睡眠に理想の寝室の灯りはどれぐらいがいい?インテリアの色は?
睡眠に理想の灯りは『0.3ルクス』程度です。
ちなみにそれは『満月の夜の明るさ程度』のことですね。寝室に適した照明とインテリアカラー、つまり快眠に最適なインテリアの色は、
等が挙げられます。落ち着いた淡い色ですね。コントラストの強い色はNGです。例えば、
等のあざやかすぎる色や、コントラストの強いものは神経が刺激されるのでNGです。
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睡眠と『光(灯り)』の関係性は非常に密接なものです。例えば、蛍光灯がガンガン照らされた場所で眠るのと、真っ暗な中で眠るのとでは眠りやすさが違います。
人は『メラトニン』という快眠物質のおかげでよく眠れるのですが、メラトニンが分泌されるために必要なのは『0.3ルクス』ですから、その明るさに調節することが求められます。
それぞれの明るさ
蛍光灯のついた明るい部屋 | 300ルクス |
---|---|
薄暗い部屋 | 30ルクス |
ほぼ暗闇に等しい部屋 | 1ルクス |
上記の表を見てもわかるように、『ものがおぼろげに見える程度の暗い状態で、ほぼ暗闇に等しい部屋』でようやく1ルクスですから、やはり寝るときは電気をすべて消すことが理想となります。ただ、これに関しては各専門書で言っていることが微妙に違います。例えばこの『肥満外来の女医が教える熟睡して痩せる「3・3・7」睡眠ダイエット』では、
メラトニンは30ルクス以上の明るさがあるところでは分泌が減ることもわかっています。真っ暗な状態の寝室で眠ることで、質の高い深い睡眠を得ることができるのです。
と言っていますが、『疲れが確実にとれる「眠り方」のコツ』にはこうあります。
もっともよく眠れる寝室の照明とは
(省略)夜でも部屋が昼間のように明るいと、メラトニンの分泌が抑制されていますからだ。(中略)以前はメラトニンの分泌を抑制するのは2500ルクスほどの強い光だと考えられていた。通常のオフィスの照明が500ルクス、あのまぶしいコンビニですら1500ルクス前後だから、家庭では2500ルクスなどという強烈な照明は、ほぼありえない。しかし最新の研究では、200~300程度の証明でも長時間浴び続けるとメラトニンが抑制されることが判明。(中略)明るさの目安は150ルクス以下がよいといわれている。
このように『150ルクス以下』という本もあります。『病気を治したければ「睡眠」を変えなさい』もそうですね。
150ルクスの部屋がメラトニン分泌を後押しする
(省略)メラトニンは朝、太陽の光を浴びてから15時間後に分泌が始まります。分泌量はふだん就寝する時間の1~2時間前から上昇し、真夜中にピークを迎えます。ただメラトニンには、目から入る光により、分泌が抑えられてしまう性質があります。せっかくのメラトニンパワーを利用し、気持ちよく眠るためには『メラトニンの分泌を妨げない暗さ』を意識的に作り、そこで過ごすことが欠かせません。メラトニンの分泌を邪魔しない理想的な暗さは150ルクスです。これはだいたい『夕暮れ時のほの暗さ』ですが、蛍光灯を使った一般的な家庭のリビングは、300~500ルクスもあります。
やはり『150ルクス』となっています。しかし『不眠症の科学』にはこうあります。
明るさと光
(省略)室内は暗い方がよく眠れます。もっとも睡眠感がよいのは満月の夜の明るさ程度である0.3ルクスです。これが、休憩中の映画館内より少し明るい程度の30ルクスを超えると、深い睡眠やレム睡眠が減り始め、布団をかぶったり腕で顔をおおったりなど、光を避ける動作が増えてきます。暗めの街灯の下くらいの50ルクス以上になると、さらに体動が増えて睡眠が浅くなってしまいます。とはいえ、真っ暗になっても不安がつのるためか、0.3ルクスよりも睡眠が浅くなります。安心して眠ることができ、夜中に目覚めてトイレへ行こうとしても転ばないようにするためには、豆電球のフットライトをつけて、直接光が目に入らないけれど、ものの形や色がおぼろげにわかる程度の明るさを確保するのがいいでしょう。
やはり今度は『30ルクス以上の明るさ』が不眠の原因となるとあります。そしてここでは、起床時に100ルクスの光を当てて、目覚まし時計で強制的に起こすのとどっちが目攻めがいいかを実験した結果について報告しています。
つまり、『100ルクス』の光が睡眠ではなく、『覚醒』の方向へと導く結果が出ているわけですね。
ではここで一度、 日常生活における照度について一覧を見てみましょう。
日常生活における照度
明るさの目安 | 照度(lx) |
---|---|
晴天時の雪山・真夏の海岸 | >100,000 |
晴天昼太陽光 | 100,000 |
