疲労回復に必要なことは?
良質な睡眠を取ること。アミノ酸、タンパク質、イミダペプチドを摂ること等が挙げられます。
人間には睡眠が必要です。食事と排泄と同じくらい、睡眠が健康管理に欠かせません。ですから、その睡眠の質を下げるような要因をすべて取り除き、質を上げるような要因をすべて取り入れることでより高い疲労回復効果を得られます。そして食事も同様に重要です。その中で、疲労回復効果がある栄養素があります。例えば、卵を含めた、必須アミノ酸がたくさん含まれているたんぱく質を摂取することが疲労回復や筋肉、体力増強のために欠かせません。
また、『疲労回復に有効と言われる成分』を調べたところ、有効だと判断されたのが、
の4つでした。そしてその中で断トツだったのが、鶏むね肉に含まれる『イミダペプチド』でした。イミダペプチドには脳内で暴れまわる活性酸素を無力化して、酸化ストレスを軽減する効果があります。しかもこの抗酸化作用が長く続くのです。
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人が睡眠によって疲労を回復させようと思ったら、まずもちろん睡眠の質を低下させないことが重要です。
これらすべての最適化をしてから睡眠に臨むことは、睡眠の質に大きく影響します。例えばカフェインですが、カフェインで睡眠が阻害された場合、本人はそれに気づかないというのです。つまり、実際は睡眠時間が1時間短くなったのに、本人は、
別に普段と同じ睡眠だったか…
と錯覚してしまうということです。そして悪循環が陥ります。
夜に飲んだカフェインのせいで睡眠の質が低下し、朝起きると疲労感があり、それを払しょくしようとしてまたカフェインを摂る、という悪循環が生まれます。ですから、ここに挙げた対策はすべて一つ残らず最適化することが、睡眠によって疲労を取るためには欠かせないことなのです。
しかし、まだここに付け加えることがあります。それは『食事(栄養)』です。やはり、朝起きて疲労感がなく、目覚めがスッキリするためには必要な栄養摂取も欠かせません。もちろん、五大栄養素のすべてがバランスよく必要ですが、特に疲労回復というテーマで考えると、『タンパク質』の存在を見て見ぬふりはできません。
『肥満外来の女医が教える熟睡して痩せる「3・3・7」睡眠ダイエット』にはこうあります。
植物性たんぱく質をとる
(省略)実は睡眠中の疲労回復と、ダイエットを促進させる成長ホルモンをつくる材料となるのもたんぱく質で、たんぱく質は質のいい眠りをサポートする上に、『食べる補正下着』という別名があるほど、ダイエットにも一役買っている栄養素なのです。
我々の身体は、
という大まかな構成要素で分けることができます。ある学者は『人間なんてただのたんぱく質の塊なんだから』と言いましたが、あながちそういう言い回しも的を外してはいません。タンパク質が不足すると体のあちこちに支障が出るので、『老化現象』にもつながるため、本では、ダイエットをしながらも十分なタンパク質の摂取をしようと推奨しています。
実は、上記の記事に書いたように、このたんぱく質というのは疲労回復、体力増強というテーマを常に考えているアスリートの人たちなら、摂取するのは当然中の当然の栄養素です。『スポーツ科学バイブル』にはこうあります。
何をどのくらい食べればいいのか
(省略)スポーツ選手はたんぱく質を摂らなければいけない、なんていわれます。これはある程度正しいのですが、たんぱく質なら何でもいいというのはだめなんです。人間が成長したり生命活動を維持するために必要な栄養素の一つに”必須アミノ酸”というのがあります。アミノ酸とはたんぱく質の基です。必須アミノ酸は体内で作ることができないアミノ酸なので、栄養として摂らなくてはならないものなんです。つまりたんぱく質イコール必須アミノ酸という食品が望ましいのですが、それを満たしているのが卵なんです。
この卵については上記の記事に書きましたので、併せてご確認ください。
そこにも書いたように主なアミノ酸の種類は、
必須アミノ酸(不可欠アミノ酸)
非必須アミノ酸(可決アミノ酸)
です。また、記事には主要食品のアミノ酸スコアについても記載していますので、ご確認ください。とにかく卵を含めた、必須アミノ酸がたくさん含まれているたんぱく質を摂取することが疲労回復や筋肉、体力増強のために欠かせないのです。アミノ酸スコアが高い食事を摂れば、良質なたんぱく質を摂取できるので、先ほどの記事を見てそのような食事を心がけるようにしましょう。
