不眠症のセルフチェックはある?
あらゆる専門書をまとめて、総合版のセルフチェックを用意しました。
下記『不眠症のセルフチェックリスト(総合版)』をご覧ください。
自分が不眠症かどうかのセルフチェックをしてみましょう。最後にそれは載せますが、その前にどのようなチェックをするのが最善か、様々な参考文献やデータを見てみましょう。それで最後にそのまとめの集大成としてチェック表を載せます。
まず、『疲れをとるなら帰りの電車で寝るのをやめなさい』には、以下のような生活習慣は、疲れを取るためには絶対にNGだとくぎを刺しています。
このような生活習慣は、体の睡眠リズムを狂わせ、疲れを取れにくくするんですね。そして、家に帰ってからベッドで寝る本格的な睡眠『メジャースリープ』の質を大きく低下させると言っています。最初に理解したいのは、睡眠は、レム睡眠とノンレム睡眠を繰り返して行われるということです。
脳は起きて身体が眠っている。浅い睡眠。Rapid Eye Movement。急速な眼球運動を伴う眠り。瞼の中で目がぎょろぎょろと動いていることから、REM睡眠と名付けられた。
脳も体も眠っている。深い睡眠。
このように、『ノンレム睡眠』を『4回』ほど繰り返すと睡眠時間は『約7時間』になります。しかし、ベッドについてその瞬間に眠れる人はいませんから、ベッドに0時についた場合、『約7時間半』ほど経った、7時30分に起きられれば、十分な睡眠ができたことになります。確認したいのは『最初の90分がノンレム睡眠』だということです。本にはこうあります。
『大切なのは、最初に深い徐波睡眠が出て後半は浅くなっていく、メジャースリープ(まとまった睡眠)全体の構造を崩さないことです。短時間睡眠でも、深い眠りは取れますが、問題は浅い眠りが取れないことなんです。』
脳や体の疲れを取るには、『徐波睡眠』という深い睡眠だけではなく、睡眠の後半になって出てくる『浅睡眠(せんすいみん)』も必要なのだ。
最初の90分のノンレム睡眠で、睡眠の中で最も深い睡眠状態。脳波を測定すると、非活動状態であることを示す『大きくて徐行運転のようなゆっくりとした波形』が出現することからつけられている。
短時間睡眠が続くと筋肉や肝臓が血液中のブドウ糖を取り込むのに必要なインスリンの働きが弱まり、糖尿病や高血圧といった生活習慣病にかかりやすくなるため、あまり睡眠を『小分け』にしてしまっているような生活習慣は、よくないと言っています。例えば、
このような睡眠方法は、結果的にトータルで6時間の睡眠がとれていたとしても、疲れが取れにくく、病気になりやすい、あまりよくない睡眠方法ということになります。ですから、
を意識するようにしましょう。20分を超えると徐波睡眠に入りやすくなり、起きたときに集中力が鈍ってしまいます。また、これらを破ってしまうと家でのメジャースリープの質が悪くなり、本格的に体を休めることができにくくなります。
また、本に関しては以下の記事にまとめました。寝る前に刺激を与えると寝つきが悪くなるということですね。
それから、まだ眠くないのにベッドに入る習慣がある人も寝つきが悪くなる傾向にあります。下記の記事では『就眠儀式』という考え方についてまとめましたので、併せてご確認ください。つまり、ベッドに入るときは、寝る前のストレッチ等のいつものルーチンを済ませ、本当に眠たくなった、あるいは寝る準備が整ったときだけにするのです。
『肥満外来の女医が教える熟睡して痩せる「3・3・7」睡眠ダイエット』にはこうあります。
(省略)眠れないという悩みを持ち、寝室に行くことがプレッシャーになっている場合、『寝室はなかなか眠れずに苦しむ場所』と脳にインプットされ、マイナスの条件反射ができあがってしまっている可能性もあります。ひどい人になると、『今夜は眠れるだろうか』と日中から気にするようになり、眠ることへの緊張感で、ますます睡眠がプレッシャーになっていくこともあります。
ですから、寝室は睡眠以外の目的には使わないと決めることが大事ですね。
休日にいつまでも寝ている、と言うのは、『寝だめ』の問題です。『お酒や薬に頼らない「必ず眠れる」技術』にはこうあります。
『寝だめ』はできない
不眠症の治療をしていると、ときどき『先生、寝だめは有効ですか?』と聞かれます。そのとき、私はその患者さんがどういう意味で『寝だめ』という言葉を使っているのかを確かめるようにしています。といいますのも、だいたい二通りのイメージで『寝だめ』が語られるからです。
この本の著者である専門家は『寝だめ』はできないとしますが、それには、
という種類が二つあって、そのうち『先取り睡眠』はできないと言っています。いざという時に動きたいから、今のうちに寝ておくというタイプの睡眠はできないということです。また本にはこうもあります。
