夜中にトイレで起きる原因は?睡眠前に『飲んではいけないもの』ってなに?
夜間頻尿の原因はいくつかあります。
単純に飲み物の飲みすぎ、あるいは、『アルコール、カフェイン』を摂取した等であれば、その利尿作用によって夜間にトイレに行きたくなります。また男性であれば『加齢、ED』等でもそうなりやすくなり、女性も『加齢』によって尿漏れ、失禁といった現象が起きるようになります。
やはり『アルコール(お酒等)・カフェイン(コーヒー、お茶等)』に関しては『夜間頻尿、睡眠の質の低下』という理由から基本的にはNGとされますが、『度数の高いウォッカを少量飲む』等の行為で寝つきを良くする手段もあります。
睡眠というものはなるべく『身軽』で臨む必要があります。つまり、心身に負担をかけないようにして、ストレスフリーの状態で寝ることで、快眠を得られるのです。
ですからいびきや無呼吸症候群があるようではだめです。その状態は『改善すべき状態』であり、最悪のケースは死に至ることもあります。
部屋に灯りがあっても駄目ですね。明るさは『0.3ルクス』ほどじゃなければだめです。それは月明かり程度の明るさであり、ほとんど真っ暗な状態です。明るい状態であれば、睡眠を阻害してしまいます。
また、布団や枕等の寝具を最適化することも重要です。『枕革命 ひと晩で体が変わる (講談社+α新書)』にはこうあります。
合わない枕は拷問と同じ
(省略)そして、いちばん下部にある第七頸神経と第八頸神経は、指先にまで到達しています。とくに第八頸神経は、肘の内部にある細い骨の隙間を縫うようにして小指の先にまで伸びているため、圧迫を受けやすい構造にあります。朝起きるたびに小指がしびれているとか、なんとなく手がはれぼったい、手に力が入らないなどという場合にも、首の神経を圧迫していることが原因かもしれないのです。(中略)しかし、合わない枕で寝続ければ、いずれは誰にでも何らかのつらい症状が出てくる可能性はあるのです。なぜなら、合わない枕で眠るのは、首の骨にとって拷問も同じだからです。誰だって、ひどい拷問を受けたり、残虐な暴力行為にさらされれば、無意識のうちに防御姿勢をとるものでしょう。枕の拷問を受けたときも同じです。
寝具が自分の体格に適したものでない場合は、大きな負担をかけながら寝ていることになり、快眠の邪魔になります。インテリアの色も刺激的なものではいけません。落ち着いたアースカラーやパステルカラーにする必要があります。
それから、室温、寝床内環境(布団の中の温度等)も大事ですね。部屋が極端に暑かったり寒かったり、あるいは布団の中が冷たかったり、湿っていればそれは快眠の妨げになります。
また例えば室内に、
などがあるとどうなるでしょうか。『肥満外来の女医が教える熟睡して痩せる「3・3・7」睡眠ダイエット』にはこうあります。
寝室を片付ければぐっすり眠れる
(省略)その中で眠ろうとすれば、必然的に眠っている間、呼吸をするたびに汚れた空気を体内に取り込んでしまうことになります。ところがもともと私たちの体には、侵入してきた異物は外に出そうとする働きが備わっています。そうなると寝ている間も吸い込んでしまった汚れた空気を体外へ排出しようと体が反応して活動をはじめるので、自然と眠りが浅くなってしまうのです。
これらを常に清潔にして体に負担をかけないことで、快眠を得られます。
ポイントは今出てきた『寝ている間も吸い込んでしまった汚れた空気を体外へ排出しようと体が反応して活動をはじめるので、自然と眠りが浅くなってしまう』ということですね。これと同じ考え方で、『夜間頻尿』があると、トイレのたびに起きてしまうため、当然眠りは浅くなってしまいます。したがって、出来る限りそのようなことがないように意識して努める必要があるわけですね。
そんな中、やはり寝る前に食べたり飲んだりしていいものと、そうでないものがあります。その中で今回は『飲んではいけない飲み物』について取り上げていきましょう。
『疲れが確実にとれる「眠り方」のコツ』にはこうあります。
寝る直前には避けたい飲み物
(省略)カフェインは脳内の神経伝達物質の調整に影響を及ぼし、脳神経の興奮状態を持続させる。だから眼が冴え、頭の回転がよくなるのだ。睡眠中にも作用して、眠気を催すシステムをブロックしてしまうので、本当に眠れなくなる。(中略)カフェインは寝つきだけではなく、睡眠の質にも悪影響を及ぼす。体にカフェインが残ったまま眠りにつくと、たとえ寝つけたとしても非常に浅い眠りしか得られない。(中略)その状態では、せっかく眠っても疲労がすっきり取れることはないだろう。さらに、カフェインには強烈な利尿作用もあるので、目覚めてトイレに行く回数が増えることもある。