晴天午前10時太陽光 | 65,000 |
晴天午前10時屋内太陽光 | 31,000 |
晴天午前10時屋内日陰 | 2,200 |
曇天昼太陽光 | 32,000 |
曇天午前10時太陽光 | 25,000 |
実験室(蛍光灯点灯時) | 1,100 |
コンビニ店内 | 900~2,000 |
パソコン前(卓上ライト点灯時) | ~600 |
百貨店売り場 | 500~700 |
蛍光灯照明下室内(事務所等) | 400~500 |
夜のアーケード | 150~200 |
街灯下 | 50~100 |
休憩中の映画館内より少し明るい程度 | 30 |
ロウソク(20㎝離れた場合) | 10~15 |
物陰(机の下など) | 5 |
満月の夜の明るさ程度 | 0.3 |
月は出ていないが雲のない夜空(大気光はある) | 0.002 |
月は出ておらず雲に覆われた夜空(星明りはある) | 0.0001 |
こうして見るとわかるように、150ルクスというのは『夜のアーケード』並みであり、街灯の下よりも明るいわけです。ですから、この状況で寝るということは考えられませんね。ここで言われている『150ルクス』というのは、あくまでも『150ルクス以下だとメラトニンの分泌が抑えられない』ということであり、『150ルクス程度の環境で寝るのが理想』ということではないのです。そう考えると寝るのに適しているのは、
ということになります。専門家の意見をまとめると、『メラトニンが分泌される』のは『0.3ルクス以下』であり、『真っ暗だと不安がつのるためか、0.3ルクスよりも睡眠が浅くなる』ということで、やはり『0.3ルクス』程度の明るさで寝るのが理想的だと言えるでしょう。ですから、遮光カーテンを閉めて完全に外の光を遮るのではなく、レースのカーテンを閉めるくらいの明るさを保つのがいいということですね。もし防犯上に何の問題もなければそうするのも手でしょう。ちなみに私は男で、向かいに覗かれるような家はなく、よじ登られるような問題もありませんから、レースのカーテンだけを閉めて寝ています。
まあどちらにせよ、寝室じゃなくてもどこか問題のないお風呂やトイレ等のドアを開けて、そこの小窓から入ってくる光を使うとか、何か電子機器の光とか、そういうことである程度の明るさは保たれまますから、完全に真っ暗にするということもむしろ難しいと言えるでしょう。とにかく、意識して電気を真っ暗にすることで、自然と『0.3ルクス』の睡眠に最適な明るさは作れるのではないでしょうか。そしてやはり寝るまでの明るさは、『150ルクス以下』がいいでしょう。寝室等をあまり明るくしすぎないこともメラトニンの分泌を抑えないために必要なことです。メラトニンがなければ快眠できず、それ以上明るくなるとメラトニンが抑制されますからね。
蛍光灯は昼間の太陽の光に近く、それに含まれるブルーライトはメラトニンの抑制効果が高いので、寝室には、
の蛍光灯を使うことが推奨されています。またインテリアは『ライトトーナス値』と呼ばれる光に対する筋肉の緊張度を表す数値が低い、
といった色を選ぶとリラックス効果を得られます。また例えば『疲れが確実にとれる「眠り方」のコツ』にはこうあります。
寝具の色を色彩心理学からみると…
(省略)色彩心理学からいうと、精神が安らぎ快眠できるのは淡いブルーである。人は青い色の中にいると血圧が下がり、呼吸も穏やかになってリラックスモードに入ると言われている。また夏場に使用すると見た目の印象も涼しげでさわやかだ。冬には淡いピンクやイエローなどのパステル系の色もいいだろう。これらの色はイライラした感情やストレスなどを鎮静化させ、落ち着かせる効果がある。とくにピンクは暖かさをイメージさせる色なので、冷え性の女性はやわらかい色合いのピンクを使うと心理的にもサポートしてくれるはず。
等の『アースカラー』が、目に刺激がなく心がなごむ色として、快眠を促す効果があると期待されています。ということで色をまとめるとこうなります。
快眠に最適なインテリアの色
このあたりの色を寝具やカーテン等のインテリアに選ぶことで、快眠を促すことができそうです。ただし、ピンクやレッド等がきついカラーになると、神経が興奮してしまいます。推奨されるのは淡い色である
であり、コントラストの強い色はNGです。例えば、
等のあざやかすぎる色や、コントラストの強いものは神経が刺激されるのでNGです。闘牛士が、それを利用して闘牛に赤い布切れを見せて突進させますよね。
また、アダルト系の店や物を売る際には往々にして過激なピンク色が使われることがありますが、それもそういうムードを作り上げ、神経を興奮させるように考えられているわけですね。ですから神経を刺激するような色があると眠れなくなってしまいます。
