子供にとって理想の睡眠や、押さえるべきポイントはある?
まずは『寝る子は育つ』という事実を再確認しましょう。
子供は親の影響を受けやすく、特に接する時間が長いお母さんの影響を強くうけます。ですから、親が不規則な生活をしていれば子供に悪影響を与えると考え、自分の身を正すことを意識しましょう。また、もし本当に子供を健康に育てたいなら、『不自然なもの』を子供から除外していくことが必要です。それが何かということは考えればわかるはずです。例えばテレビやインターネットは、『自然』でしょうか。子供は大人以上に環境の影響を受けやすいということを思い出し、今一度子供に対して真の育児、教育ができているかどうか、自問してみましょう。
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『寝る子は育つ』と言いますが、寝るときに出る成長ホルモンのおかげで、子供はよく育ちます。ですから、その睡眠がままならないと、子はよく育ちません。
年齢・世代別に見る1日の平均睡眠総量
乳幼児 | 17~18時間 |
---|---|
3~4歳 | 10~12時間 |
10歳前後 | 9~10時間 |
成人 | 7時間半 |
老年 | 8時間 |
上の表を見てもわかるように、子供であればあるほど睡眠時間が長くなっています。老年の睡眠時間が少し成人を上回るのは、『浅い睡眠が増える』ということであり、少し睡眠の質が違ってきます。したがって、やはり睡眠というものは年齢が若ければ若いほど熟眠感を得られるようになっているのです。
『お酒や薬に頼らない「必ず眠れる」技術』にはこうあります。
お年寄りの早起き、実はすっきりしていない
(省略)若い頃は睡眠中に成長ホルモンが分泌されるように、睡眠が成長に不可欠ですが、高齢者ではすでに成長が終わっているので、睡眠自体がさほど必要なくなるのです。
『高齢者ではすでに成長が終わっているので、睡眠自体がさほど必要なくなる』とありますね。これはやはり、睡眠と人の成長には非常に深い関係があることを意味しています。
『子どもを伸ばす「眠り」の力』にはこうあります。
眠りは生きることの根っこの部分
(省略)また、子供の成長と関係が深いホルモンであるメラトニンには、眠りを誘う働きがあり、朝起きてから14~15時間たつと分泌が始まります。つまり、夜になると出てくるホルモンですが、光の影響を受け、夜でも明るいと分泌されなくなります。成長ホルモンは寝入りの最初にやってくる深いノンレム睡眠のときに一番たくさん分泌されます。反対に、朝たくさん分泌されるホルモンにコルチコステロイドというものがあります。このホルモンは、ストレスに備えるホルモンで、これからの1日のさまざまなストレスに備えて朝たっぷり分泌されるのです。
ここで確認したいのは、
ということです。つまり、子供をきちんと育てたいなら、
ということが重要だということです。そしてそのためには、『規則正しい生活』が求められます。規則正しい生活を送っていれば、子供は朝起きるべき時間に起きて、寝るべき時間にぐっすりと眠ることができ、成長ホルモンを十分に分泌させることができ、すくすくと育つのです。
ここで重要なのが、次の内容です。『子どもを伸ばす「眠り」の力』にはこうあります。
日本の子供は夜更かし世界一!?
(省略)調査では、日本、韓国、インドネシア、アメリカ、フランス、エチオピアの6か国の主要都市に住む、1歳から2歳までの子供を持つお母さん、お父さんに子供の睡眠習慣について聞いています。その結果は左図(グラフ)のとおりで、夜更かしで短眠の国は韓国と日本でした。就寝時間を比べてみると、夜10時以降に寝ている子供は、東アジアの韓国と日本がきわだって多く、中には深夜1時台に寝ている子供たちもいます。驚いたことに、同じ先進国でもアメリカは、8時台に寝ている子供が最も多く、睡眠時間も11時間台に集中しており、日本や韓国に比べて1~2時間も長く寝ていたのです。
『規則正しい生活』と言っても、どこの国の、誰を基準にして考えるのかということでその内容は全く変わってきます。では、以下のグラフを見てみましょう。
(睡眠文化研究調査:2002年)
これは、各国の両親の睡眠時間です。つまりその『規則正しい生活』の話をするのはどこの国の誰なのか、ということでも、この話の内容は変わってきます。そしてその人が、
とでもその内容は変わってきます。例えば『日々の生活に忙しい人』は自分が忙しいがゆえに、子供にもそのリズムの影響を与えている可能性があります。またあるいは、
