ハニワくん
先生
古代宗教って何?わかりやすく簡潔に教えて!
『古代宗教』と『神話』はほぼ一緒です。神話時代に生まれた神話は、古代宗教とも言います。
ハニワくん
博士
原始宗教、古代宗教、世界宗教とあります。
そのうち原始宗教は、原始時代の人々が行った『自然への敬意』が該当します。そして古代宗教とは、
- 古代エジプト神話
- 古代ギリシャ・ローマ神話
- ゾロアスター教
- ケルト神話(バイキングの神々)
といった、現在それほど身近にはないが、当時は完全に人々を支配していたこうした宗教のことを言います。これは同時に『神話』でもあります。そして世界宗教というのは、
- ユダヤ教
- キリスト教
- イスラム教
- 仏教
- ヒンズー教
のことですね(中の三つだけを言う場合が多いです)。
博士
ハニワくん
先生
原始宗教から古代宗教へ
ローマ帝国を力づくで作った時、帝国内の『宗教観の違い』の問題はどうクリアした?
上記の記事までにまとめたように、原始宗教から古代宗教へ、そして古代宗教から世界宗教が生まれるようになる。
今回はその古代宗教についての話だ。今回書くのは以下の古代宗教だが、
- 古代エジプト
- 古代ギリシャ・ローマ
- ゾロアスター教
- バイキングの神々
実は、この古代宗教に関してはすでに『神話編』でその概要をまとめてある。
古代エジプトの神話
古代ギリシャ・ローマの神話
ソクラテスも信仰したギリシャ神話の神々~『哲学』はこうして世に誕生した~
ゾロアスター教
メソポタミアの神々の王『マルドゥク』とペルシャの絶対神『アフラ・マツダ』
バイキングの神々
アベンジャーズの『ロキ』は北欧神話ではもっと凶暴な存在だった!?
『神話』と『宗教』の違い
下記の記事に書いたように、『人間の知能は動物とほとんど変わらなかった。自然についての知識はほとんどなかったので、自然のすべての変化が神秘と畏敬の対象だった』。これが神話の始まりだ。また、そこで同時に生まれた原始宗教というものは、ほとんど神話と境界線がない。当時の人が、
と言い争うことは当然なかった。まず言葉もそこまで発達していない。知能が動物程度なんだから、そういうことにはならない。『宗教』というのは英語で『religion』と言うが、これはフランス語でもドイツ語でも同じだ。これはラテン語の『religio』に由来し、『神と人をつなげる』という意味がある。したがって、神話で神(創造の範疇を超えた巨大で偉大な存在)を敬う、という行為自体は『宗教』と言えるのである。
そして原始宗教だけじゃなく、『古代宗教』もまた、神話とほぼ同じことなのである。『神話=原始宗教、古代宗教』というわけだ。
『創始者』の有無
しかし、キリスト教なんかの『世界宗教』と違って、『原始宗教、古代宗教』には『創始者』がいない。
世界3大宗教の創始者と当時の時代背景
宗教 | 創始者 | 時代 | 時代背景 |
キリスト教 | イエス | 紀元後4年頃 | ローマ帝国による奴隷たちの苦悩が絶頂に達していた |
イスラム教 | ムハンマド | 6世紀頃 | アラビア民族の対立が頂点に達していた |
仏教 | 釈迦 | 紀元前600年頃 | 数千年にわたるカースト制度が人を苦しめていた |
このような宗教は『世界宗教』だが、『原始宗教、古代宗教』には『創始者』がいないのである。それはやはり、原始時代から何千年もの間、少しずつ蓄積された様々な神話や伝説、考え方等が積もってそれらが自然にできたので、人為ではあっても人為的ではない、という不思議な状態が蔓延していたわけだ。
結局神話も古代宗教らも人が作ったのだが、創始者が定まっていなかったりして、自然に作り上げられた感が強い。
『ヘレニズム』と『ヘブライズム』
また、それらの記事に書かなかったいくつかの情報をここにまとめておこう。まず、ギリシャ・ローマの古代宗教だが、そこにあったのは『ヘレニズム文化』だった。
人間がすべての中心で、神を自分に近い存在とした。
このようなヘレニズム文化がなければ、『イエスが神の子である』という考え方は蔓延せず、キリスト教は受け入れられなかった。冒頭の記事には、キリスト教がどのようにして受け入れられたかについて書いている。
ユダヤ神話(一神教)とギリシャ神話(多神教)はなぜ和解できたのか?
しかし、アブラハムの宗教(ユダヤ教、イスラム教、キリスト教)の中で、『神が見える』という考え方をするのはキリスト教だけだ。その他の宗教では、神が目に見えるという発想はないので、キリスト教と同じアブラハムの宗教であっても、『違う宗教』として差別化されているわけである。しかし、ギリシャ・ローマに蔓延していたヘレニズム文化は、キリスト教の発想を受け入れやすかった。こうしてキリスト教はギリシャ・ローマで受け入れられ、ローマ帝国の国教となっていくのである。
ちなみに、このヘレニズム文化の蔓延によって、仏教においても『仏像』が作られるようになったと言われている。仏教でも同じように、釈迦が『偶像崇拝』を禁止していて、仏像を作ったり、個人の崇拝をするなと助言していた。ブッダは、
ブッダ
と言い続け、崇拝の的となることを拒否し、また偶像崇拝が生まれることも望んでいなかった。『ソクラテス・イエス・ブッダ 三賢人の言葉、そして生涯』にはこうある。
ほかの宗教と違って聖典に開祖の伝記を含めなかったのは、ブッダが繰り返し個人崇拝を否定していたためである。
このように考えるとヘレニズム文化というものは、
- 神を無意味に神格化しなくなり、真実の実態の把握に貢献した
- 偶像崇拝の原因となり、アウトサイド・インの図式に依存する人を出した
という2つの大きな影響力を持った文化だったと言えるだろう。
このヘレニズムの対極にあるのが『ヘブライズム』である。ユダヤ教はイスラム教はこのヘブライズムの考え方だったわけだ。
神がすべての中心で、世界、宇宙、人間は神の創造物に過ぎないという考え方。
イスラム教は紀元後600年頃に出来た新しい宗教だが、ユダヤ人はこの頃から既に存在していた。
ユダヤ教を信じる人。
ローマ帝国は最終的にはキリスト教を国教とするのだが、その過程で一度、『宗教の自由』を用意し、『ローマ皇帝も神とする』という決まりを作った。しかし、自由な宗教観によって帝国がまとまらないので、最終的にはキリスト教で一つにまとめたわけだ。そしてユダヤ人たちは、『ローマ皇帝も神とする』という話があったとき、それを断固として拒絶した。
ユダヤ人
そしてユダヤ人は故郷イスラエルから、永遠に追放されてしまうのである。次はいよいよ、キリスト教やイスラム教の大元になるその『ユダヤ教』の話だ。
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参考文献