ただし、それには条件があります。『補充睡眠』をとりすぎると、『先取り睡眠』と同じことが起きてしまいます。つまり、寝すぎです。寝すぎると夜の睡眠に影響が出てしまいます。
ここでも先ほど同様『仮眠しすぎるとメジャースリープに影響が出る』とありますね。つまり、休日にいつまでも寝ているという人は、ここで言う『補充睡眠のやりすぎ』、あるいは『先取り睡眠』をしてしまっていることになり、本格的な睡眠のときに、きちんと眠れず、疲労が回復できないのです。以下の記事には、昼寝はどれくらい仮眠したらいいのかについて詳しく書いていますので、併せてご確認ください。
また、その疲労回復ということで言えば、『トップアスリートが実践している最強の回復法』にはこうあります。
睡眠に必要なのは量ではなく質
(省略)人のカラダは疲労することで、筋肉内の細胞が炎症を起こすようになりますが、睡眠中に成長ホルモンが分泌されてそれを修復するようにできています。昔から『寝る子は育つ』と言われますが、これは本当なのです。(中略)しかし、よく休みよく寝るために、どうすればいいかを知っている人はほとんどいません。単に休んで寝ただけでは、疲労は取れないのです。
人間が疲労するのは『活性酸素』という疲労物質のせいです。これは、よく眠ることによって除去することができるのですが、その睡眠が間違っていた場合、除去はできません。カギは、『セロトニン』と『メラトニン』です。詳しくは下記の記事に書きましたが、
睡眠は、
これらの物質をなくしては語れません。
このセロトニンやメラトニンは、きちんとした生活習慣がとれていないと十分に引き出せません。メラトニンは『セロトニン』という物質が変化して作られるホルモンであり、そのセロトニンは、朝の光を浴びることで分泌されます。つまりこういうことです。
まずは、日中に太陽光をたくさん浴びることが求められます。そうすることで身体が日中に活動的に動けるようになります。そして、熟睡に欠かせない『セロトニン』という神経伝達物質が光を浴びることによって分泌されます。 もう一度これらのホルモンを軸にして見てみましょう。
こういうホルモンの変化によって、人は夜に快眠できるようになるのです。詳しくは記事を見ていただくとして、ここではまずこの2つのホルモンが人の心身の健康にとってとても重要な存在であるということを理解しましょう。
実は、このセロトニンが十分に分泌されていれば、脳は疲労を感じません。また、メロトニンにはあの活性酸素を除去する力があります。従って、これらを日々十分に分泌させることができていれば、疲労の蓄積は予防できるわけです。そう考えると、『不眠症』のような、『なんだか疲れが取れない、睡眠が足りない』と感じているような状況がある場合、この2つのホルモンが十分に分泌されていない可能性があり、それはつまり、生活習慣が乱れているということが推測できるわけですね。
『疲れが確実にとれる「眠り方」のコツ』にはこうあります。
疲れは体の『警報装置』
(省略)疲れの感覚は不快だが、だからこそ、私たちはなんとかしようと対応する。もし疲労を感じることがなければ、おそらく不眠不休で働き続け、やがて限界を超えて疲弊し、死に至ってしまうだろう。このアラームが点滅したら休息を取り、一晩ぐっすり寝れば、疲れは取れる。もちろん一晩で疲れがとれるときばかりではないが、”健康的(生理的)な疲労”であれば、ちゃんと休んで疲れを処理すれば、ふたたび元気が充電される。
もし自分に不眠や疲れの自覚がある場合は、そのサイン(アラーム)を無視せず、しっかりと見直し、最適化するようにしましょう。大体の場合は、前述したことをしっかりと守れば解決するはずです。
また、不眠症には4つの種類があります。
不眠の種類
入眠障害 | 床についてから30分以上寝つけない |
---|---|
中途覚醒 | 夜中に何度も目が覚める。再び眠るまでに時間がかかることが多い |
早朝覚醒 | 予定の起床時間より2時間以上早く目が覚める |
熟眠障害 | 長く眠ったとしてもぐっすり眠ったという感じが得られない |
例えば、加齢してしまうと、どうしても眠りは浅くなり、睡眠リズムも狂うので、中途覚醒や早朝覚醒が起きやすくなります。こればかりは仕方ありません。人は老いていき、そしていずれは必ず死にます。それを止めることはできないのです。老化現象としてとらえていくしかありません。
『図解雑学 睡眠のしくみ』にはこうあります。
高齢者になると『眠らせる脳』も老化して睡眠力が弱まるので、睡眠の質が悪くなります。深い睡眠が減って夜中に目覚めやすくなり、ふたたび眠ることも難しくなります。寝付いてから早い時間にレム睡眠が現れ、睡眠の公判ではレム睡眠の時間が短くなるので、あまり夢を見た気がしなくなってきます。
ですから、もしこのチェックをしようと考えている人がお年を召している場合、それは『避けられない老化現象』だと受け入れるようにしましょう。今若い者もいずれはもれなく全員、同じことになります。早いか遅いかというだけです。