例えば上記の記事に書いたように、『疲れが確実にとれる「眠り方」のコツ』にはこうあります。
牛乳の主成分は、水分とたんぱく質。水分は眠る前の水分補給の助けになる。タンパク質ではカゼインがもっとも多く含まれ、これが消化分解されると、体によいとされるさまざまなペプチド(アミノ酸がつながったもの)ができる。そのひとつに『オピオイド・ペプチド』と呼ばれる鎮痛・鎮静作用の強いペプチドが含まれるのだ。オピオイド・ペプチドは、ランナーズハイでおなじみのβエンドルフィンと同類の、いわゆる『脳内モルヒネ』のこと。神経の興奮を鎮め、リラックス効果で快眠を促してくれる。
つまりこういうことですね。
ホットミルクにはこのような鎮静効果があるので、睡眠前にはちょうどいいというわけです。基本的に飲み物はホットである必要があります。やはり冷えたものを飲むと胃腸に負担がかかるし、体が冷えるのであまり推奨できません。
等の乳製品にはアミノ酸スコアの高いたんぱく質がたっぷり入っていますし、睡眠前の胃腸の負担も大きくありませんから、睡眠前にちょこっと食べたいときには、好都合でしょう。
ただ、これらの食品はアレルギーも多いですから、注意が必要です。『アレルギー体質は『食べ合わせ』がつくる』にはこうあります。
牛乳(乳製品)
牛乳は、本来とても栄養があり、正しく飲めば健康に良い飲み物です。ただ、一緒に食べていいものが非常に限られています。牛乳の未消化物は皮膚のトラブルや特にアレルギー反応を起こしやすいので、食べ合わせにはくれぐれも注意しましょう。牛乳の正しい飲み方は、空腹時に牛乳だけを単独で飲むこと。牛乳が胃の中でほかのものと混ざると、消化が遅くなって未消化物ができやすいのです。そのため、牛乳はほかの食材といっしぃに調理してもいけません。野菜や魚と一緒に調理して食べると、胃の中ですぐに未消化物になってしまいます。
実は牛乳というのは、きちんと消化できればとても体に良いのですが、食べ合わせなどを間違えて胃の中で『未消化物』となると、アレルギー反応を起こしやすくなります。ですから、この本でも牛乳の最適な飲み方は、
『少し温めた牛乳を、単独で飲む』
という方法だと推奨しています。冷たいままの牛乳は胃腸に負担がかかるだけじゃなく、『消化しにくくなる』というデメリットがあります。つまりそれは未消化物になりやすくなることを意味し、アレルギー反応を起こしやすくもなるということですね。
更に消化力が落ちていると感じている場合は、『お湯で割る』ことも推奨しています。もともと重い性質の牛乳が、お湯で薄めると軽くなり、消化しやすくなるのです。ホットミルクにもなりますからね。『薄ホットミルク』でしょうか。ただ、日本人は牛乳でお腹を壊す『乳糖不耐症』の人が多い傾向があります。したがって、
という順番で試してみるといいでしょう。
『スポーツ科学バイブル』にはこうあります。
たんぱく質には摂るタイミングがある
(省略)たんぱく質は摂取するタイミングによって、その効果が変わってきます。運動が終わった後30分以内と睡眠中が効果的だといわれています。もちろん眠っているときには摂れませんから、就寝前に摂るようにします。これは全身の発育を促す成長ホルモンが活発に出ている瞬間で、この瞬間にあわせて摂ることでより効果的になるのです。
タンパク質摂取のゴールデンタイムは、
の2つです。このタイミングで効率よく、たんぱく質(アミノ酸)を吸収させれば、運動によって疲労した筋肉、体力が回復し、疲労回復効果を得られるということですね。
上記の記事に書いたように、まず人の睡眠には、
の2種類があります。
脳は起きて身体が眠っている。浅い睡眠。Rapid Eye Movement。急速な眼球運動を伴う眠り。瞼の中で目がぎょろぎょろと動いていることから、REM睡眠と名付けられた。
脳も体も眠っている。深い睡眠。
人間の睡眠で一番深い眠りは、最初の90分のノンレム睡眠にあります。したがって、この時間の寝入りをどれだけスムーズに行えるかで、睡眠の質が変わってくるわけですね。睡眠は、レム睡眠とノンレム睡眠を繰り返して行われます。
ただこの『90分』ということですが、必ずしも90分という時間が当てはまるわけではありません。『スタンフォード式最高の睡眠』にはこうあります。
レムとノンレムは90分周期じゃなかった!?