等の電子機器に対して寛容で、『それを避けて通るのは時代遅れ』という考え方もあるかもしれません。この『別に忙しく生きる必要もない人生』を、あえて忙しく生きているというアクティブな人は、そういう考え方を持っていることが多く見受けられます。
また、『自然を意識して生きる人』ですが、『病気にならない暮らし事典-自然派医師が実践する76の工夫-』にはこうあります。
『自然に沿った生き方をしましょう』といっても、私たちの現代の生活、とくに都会での生活は、衣食住そのほかの日常すべてが、すでに本来の自然から大きくかけ離れてしまっています。私は、『これらの現代文明のすべてを捨てて、原始時代の生活に戻りましょうね』と言うつもりは、もちろんありません。ちょっとした工夫で、現代生活のなかでも改善できることがたくさんあるのです。
(中略)この地球上のすべての生物は、人も動物も植物も微生物も、さらには鉱物などの生物以外のものも含めて、地球の分身であり、きょうだいであり、すべてが循環してつながっています。どれが上、どれが下もない、同じ地球の一部で、それぞれの役割の違いがあるだけなのです。人以外のすべての生物は、自然に沿って生きています。人だけが高度な知能をもち、ほかを支配してもいいというのは、きわめて傲慢な考えであり、その結果ゆえに多くの人が病気になっていくのです。つまり、病気にならない心とは、これらすべてのものの役割を認め、感謝する心ということになります。
このように考える人はとても『自然を意識して生きる人』だと言えます。こういう人はなるべく不自然を避け、自然を意識いますから、有害物質や、有害となるものを自分の家族から遠ざけようと考えます。例えば本にはこうもあります。
空気の影響は、子供のほうが大きい
人間が生きるうえで、空気は、食べ物や水よりずっと重要です。食べ物を食べなくても水分をとっていれば25日間くらい、水分がなくても5日くらいは生きていられます。しかし、空気がなければ5分ほどで死んでしまいます。また、1日に摂取する量を比較すると、成人では単純計算で食物が約2㎏、空気が約18㎏にもなり、空気が全体の80%を占めることになります。さらに、体重あたりの呼吸量は、子供はおとなの2倍近くになり、空気の影響は子供の方が大きくなります。
そして空気の問題として、
等の問題を挙げ、日本のどこに住むべきか、どんな家に住むべきか、どんな環境が人間の生活に適しているかということについて考えぬいています。そして本人のご家族も実際に北海道の大学病院を辞め、農業をするために栃木県の那須烏山市に移住しています。
著者は札幌に生まれて札幌に育ちましたが、大学病院の勤務医時代は常に忙しく、食事もままならずに、生活リズムもめちゃくちゃでした。カップラーメンかコンビニ弁当のみという、とても健康的とは言えない生活を送っていたと言います。
彼は最初『日々の生活に忙しい人』だったのです。しかし医者という立場と『人間』について深く深く掘り下げた結果、自分の積み上げてきたものを捨て、『自然を意識して生きる人』として生きることにしました。本にはこうあります。
農作業がある時期は午前4時に起床して、畑に立ちます。ない時期は、午前7時に起床。自宅に隣接する診療所で、午前8時半から診察をはじめ、お昼は自宅に戻って食事をし、午後5時には診療を終えるという、規則正しい生活です。カレンダー通りに休みもとれるようになり、自分の時間がもてるようになりました。夜は、テレビやインターネットもほとんど見ず、2歳の息子と添い寝しながら、午後9時に一緒に寝てしまいます。こうした自然に沿った生活をはじめてから、私の体調は大きく変化しました。自然とかけ離れた生活をしていた以前の私は、極端な冷え性でした。暑い日はほとんど汗をかかず、寒い日は脚をのばして眠れませんでした。それが最近では、むしろ暑がりなくらいで、とてもよい体調が保てています。周囲からはいい意味で『性格が変わった』ともいわれます。
まさしく『規則正しい生活』、『2歳の子供』というキーワードが出てきましたね。今回のテーマを考えるにあたって、とても重要な資料になります。『今現在の』彼が言う規則正しい生活とは、
です。農作業がある時期は少し早めですが、そうじゃない時期を考えると、とても健康的で、『規則正しい生活』に相応しいと誰もが思える生活です。
それから、『テレビやインターネットもほとんど見ない』とありますね。これも非常に重要なポイントです。先ほど、子供をきちんと育てたいなら、
ということが重要だと言いました。睡眠物質のメラトニンを『寝るべき時間』に分泌されるようにするためには、この光との関係も非常に重要になるのです。『SLEEP 最高の脳と身体をつくる睡眠の技術』にはこうあります。
電子機器は睡眠を阻害する
