人間のベストな寝姿勢は横向き?仰向け?うつ伏せ?
専門家の意見は『仰向け』と『横向き』で分かれます。
ただ、いびきをかく人は横向きが推奨されます。いびきをかかない人であれば、仰向けで寝ても横向きで寝ても、睡眠の質自体は変わりませんが、いびきをかく人は横向きでないといびきが悪化する可能性があります。どうしてもうつぶせ寝をしたい場合は、
というポイントを注意すれば、問題ない場合があります。
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睡眠の寝姿勢にはいろいろありますが、きっと、それぞれが思い思いの寝姿勢をとって毎日の睡眠をとっているでしょう。しかし、
一体どの姿勢で寝るのが一番理想なのでしょうか。
実は、たしかに『うつ伏せ』を推奨する専門家はいないのですが、その他の二つに関しては専門家でも意見が分かれてしまっています。例えば、『○○が正解』系のテレビや、他の番組でも、一時期のテレビで推奨されていたのは、『横向き』でした。横向きの方が体や心臓等の内臓に負担がかからず、楽に眠れるという理論でしたね。
また、『なぜあなたの疲れはとれないのか』にはこうあります。
『仰向け寝』、『横向き寝』、疲れが取れるのはどっち?
(省略)結論からいうと、いびきをかかない人であれば、仰向けで寝ても横向きで寝ても、睡眠の質自体は変わりません。ですが、いびきをかく人が仰向けで寝るのは大きなリスクを伴います。また、仰向けで寝て、疲れがとれないという人にも、横向き寝はおすすめですから、そんな人はここから先を読んでみてください。
この本では、仰向けと横向き、そのどちらでもいいとあります。しかし、もしいびきをかくような癖がある場合は、仰向けから横向きに変えると改善されると言います。
いびきや睡眠時無呼吸症候群になると眠りも浅くなり、『疲れを取る』という観点から見ても悪い状況です。もちろん『快眠』にもつながりませんから、どちらかというと横向きの方を推奨しているわけですね。
また、もしいびきがある場合は『シムス体位』という寝姿勢で寝ることで大きく改善すると言います。それは例えば以下のような姿勢ですね。
妊婦さんがよくする寝姿勢なのですが、例えば本では『抱き枕』を推奨しています。そうすることでお腹に負担がかからず、呼吸もしやすくなるわけですね。抱き枕を両腕で抱いて横を向き、上の足を枕にかぶせるようにして寝ます。とにかくこの時点で、『横向き』という意見が出ていることがわかりますよね。
しかし、『仰向け』で寝ることを推奨する専門家もいるのです。『お酒や薬に頼らない「必ず眠れる」技術』にはこうあります。
眠るためのベストの姿勢とは
(省略)とはいえ、寝るときの姿勢は人それぞれで、仰向けの人もいれば、横向きやうつぶせの人もいます。枕でも抱いていないと眠れないという人もいます。それらを否定するつもりはありませんが、こと全身の力を抜くということにおいては、仰向けが一番なのです。睡眠術をやろうというときには、まず仰向けを試みてください。
先ほどは『疲労を取るためには横向きがいい』とありましたが、今度は『全身の力を抜くためには仰向けがいい』とありますよね。この時点ですでに意見が乱立しています。この場合のポイントはこうです。
ベストな仰向けの寝姿勢
この仰向けの姿勢によって、体の一部ではなく『体全体』に負荷がかかるようになり、負荷が分散されることで、結果的に体全体の負荷が減ることになります。この理論の場合、横向きだと体重を支える面が狭くなり、『体の一部』だけに負担がかかるため、疲労してしまうということです。
この理論では、うつ伏せも分散ができるのですが、やはり首を90度に回すことがあまりよくないということです。真下を向いて寝るのがいいのですが、マッサージ店にあるような穴が空いたベッドでもないかぎり、枕に顔が埋まって窒息しますからね。うつ伏せはやはり推奨する専門家は少ないようです。
手の平を下ではなく上に向けてしまうと、筋肉の構造上、緊張が走って負担がかかりますので、下に向けて横たわるのが一番自然であり、負担がないということです。また、あごをやや突き出すのは、先ほどの横向きを推奨した専門家が言ったように、『気道』を確保するからです。気道が狭くなると、いびきや睡眠時無呼吸症候群のリスクが上がるとありましたね。
そして、枕はできるだけ『使わない』方がいいと推奨しています。枕や寝具等に関しては以下の記事で詳しく書きましたので、併せてご確認ください。