(省略)ただし、スリープサイクルにはかなり個人差があるため、実際の1周期はおよそ90~120分と幅がある。そこで、『睡眠時間は120分の倍数が良い』としている研究者もいる。したがって、起きるタイミングも個人の睡眠周期によって異なるのだ。
実際には睡眠周期は『90~120分』と幅あるので、『最初の90~120分』と言った方が正確かもしれません。特に重要なのが、『徐波睡眠』というノンレム睡眠の中でも深い睡眠です。先ほどの睡眠の流れで、『人間の睡眠で一番深い眠りは、最初の90分のノンレム睡眠にあります』と言いましたが、まさにこの段階の睡眠が、徐波睡眠です。この徐波睡眠を取らないと病気にかかりやすくなるという事実についても、下記の記事で書いています。
この『最初の90~120分』の『徐波睡眠(とても深い睡眠)』には、成長ホルモンがたくさん出ています。『子どもを伸ばす「眠り」の力』にはこうあります。
眠りは生きることの根っこの部分
(省略)成長ホルモンは、寝入りの最初にやってくる深いノンレム睡眠のときに一番たくさん分泌されます。
『運動後30分以内』と『徐波睡眠中(約120分)』のこの成長ホルモンがたくさん分泌されているときに豊富な栄養源があれば、それらが効率的に体へと補給されていくわけです。こと就寝前ということで言えば、『スポーツ科学バイブル』が推奨しているのは、
『就寝の30分~1時間前に牛乳を400㏄飲む』
ということで十分だと言います。もし牛乳に対して何のアレルギーもないという人は、就寝前にホットミルクを400㏄飲めば、就寝中に体がその栄養源をもとに、疲労回復のめに働いてくれるということですね。
これが大雑把に見た、たんぱく質を摂取したことによる睡眠中の疲労回復の流れです。この流れはよく『大工さんの家づくり』に例えられます。
筋トレや運動というのは、さしずめ『家を壊す作業』ですからね。わざと壊して、そして大工さんたちに材料を渡すことで、『今までの家よりも豪華な家』にしてもらうわけです。体の中ではこういうことが行われているわけですね。
また、先ほど『必須アミノ酸』にあった『トリプトファン』という物質は、睡眠を語る上に決して見て見ぬふりができないものです。更に厳密にいうと、睡眠は、
これらの物質をなくしては語れません。
『ササッとわかる「SAD 社会不安障害」 あがり症の治し方 (図解 大安心シリーズ)』にはこうあります。
3つの栄養素をバランスよく摂ることが大切
セロトニン生成に必要なL-トリプトファンは体内で合成されないため、食事によって摂取する必要がある。このトリプトファンがビタミンB6と結びつき、セロトニンが合成される。ブドウ糖はトリプトファンを脳まで効率よく運び、セロトニン生成を支える。
セロトニン生成に必要なL-トリプトファンは体内で合成されないため、食事によって摂取する必要があります。つまり、L-トリプトファンを摂取することが求められるわけです。
このトリプトファンを多く含む食事を食べた人の寝つきがよくなった、という実験の結果も出てきます。また、朝の目覚めも欲、昼間は情緒が安定し、イライラしにくくもなるのです。『疲れが確実にとれる「眠り方」のコツ』にはこうあります。
寝つきを良くするトリプトファンとは
(省略)トリプトファンは『必須アミノ酸』だから、まずはアミノ酸の塊であるたんぱく質をとる。肉(とくに赤身やレバー)、魚、卵、大豆や、それらの加工品(ハム、かまぼこ、納豆など)である。そのほかでは牛乳や乳製品にとくに多いが、植物にもまったくないというわけではなく、ナッツ類にはトリプトファンが豊富。バナナ、マンゴー、春菊、トマトなども、比較的多めに含む食材だ。
やはりここでも『たんぱく質』の摂取が良質な睡眠や、目覚めのいい朝に繋がっているとありますね。
等の良質なタンパク質を意識して摂ることで、必須アミノ酸であるトリプトファンは摂取できるでしょう。ただ、トリプトファンだけを摂っていてもだめで、
の3つがバランスよく揃っていることも求められます。また厳密に言うと、
等の栄養もトリプトファンからセロトニンやメラトニンを合成するのに必要になります。そしてそれによってできたセロトニンは、日中に日光の光を浴びることによって『メラトニン』というホルモンを合成します。そのメラトニンのおかげで良質な睡眠が得られるわけです。ですから冒頭に『五大栄養素のすべてがバランスよく必要』と言いましたが、実はさらっと言ったこのセリフが、とても重要な的を射ているんですね。本にも、