また、『なぜあなたの疲れはとれないのか』には、睡眠編として以下のようなタイトルで記事を書いています。
答えは、
です。一つ一つ見ていきましょう。
これに関しては、人に必要な睡眠時間はそれぞれで違うので、何とも言えないところです。先ほども30分以上の仮眠はNGだとありましたし、また、睡眠時間が10時間とか、長すぎると病気にかかるリスクもあるというデータもあります。ただ、アインシュタインはそれくらい寝ていましたし、エジソン等はショートスリーパーでしたからね。そのあたりについては下記の記事に詳細を書きましたので、併せてご確認ください。
これに関しても詳細は下記の記事に書きましたが、ここで問われている『いびき、睡眠時無呼吸症候群』という症状がある場合は、それ自体がすでに不眠の原因となります。そのせいで睡眠は浅くなり、最悪のケースでは呼吸ができなくて死に至りますからね。そしてここで推奨されていない『うつ伏せ』で寝ていた場合、不眠の症状を感じることになります。
例えば男女であれば、寒さ、暑さへのそれぞれの耐性や、実感も違います。部屋の空気、湿度、温度、色、寝具、それらすべての環境が自分好みのものでない場合は、『我慢』して睡眠していることになります。また、下記の記事に書きましたが、男性の場合は特に二人で寝ることは苦痛です。女性は守ってもらって安心できるのですが、男性は『守る側』のため、寝ていてもどこかで気を張っていなければならず、よく眠れないのです。もし自分がこの状況に該当する場合、不眠の原因はここにあるかもしれません。
これですが、疲労専門家はこう言いますが、私のようにハウスダストアレルギーがある場合は違います。エアコンをつけるとホコリが舞って、くしゃみが止まりませんからね。睡眠どころではなくなります。これに関してはケースバイケースでしょう。しかし、睡眠に快適な室温というものがありますから、もしかしたらこのあたりに不眠の原因があるかもしれません。
太陽光を浴びると、セロトニンが出ると言いました。セロトニンが分泌されると、メロトニンが抑制されます。シーソーのようになっているわけですね。ですから、太陽の光を浴びてしまうと起きてしまうので、寝るときは暗い方がいいのです。睡眠モードになるからですね。遮光カーテンの場合でも、太陽光というものはわずかに部屋に入るものです。朝起きるときは、いきなりのぴかーっという太陽光で起きるよりは、ジワジワと起きる方がいいのです。ですから、もしカーテンが遮光カーテンじゃない場合、そのせいで4時等の明け方から太陽光を浴びだし、起床モードに入ってしまって、眠りが浅くなってしまっているかもしれません。
『夜中にトイレに行く回数が多くて、そのせいで眠りが浅い』と思っている人がいたとしても、必ずしもその通りだとは言いきれないといいます。つまり、たしかに下記の記事に書いたように、アルコールやカフェインの利尿作用によって起きてしまう場合はそうだと言えますが、もしかしたら、
という状態になってしまっているかもしれません。夜寝る前にコップ一杯の水を飲むことは、血流を良くさせ、脱水症状を予防し、自律神経を整えます。ですから、寝る前にはコップ一杯ほどの水分を摂った方がいいんですね。
では参考文献からは最後に、『「脳ストレス」に強くなる!セロトニン睡眠法』にあるチェック項目を見てみましょう。
セロトニンやメラトニン、そして太陽光の持つ意味は説明しましたね。それから、
等についても説明しました。電子機器やカフェインについては直接説明していませんが、先ほど貼ったリンクの記事の中にその内容があります。このようなチェックリストに該当する人の場合も、睡眠に必要な何かしらの条件が整っておらず、不眠の自覚を持っていると言えます。また、『昼夜逆転』についての詳細は、下記の記事にまとめました。
これらに加え、
これらをすべて最適化しなければ、『よく眠れた』と大満足で寝ることはできないかもしれません。例えば、不眠の原因は単純に隣人が出す騒音だった、ということもありますからね。更に、下記の記事に書いた不眠の原因を加えて、これらをすべて踏まえた上で、セルフチェックリストを作ってみましょう。
これらのうち、いずれかにチェックが入るようであれば、その時点でそれが気になるか、あるいは原因となって『よく眠れた』という実感を感じることはできないでしょう。『最高の睡眠の質』を得るためには、かなり環境を厳選する必要があるんですね。たしかに、この条件を破っても人は眠れることは眠れます。寝なければ死んでしまいますし、環境適応能力もありますから、意外と図太いわけです。ただその反面、意外と繊細でもある。ですから、悪条件が揃った環境でいつまでも寝てしまうと、そのうちいずれ、心身のどこかに支障をきたすことになるかもしれません。