記事から少し内容を抜粋しますが、整体師、整形外科医の立場から言わせると『枕なし』で寝るくらいでちょうどいいわけです。そして横向きになる寝返りのことを考えると、横にタオルを置いて高さを作り、首を支えるのが理想です。このイメージは下記の動画がわかりやすいですね。
『あごの力を抜く』ということには意味があります。人が眠れないとき、心身が緊張しています。その際、特に上半身の筋肉が緊張し、さらにその中でも『あご』の筋肉である『咬筋(こうきん)』が緊張します。咬筋は、
等の精神的に緊張する場面で収縮します。そして、不眠というストレスを負っているときにも、この咬筋は緊張しているのです。しかし、睡眠中は逆です。脱力しています。つまりこの咬筋は、精神的負担がかかっていると収縮し、負担から解放されていると脱力する特徴があります。この特徴を利用して、まず最初に咬筋、つまりあごの力を抜くことを意識するのです。するとこういう流れが起きます。
このようにして結果的に全身のリラックスにつながり、睡眠へと誘うことができるようになるということですね。もし咬筋についてのイメージがわかず、詳細を確認したい場合は下記の整体師さんが出している動画をご覧ください。
難しく考える必要はなく、ただ『あごの力を抜く』とイメージすればいいですね。このようにしてとにかく意見が分かれている以上、ベストな寝姿勢というのは、人によっては仰向けであり、人によっては横向きであるということしか言えないかもしれません。人それぞれで違うということですね。
ただ、人は睡眠中に『寝返り』を打ちます。ですから、たとえ最初に仰向けになって寝たとしても、途中で横向きになったり、またその逆のパターンもあります。そう考えると、あまりこのあたりのことはそこまで厳密に定める必要もないかもしれません。
例えば、先ほどの寝具の記事で、『肩こり・首痛は99%完治する―“緊張性頭痛”も“腕のしびれ”もあきらめなくていい!』という整体師の書いた本を参考にし、『枕はいらない』という考え方を見ましたが、実はその他の本にも同じことが書いてあります。『あなたの首の痛み、肩こりはストレートネックが原因です!』にはこうあります。
『タオル枕』で寝る
(省略)私は基本的に、夜は『枕なし』で寝ることをおすすめしています。枕をして仰向けで寝ると、横から見たときに『柱の上の方だけが体の前側に曲がった姿勢』を一晩中続けるということになります。これは人間の骨格構造からして不自然な姿勢です。あまりに高い枕をしていると、それだけでストレートネックを進ませてしまうことになりかねません。(省略)両脇に枕を置くのは横向きの姿勢になったときのため。『仰向け寝』のときは枕なしでいいのですが、『横向き寝』になると、枕がないと肩の分だけ頭が下に向くことになります。ですから、肩の分くらいの薄い枕を左右両脇に置いて、『横向き寝』になったときだけ軽く頭を支えて上げようというわけです。私は、この方法こそがもっとも頸椎に負担をかけずに済む寝方であり、首こりや肩こりにならずに済む寝方だと考えています。
寝姿勢が悪かったり、枕が悪かったりすると、
等の不調を感じながら起床することがあります。そうならないためにも、寝具や寝姿勢の最適化は大切です。そこで専門家たちは『枕なしのタオル枕』を推奨し、仰向け、横向きのどちらにも対応できるような寝方を教えてくれているわけです。ここからもわかるように、『仰向けで寝ても、途中の寝姿勢の変更や寝返りで、横向きになる』ことが多々あるわけです。ですから、仰向けで寝ても横向きで寝ても、途中で変化するならあまり気にする必要はないかもしれませんね。
この『寝返り』というのはとても重要なポイントでもあります。『枕革命 ひと晩で体が変わる (講談社+α新書)』にはこうあります。
寝返りなくして疲労回復なし
(省略)また、覚醒時でもそうですが、私たちのカラダは長時間、同じ姿勢を続けると血流が悪くなり、あちこちが痛んだり、しびれたり、むずむずしたりするものです。それは『そろそろ体を動かしてくれないか』という、体からの呼びかけです。睡眠中の寝返りが体の休息であるレム睡眠中に多いのも、同一姿勢を続けることによる血流不良を避けるためと考えられています。寝たきり老人などの場合には、このメカニズムが働かないので床ずれが生じるのです。
寝返りをしないと、布団と密着した部分だけの体温が上昇したり、血流が悪くなって全身の免疫力が悪くなったり、機能全体が不調に陥ったり、床ずれが起きたりします。寝返りをすることは、人間が『生きるため』に必要なホメオスタシスでもあるのです。