ですから、副交感神経を優位にさせるためには、落ち着いた淡い色をそろえる必要があるわけですね。
また快眠に必要な室内環境で言えば、例えば室内に、
などがあるとどうなるでしょうか。
『肥満外来の女医が教える熟睡して痩せる「3・3・7」睡眠ダイエット』にはこうあります。
寝室を片付ければぐっすり眠れる
(省略)その中で眠ろうとすれば、必然的に眠っている間、呼吸をするたびに汚れた空気を体内に取り込んでしまうことになります。ところがもともと私たちの体には、侵入してきた異物は外に出そうとする働きが備わっています。そうなると寝ている間も吸い込んでしまった汚れた空気を体外へ排出しようと体が反応して活動をはじめるので、自然と眠りが浅くなってしまうのです。
私はハウスダストアレルギーですが、そのせいで室内が乾燥していたり、ホコリが舞っているとくしゃみが止まらなくなり、睡眠どころではなくなります。あっという間にティッシュボックスの中身は空になり、ごみ箱もティッシュのごみでいっぱいになります。厳密に言うと後半はもうゴミ箱に入れることさえ面倒になるので、ゴミ箱周りにティッシュのごみの山がいっぱいになります。
同じように、『花粉症』などもそうです。ですから花粉症に悩まされる人は、外出先から帰宅した場合は必ず衣服や髪の毛等についた花粉をすべてきれいに掃除する必要があります。室内に空気清浄機を設備することは必須となるでしょう。先ほどの本では空気清浄機の選び方として、二つの目安があると言います。それが、
です。この2つの条件をクリアしたものは、機能的に優秀だと言えます。
クリーンエア供給率。1分間にどのくらいの空気を浄化して送り出してくれるかを示したもの。
製造元以外に独立した研究所で行われた試験にクリアした証。
しかし実際には、日本にそれをクリアした空気清浄機はあまりないといいます。CADRの値がどのくらいかを見て製品を選ぶことが推奨されていますが、下記のホームページでは、各メーカーの空気清浄機が一覧で見られるようになっています。
参考
AHAM CERTIFIEDCLEAN AIR DELIVERY RATE
またこの本では、加湿器に関してもNGだと主張します。加湿器には水が使われますが、そのせいでカビや微生物などが繁殖するリスクが高くなるということです。その点を厳重にクリアしている自負があるならともかく、先ほどのアレルゲンの話で考えても、加湿器は睡眠環境を低下させることになります。
同じ理由で、花瓶の中にある水も注意が必要です。インテリアとして、
等を考える際は、このあたりの問題を考えて最適化することが必要です。もしどうしても部屋の保湿が必要だという場合は、『洗濯したばかりのタオルや衣類などを寝室に部屋干しする』ことで、自然な水蒸気が発生し、保湿効果を期待できると言いますので、一度試してみましょう。このようにして、
このあたりを最適化していけば、快眠に必要な明るさを作り上げることができます。
また、快眠に必要なのは『メラトニン』という快眠物質だということはわかったと思いますが、実はこのメラトニンを『寝るときに分泌させる』ためにも、『ある光』を浴びる必要があります。
それが『太陽光』です。『SLEEP 最高の脳と身体をつくる睡眠の技術』にはこうあります。
太陽光が睡眠の質を決める
(省略)日中に太陽光をたくさん浴びる方が夜によく眠れると言われても、ピンとこないかもしれない。しかし、科学がそれを証明している。私たちの体には、24時間周期の体内時計がある。これは決して空想上のものではない。携帯電話や腕時計と大差のない、本物の24時間周期の時計だ。私たちの体は決まった時間に決まったホルモンが分泌されるようにできている。この体内時計システムが、消化、免疫系、血圧、脂肪の利用率、食欲、気力などの調節を設けているのだ。24時間周期の体内時計は、脳の視床下部にある『視交叉上核(しこうさじょうかく)』と呼ばれる 神経細胞の小さな集まりで管理されている。視床下部は、体内のホルモン分泌系の要として知られる。この領域が体内のマスターロックとして機能し、空腹、のどの渇き、疲労、体温、睡眠サイクルを調節するのだ。つまり、睡眠をどうにかしたいなら、頭に意識を向ける必要があるということだ。
つまりこういうことです。
まずは、日中に太陽光をたくさん浴びることが求められます。そうすることで身体が日中に活動的に動けるようになります。そして、熟睡に欠かせない『セロトニン』という神経伝達物質が光を浴びることによって分泌されます。『「いつも眠いー」がなくなる快眠の3法則』にはこうあります。
『メラトニン』の調整は昼間の過ごし方も変える