こういう話になると『どれを一日何グラムとれば足りますか?』と焦って効く人が多いが、今のところとりたてて基準はない。
とあります。『正しい玄米食、危ない玄米食~マクロビをしている人はなぜ不健康そうに見えるのか~』にはこうあります。
巷には『○○を食べれば健康になる』という情報が溢れていますが、『○○だけ』を食べていたら大丈夫か、といえばそんなことはありませんよね。ひとつの食物で、すべての栄養素が補えるわけがないからです。なにより『○○だけ』に偏れば、不足する栄養素が出て来たり、摂りすぎのものが出てくることは明らかです。
『○○だけ』を食べていたらそれでいいということではなく、『このような栄養価の高い食事を毎日継続的に摂り続ける』ことが大事なのです。そのあたりを間違えないようにしましょう。
そう考えると、私はプロテインドリンクを推奨しますね。私自身が乳糖不耐症ということもあるし、運動をしているということもあるのですが、人よりも多めのたんぱく質が毎日必要ですから、こうしたサプリメントを使うことで、不足分を補うことができます。アレルギー反応もありませんしね。プロテインドリンクはアスリートなら誰もが利用しているものです。あの五郎丸選手で有名な早稲田大学のラグビー部の廊下には、プロテインが大量に置いてあって、選手は自由にそれを摂取できるようになっているようです。
また、彼らのスケジュールには『スリープ』という時間があり、一日に何度か仮眠を取るようです。それはとても理にかなっています。睡眠中に大工さんが材料(プロテイン)を使って補修工事をするからですよね。このように、人一倍疲労回復をしなければならない人たちは、プロテイン(たんぱく質)と睡眠をうまく使いこなすのは当然中の当然なのです。疲労回復にはたんぱく質が欠かせないということがよくわかりましたね。
また、『たんぱく質=鶏肉』、『疲労=活性酸素、乳酸』という事実を知っている人なら話が早いのですが、上記の記事に書いたように、『なぜあなたの疲れはとれないのか?――最新の疲労医学でわかるすっきり習慣36』にはこうあります。
鶏むね肉が疲労回復に最適な理由は、鶏むね肉にはイミダゾールペプチド(以下、イミダペプチド)という成分が含まれているからです。
(中略)私たちは一般に疲労回復にいいといわれていた成分、たとえばタウリン、カフェイン、ビタミンC、カルニチンなど合計23種類を調べました。その結果、明確に疲労及び疲労感の両方に効果があると言える物質が4つ見つかりました。クエン酸、コエンザイムQ10、リンゴポリフェノール、そしてイミダペプチドです。唯一客観的なデータとして、疲労に対する効果が実証されたのはこの4つだけです。中でも疲労対策として高い効果があり、しかもダントツで打開効果を示したのがイミダペプチドでした。
等の様々な『疲労回復に有効と言われる成分』を調べたところ、有効だと判断されたのが、
の4つでした。そしてその中で断トツだったのが、鶏むね肉に含まれる『イミダペプチド』だったんですね。イミダペプチドには脳内で暴れまわる活性酸素を無力化して、酸化ストレスを軽減する効果があります。しかもこの抗酸化作用が長く続くのです。例えばコーヒーなどに含まれる『クロロゲン酸』にも抗酸化作用がありますが、その持続力はわずかです。それに比べてイミダペプチドは、
その両方で断トツの高い効果を発揮するのです。ですから例えば、下記のようなレシピがいいわけです。ブロッコリー自体に豊富なビタミンCと、緑色野菜のクロロフィルという抗酸化物質が含まれていますからね。
つまり、『睡眠中にたんぱく質を摂取して疲労回復を狙う』というのであれば、
といったことを意識すれば、そこに含まれる、
等を摂取でき、良質な睡眠と疲労回復を効率よく行うことができるということになります。もちろん、これだけに気を取られるのではなく、前述したその他の様々な栄養素をバランスよく食べることを忘れないようにしましょう。栄養というのは、
栄養A+栄養B=栄養A+
というイメージで、栄養A単体だけではその効果を十分に発揮できないものです。様々な栄養素が相互作用によって栄養価を高めることを忘れずに、バランスよく色々なものを食べるようにしましょう。その際に、上記に挙げたようなものは特に意識して摂るようにすれば最善ですね。
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