから彼らがトップに君臨し、すべてを支配していたのだ。
最も崇拝される3神
これらの神々一つ一つに逸話はあるが、その中でもエジプトで最も崇拝される3神のトップとして、
- ホルス
- オシリス
- イシス
がいる。
ホルス | 太陽神 |
オシリス | 死と復活の神、愛の神 |
イシス | オシリスの妻 |
オシリスはイシスの夫だが、セトという悪の神に嫉妬されて殺され、14に刻まれる。八つ裂きよりもひどい。しかし、イシスの術で復活するのだ。そうした逸話から、エジプトでは死者を復活させるとき、
と唱える。このオシリスは、下記の記事にも登場した神だ。
[オシリス(左)とアメミット獣]
エジプト9栄神(ジョジョの奇妙な冒険)
ちなみに『ジョジョの奇妙な冒険』では、『エジプト9栄神』としてこのあたりの神々を見ることができる。
『エジプト9栄神』
- ンドゥール/ゲブ神:大地の神
- オインゴ/クヌム神:創造の神
- ボインゴ/トト神:書物の神
- キャラバン・サライ→チャカ→カーン等/アヌビス神:冥府の神
- マライア/バステト女神
- アレッシー/セト神:嵐と暴力の神
- ダニエル・J・ダービー/オシリス神
- ペット・ショップ/ホルス神:天空の神
- テレンス・T・ダービー/アトゥム神
このセトは、悪の神であり、破壊の神という位置づけだが、英雄的な一面も多く持つ。どの神話でも共通する添え名は、『偉大なる強さ』。後にギリシア神話のテューポーン、キリスト教のリヴァイアサンとも同一視されることになる。この『リヴァイアサン』に関しては以下の記事で書いているが、なかなか奥が深い話となっている。
ファラオに武術を教える神としても信仰を受けたセトだが、リヴァイアサンのことも考えると、セトは『人間が元来備え持っている潜在能力(凶暴性)』を象徴する神だったのかもしれない。
該当する年表
参考文献