(省略)セロトニンは、一旦N-アセチルセロトニンに変化したあと、メラトニンになります。このセロトニンとメラトニンは、正反対のリズムで分泌されます。つまり、活動を助けるセロトニンが増えているときは、眠りを促すメラトニンが減り、メラトニンが増えているときは、セロトニンが減ります。このリズムのおかげで、私たちは昼間に活動して、夜はぐっすり眠ることができるのです。
ここで一度、各神経伝達物質の詳細をまとめてみましょう。
各神経伝達物質
セロトニン | 活動を助ける |
---|---|
メラトニン | 睡眠を促す |
そしてこの二つの『トニン』は正反対のリズムで分泌されていて、どちらかが増えると、どちらかが減るようになっています。したがって、朝の光を浴びるとセロトニンが増えて体が起き、活動的になることができますが、メラトニンが多くなるとセロトニンが減るわけですから、眠くなるわけですね。冒頭から考えているのは、『いかにメラトニンを減らさないか』ということです。メラトニンが抑えられてしまうと不眠に悩まされますから、部屋の明るさを150ルクス以下にして過ごし、寝るときは0.3ルクス程度にすることが理想だと考えてきたのです。
またこのメラトニンは、光を浴びてからおよそ15時間後に分泌されます。メラトニン自体は、太陽光や電子機器等の『光』に含まれるブルーライトを浴びた直後は、分泌が抑制されます。ですから、朝7時に太陽光を浴びた場合は、22時にメラトニンが分泌され、眠気が出てくるわけです。
つまり、夜に電子機器から発せられているブルーライトを浴びてしまうと、快眠物質であるメラトニンの分泌が抑制されてしまい、そこから更に15時間待たなければいけない、というイメージになるわけです。そして下記の記事に書いたようなことが起きてしまいます。
つまり、夜快眠をするためには、
このような『ライトマネジメント(光の管理)』が必要になるということですね。
さて、だとしたら『アイマスク』のようなもので目を覆えば明るさを調節でき、快眠できるのではないかと考えるわけです。本来、このようなライトマネジメントが理想だと言われても、それをそのまま実行できない人は大勢います。一人で暮らしているならいいのですが、そうじゃない場合は、その他の人の都合によって、その環境は整えられなかったりします。
例えば、ワンルームような狭い場所で2人以上で生活していて、そこに子供がいたり、あるいは夫婦の生活リズムが違っていると、どうしても先に寝る人は起きてる人が生活する灯りの中で寝なければなりません。部屋があれば一番いいのですが、ないわけですから、仕方ないのです。また、新幹線や飛行機などはどうでしょうか。これは『仮眠』というジャンルに入るかもしれませんが、その仮眠を入れれば会社での仮眠や、電車での仮眠等、やはり明るい場所で寝ることがあるわけで、そういう場合には『アイマスク』のようなもので強制的に光をシャットダウンし、メラトニンが抑えられないようにする必要があります。
このようなアイマスクは、その問題を解決してくれるでしょう。また、お金持ちじゃなくても多少お金に余裕がある場合は、下記のような商品を使うことも有効です。
このホットアイマスクの場合は、ライトマネジメントというよりは、どちらかというと眼精疲労に有効で、かつアロマの香りでリラックスでき、疲労回復と入眠改善効果を期待できます。ある程度光もシャットダウンできますから、仮眠する際や、あるいは、照明を自由にコントロールできる人などが使用するのもいいでしょう。また、下記のようなUSBに差し込んで温めるタイプもあり、何度も繰り返して使えるため、こちらの方が経済的です。
ただ、これで気を付けたいのは『コード』です。コードが寝ている間の寝返りで首に絡まると、最悪の場合死に至ります。ゼリーをのどに詰まらせて亡くなってしまうこともあるように、そういう事故が起こらないように、特に子供や老人の使用の際には注意が必要です。
私の場合、朝起きるとコードが本体から抜けているときがあります。これはむしろいい結果です。つまり、寝返りによってコードが首かどこかに絡まり、ぐいっと引っ張られて差込口から抜けたことにより、『コードで首が締まる』前に、抜けてくれたのです。私は最初、あまりにもスポッと抜けるこのコードの接続部分にイラっとして、ガムテープでぐるぐる巻きにしたのですが、やりながらそれに気づきました。
待てよ。これが簡単に抜けてくれるから、首が締まらないで済んでいるのか…
そして接続部分は少し緩いままで維持しています。そういう安全面を考えているのかどうかはわかりませんが、どちらにせよこのようなコードタイプは、やりながら寝てしまうことでどうなるのか、ということを一度じっくりと考える必要があるでしょう。ただ、目を酷使する私からすればもうこのようなホットアイマスクタイプのアイテムは手放せませんね。少し豆電球がついているような部屋でも、アイマスクをしっかり目の下まで覆うように装着すれば、灯りもシャットダウンでき、睡眠に集中できます。