人間が正常でいるための機能。
無意識に呼吸をするのもホメオスタシスが働くからです。寝返りをうたなくなれば死ぬということはありませんが、その方向に近づくことは間違いないでしょう。ホメオスタシスとは、『生きる』方向に向かうために働く機能であり、呼吸をしない、寝返りをしないという行為は、それに逆らう行為だということです。
そう考えると、先ほどあったいびきや無呼吸症候群も、それに逆らう行為だということがわかりますね。うつ伏せで寝て、枕に顔をうずめて窒息のリスクを上げてしまったり、頭痛や肩こりのリスクを上げるのも、それに逆らう行為だということがわかります。寝るときはこのホメオスタシスについて意識することで、『適切な寝姿勢』が見えてくるかもしれません。
また実は、
はとてもよく似ていて、もし半うつぶせ寝をしてしまっている場合は、その頭痛や肩こり等の原因となってしまう可能性があります。
横向き寝と半うつぶせ寝の違い
横向き | 下になる肩は前に出る |
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半うつぶせ寝 | 体の下に肩を引き込み、体は半分前に倒れる |
この違いが起きてしまう理由は、『枕の高さ』にあります。単純に、枕が低くてやわらかいと、横向き寝をしたとき、ズブズブっと首が沈んでいき、体は半分前に倒れます。その状態はまるでうつぶせ寝に似ていて、体制だけ横向きなので、『半うつぶせ寝』というわけです。こうした問題が起きないためにも、専門家たちは『タオル枕』を推奨したわけです。そうすることで、仰向け、横向き、そのどちらで寝ても『うつぶせ寝のときのように首や体にかかる負担』を減らすことができ、快眠が得られるということなんですね。
私も好きだった『X Japan』のhideさんは、今の私と同じくらいの年齢で亡くなりましたが、その死因は完全に明らかにされていません。考えられたのは、
というような内容でした。どれもあまり人に言えるような内容ではないので、一番最初の説が一般的となっています。私は、彼がどんな死に方をしようがそれも彼らしいロックな生き方であると今では受け入れられますが、確かに熱狂的なファンからすれば、一番上の形以外は受け入れられないでしょう。 後追い自殺をしてしまったファンも何人もいます。彼は大のお酒好きでしたから、『うつぶせ寝で寝て寝ゲロをして、窒息死した』という事実があってもおかしくはありません。うつぶせ寝で窒息をするということは実際にありえることから、やはりうつぶせ寝のメリットだけはあまりないと言えるかもしれませんね。
ただ、どうしてもうつ伏せで寝たい人、あるいは、気づいたらうつ伏せになってしまう人もいます。うつ伏せで寝ることは本当にいけないのでしょうか。『SLEEP 最高の脳と身体をつくる睡眠の技術』にはこうあります。
うつぶせで寝るときは体をまっすぐにしない
お腹を下にするうつぶせ寝は、かつては赤ん坊の寝姿の代名詞だった。しかし、時代とともに好き嫌いがわかれ、いまなお議論を呼んでいる。子供の発達について研究したバツラフ・ボイタ博士は、赤ん坊のようにうつぶせになることは人間の発達に絶対に欠かせないと述べている。彼は50年にわたる研究の末、圧迫すると赤ん坊の神経系が『活発に動く』部位が複数あることを発見した。その部位は体を少し動かせる状態でうつぶせになったときに圧迫される。だから、子供は自然にその姿勢をとるのだろう。
どうやら、赤ん坊の場合はうつ伏せで寝ることのメリットがあるようです。しかし、大人になるとやはりデメリットの方が目立ってくるので、この本でもそれについて注意しています。
やはり姿勢的にうつ伏せというのはあまり体によくないようですね。ただ、
というポイントを注意すれば、うつ伏せ寝でも問題ない場合があると言います。また、気道が広がるので、小さなイビキや睡眠時無呼吸症候群の症状の一部を防ぐことができます。まあ、それで言えば横向き寝の方が気道が広がりますから、それと比べればメリットは小さくなります。
うつ伏せのときは枕は必要ありません。枕を使ってうつぶせをすればわかりますが、首に無理な負荷がかかりますからね。その状態で寝ると当然首を痛めます。また、小さい枕をおなかの下に入れれば、腰や首への負担が軽くなるので、このあたりのポイントを押さえればうつ伏せで寝てもデメリットは軽減できるでしょう。