ナルコレプシーってなに?
突然に居眠りしてしまう睡眠障害です。
睡眠障害にはたくさん種類があり、『内在因性睡眠障害』と『外在因性睡眠障害』で、合計27種類あると考えられています。ナルコレプシーはそのうち、内在因性睡眠障害の一つです。その原因ですが、長くは謎に満ちた遺伝病だと考えらえていましたが、1999年に視床下部にある食欲を調節するペプチドである『オレキシン』の受容体の欠損が原因であることがわかっています。現在では、適切な治療によって社会復帰も可能です。
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睡眠障害にはたくさん種類があり、『内在因性睡眠障害』と『外在因性睡眠障害』で、合計27種類あると考えられています。ナルコレプシーはそのうち、内在因性睡眠障害の一つです。
『図解雑学 睡眠のしくみ』にはこうあります。
ナルコレプシー
突然、強烈な眠気に襲われる過眠症の代表的な疾患
内在因性睡眠障害の中でも特殊なケースとして知られているのが、俗に『居眠り病』ともいわれる『ナルコレプシー』である。日中に突然強烈な眠気に襲われ、数分から十数分眠ってしまう疾患のため、病気を理解していない人からは『怠け者』とか『だらしがない』といった不当な評価を受けてしまうこともある困った病気である。
よく、寝坊したり居眠りしてしまう人がいますが、それはこのナルコレプシーとは比になるものではありません。ナルコレプシーの人は道端で歩いていても急に眠ってしまうこともあり、そのため、ヘルメットを被って歩くこともあるのです。つまり、そのまま地面にパタリと倒れてしまって頭を打たないように、そうしているのです。
ナルコレプシーの概要
その原因ですが、長くは謎に満ちた遺伝病だと考えらえていましたが、1999年に視床下部にある食欲を調節するペプチドである『オレキシン』の受容体の欠損が原因であることがわかっています。現在では、適切な治療によって社会復帰も可能です。
上記の記事にも書いたように、このオレキシンとは覚醒物質です。つまりこういうことですね。
夕食を食べないと覚醒物質『オレキシン』の分泌が促進され、食欲が増大するうえに眠れなくなるということについて書きました。ただ、マウスで実験をしたところ、
このような実験結果が出て、オレキシンとナルコレプシーには密接な関係があると言われています。食欲を調節する神経伝達物質のオレキシンというのは人間の睡眠と覚醒に大きく関係している物質なのです。このオレキシンの受容体が欠損しているということで、睡眠を上手にコントロールできず、ナルコレプシーの症状が出てしまうということになります。
『不眠症の科学』にはこうあります。
ナルコレプシーの患者さんの約9割で、脳脊髄液中のたんぱく質『オレキシンA』の濃度が低いことが知られています。
厳密に言うと、健常者と比べてナルコレプシーの患者は、『オレキシンAというたんぱく質の濃度が低い』ということになります。これによって、オレキシン神経の働きが阻害され、睡眠発作や脱力発作を起こすのではないかと考えられているわけですね。
ナルコレプシーにはいくつかの症状があります。
ナルコレプシーの主な症状
睡眠発作 | 突然強烈な眠気に襲われる |
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脱力発作 | 激しい感情の変化を起こしたときに、体の一部ないし全身の脱力が急に生じる |
入眠時幻覚 | 入眠と同時にレム睡眠が現れることで夢と現実を混同し、これを幻覚と感じる |
睡眠麻痺 | 入眠時などに本人は買駆使していると感じているのに、全身がマヒして声も出なくなる状態(金縛り) |
基本的には睡眠発作が多いのですが、その他の現象も、ナルコレプシーの症状として考えられています。下記の記事では、『悪夢』や『金縛り』等、これと似た症状についての詳細を確認できます。
実際、ナルコレプシーの患者さんは寝入りばなに金縛りになりやすくなると言われていて、それを嫌がって不眠に陥ることもあるくらいです。『脱力発作』というのは別名『情動脱力発作(カタプレキシー)』とも呼ばれていて、笑う、喜ぶ、怒る、泣く等の強い感情が動くと、それが引き金となり全身の筋力が左右同時に抜けてしまい、そのまま倒れてしまうこともあります。発作は長くても数分でおさまりますが、先ほど言ったように『倒れこんだたら危険な場所』で発作が起きるととても危険です。
下記の動画の主は睡眠専門医で、ナルコレプシーの様々な情報を伝える動画をたくさん用意してくれています。例えばナルコレプシーには『1型、2型』があり、それぞれの特徴を紹介しています。
例えば以下の動画ではナルコレプシーの治療法について教えてくれています。
こういう順番で、薬に依存しないように指導してくれています。先ほども、このナルコレプシーは適切な治療で社会復帰できると書きましたが、その治療には往々にして薬が使用されます。『お酒や薬に頼らない「必ず眠れる」技術』にはこうあります。
ナルコレプシーは薬物利用で改善する病気なので、これが疑われたら必ず病院にかかるべきでしょう。
『お酒や薬に頼らない』というタイトルの本で、ナルコレプシーは薬で改善すると言ってしまっているわけですが、この動画の専門医は薬の使用について慎重なので、信憑性が高いですね。ただ、この本の著者が間違ったことを言っているわけではなく、本の内容は信憑性の高いものが多いので、誤解しないようにしましょう。ただこの本はナルコレプシーの専門書ではないというだけですからね。本でもナルコレプシーについては1,2ページ分しか書いてありませんから、要点だけ書いたのでしょう。
さて、先ほどの専門医のチャンネルには、薬についての動画もあります。
ナルコレプシーの薬は主にこの2種類を組み合わせて処方することが多いようですね。しかし、『眠気覚まし』の利用をする際には、『絶対、絶対、絶対、絶対、絶対に』と強く強調したうえで、『よく眠った後に使用すること』と豪語しています。十分な睡眠時間と仮眠がない状態で使用することは、絶対に避けるべきだと言うことですね。
『値段が高い眠気覚ましの方が、体に優しく、副作用も少なく、長く効く』
ということもポイントです。また、脱力予防の薬に関しては特に値段については言及しておらず、安い薬もある、と伝えています。何にしても、薬というのはなるべく使わない方が体のためですから、あくまでも絶対原則として自分の生活習慣を正してから、最後に使用するようにしましょう。
一番いいのは、自分で病院に行って診てもらうことです。そこで状況に合った最適な助言をしてもらい、治療をするのが理想ですね。