睡眠の質をいますぐ改善したいなら、夜に画面を見る時間を減らすのがいちばんいいように思う。コンピュータ、iPad、テレビ、スマートフォンなどの画面が発するブルーライトは睡眠を奪うため、睡眠不足になりかねない。電子画面が放つ人工的なブルーライトは、日中に分泌されるべきホルモン(コルチゾールなど)の生成を促す。そうなれば、寝る準備が整った体に混乱をきたす。
『睡眠と電子機器』についての詳細は上記の記事に詳しく書きましたが、ここでは要点だけ引用しましょう。
セロトニン生成に必要なL-トリプトファンは体内で合成されないため、食事によって摂取する必要があるわけですが、それによってできたセロトニンは、日中に日光の光を浴びることによって『メラトニン』というホルモンを合成します。そのメラトニンのおかげで良質な睡眠が得られるわけですね。このメラトニンは、光を浴びてからおよそ15時間後に分泌されます。メラトニン自体は、太陽光や電子機器等の『光』に含まれるブルーライトを浴びた直後は、分泌が抑制されます。ですから、朝7時に太陽光を浴びた場合は、22時にメラトニンが分泌され、眠気が出てくるわけです。
つまり、夜に電子機器から発せられているブルーライトを浴びてしまうと、快眠物質であるメラトニンの分泌が抑制されてしまい、そこから更に15時間待たなければいけない、というイメージになるわけです。ブルーライトは、
等に含まれています。つまり、電子機器を夜遅くまでいじっていると、知らぬ間にこのブルーライトを浴びてしまい、良質な睡眠の妨げになってしまうのです。
太陽光ほど強いブルーライトは出ていないせいか、電子機器やLEDに含まれるブルーライトを浴びても15時間も待つ必要はないといいます。また、人間はこのメラトニンがなければ絶対に眠れないというわけでもないので、そういうことも関係しているでしょうが、スマホ等の電子機器に触れるのは『寝る2時間前まで』だと推奨されています。つまり、この『自然を意識して生きる人』が行っている『テレビやインターネットもほとんど見ずに夜9時には寝る』という行為は、とても『規則正しい生活』に相応しい行動だと言えます。これなら成長ホルモンをきちんと分泌させることができ、『寝る子は育つ』の言葉通りに、子供たちはすくすくと成長していくでしょう。
しかし、もし『日々の生活に忙しい人』が『規則正しい生活』を考えるとなると、このような考え方にたどり着くでしょうか。そもそもが、自分の睡眠時間を子供に合わせられるか。そして時代の流れに逆らって、子供や自分から電子機器を遠ざけることができるか、ということが問われることになります。先ほど、『1~2歳の子を持つ親の平均睡眠時間』のグラフを見ましたが、それが記載されていた『子どもを伸ばす「眠り」の力』にはこうあります。
お母さん、お父さんと子供の眠りの関係は?
(省略)親が夜更かしで睡眠時間が少ないと、子供も夜更かしで睡眠時間が少なくなるということもはっきりしました。自分から『明日は学校があるから、早く寝ないといけない』といった意思を持たない幼い子供たちの寝る時刻には、親の生活が影響していると考えられます。日本の場合には、お母さんの生活リズムの影響を受けているようです。
やはり、子供は親の影響を受けやすく、特に接する時間が長いお母さんの影響を強くうけるようです。本にはこうもあります。
最近、夜の9時過ぎのレンタルビデオ店やコンビニエンスストアなどで、小さい子供を連れた母親の姿を見かけることが多くなりました。そうした実態が、調査によっても明らかになっています。(中略)つまり、4人に1人が、夜9時以降に子供を連れて出かけていることになります。その外出先は、コンビニエンスストア、スーパーマーケット、レンタルビデオ店。中には居酒屋やゲームセンターという回答もありました。こうした店舗は夜でも昼間のように明るくて、その中にいると大人でも時間の感覚がなくなってしまいます。成長期にある子供の体が、夜遅くに昼間と勘違いするような強い光を浴びてしまうことが、小児科医の間でも非常に問題視されています。
『日々の生活に忙しい人』というのは、何もバリバリ働いて稼いでいるビジネスパーソンだけのことを指すのではありません。このように、『別にそうする必要もないのにわざわざ不自然な行為をしている』人がそれに該当するのです。そしてその『不自然』というのは、例えば『光』ですね。自然の光は太陽や月の光です。人工的に作られた電灯の光や電子機器のブルーライトは、決して『自然のもの』ではありません。もし子供を本当に『健康に育てたい』なら、一度、
というキーワードについて、立ち止まって熟考してみてはいかがでしょうか。