やはり一番気を付けたいのは、対策も簡単な『カフェインを摂らない』ということですね。飲む場合はせめて眠る5時間前までにしておくことが推奨されています。0時に寝るなら、19時ですね。それ以降はカフェインを摂らないようにしましょう。ことコーヒーということだけで考えても、
ということで、睡眠の阻害要因にしかなりません。
寝る前に避けたい飲み物(カフェイン)
150ml程度中のカフェイン含有量 | |
---|---|
コーヒー | 70~150㎎ |
コーラ | 20~40㎎ |
玉露 | 180mg程度 |
紅茶 | 50㎎程度 |
栄養ドリンク | – |
ウーロン茶 | 70~80㎎ |
ココア | 20~50㎎ |
緑茶 | 30~40㎎ |
また、上記の記事に書いたように、コーヒーはそれだけで口臭の原因ですが、カフェインの利尿作用とストレスによって、水分不足かつ交感神経が優位になり、『ネバネバ唾液』になります。するとその環境を好む嫌気性菌(ニオイを出す悪玉菌)が繁殖し、口臭の原因となります。コーヒー以外でもお茶等、ここに挙げたカフェインが入ったものはすべて同じ作用がありますので、口臭の原因にもなってしまうわけです。ただし、『緑茶』に関しては少しだけ違う情報もあります。それについては下記の記事『テアニン』についてをご覧ください。
その下にある記事は紅茶です。ただ、これらの記事にも書いたように、これらにはメリットも存在します。例えばコーヒーなら以下のようなものですね。
ですからあくまでも『寝る5時間以内』に飲むのがNGなのであって、その他のシーンで『1日に3杯程度』のコーヒーを飲むくらいなら、むしろメリットがあるかもしれません。
ただ、先ほどの本では『寝る5時間前』とありましたが、更に厳しい意見もあります。『SLEEP 最高の脳と身体をつくる睡眠の技術』にはこうあります。
カフェインの門限は午後2時
『コーヒーを飲むと眠くなる』は本当
(省略)学術誌『ジャーナル・オブ・クリニカル・スリープ・メディスン』に、カフェインが睡眠に及ぼす影響についての重大な見解が掲載されていた。(中略)『仕事を終えた帰り道にマグカップ1杯のコーヒーを飲むと、睡眠に悪影響が生まれ、その影響力は寝る前にカフェインを摂取する場合と同等と思われる。』彼らは実験で、複数の被験者に異なるタイミング(寝る間際、寝る3時間前、寝る6時間前)でカフェインを摂取させた。すると、全員の睡眠が大幅に阻害されたことがはっきりと数値に表れたという。要するに、寝る直前はおろか、寝る6時間前であっても、カフェインを含むコーヒーやお茶を飲めば睡眠が阻害されることが明らかになったのだ。
この本では、『寝る6時間前』ですらNGだと言っています。午後2時までがカフェインの門限であり、もしカフェインの効果が怖い場合は取るのをやめた方がいいといいます。しかも、カフェインで睡眠が阻害された場合、本人はそれに気づかないというのです。つまり、実際は睡眠時間が1時間短くなったのに、本人は、
別に普段と同じ睡眠だったか…
と錯覚してしまうということです。そして悪循環が陥ります。
カフェインの力というのは、本人はよくわかりませんからね。エナジードリンクなどにも入っているわけですが、カフェインというものは、それを摂取したところでたいして自覚症状はありません。
しかし、無意識の部分でしっかりと効いていて、それによって中毒死してしまうこともあるので注意が必要です。『産経ニュース』にはこうあります。
国内初、カフェイン中毒死 エナジードリンク日常的に大量摂取か
「エナジードリンク」と呼ばれる飲料を日常的に飲んでいた九州地方の20代男性が昨年、カフェイン中毒により死亡していたことが21日、分かった。常用での中毒による死亡報告例は国内初とみられる。深夜帯の勤務だった男性は眠気覚ましで毎日のように多用しており、この飲料は短時間に約20本飲むとカフェインの致死量に達するという。(中略)保教授によると、カフェインの致死量は3グラム程度。男性が飲んでいた飲料には1本当たり150~170ミリグラムのカフェインが含まれていた。短時間に約20本飲むと致死量に至る計算だ。男性は死亡の1週間前から寝坊で遅刻が続いていたらしく、普段より多量に摂取した可能性も。胃にはカフェイン錠剤らしき破片もあり、久保教授は「20本飲まなくても、錠剤などとの併用で死亡につながった可能性がある」と指摘する。
一般的にコーヒー1杯に含まれるカフェインは約100ミリグラム。こちらは30杯を立て続けに飲むと致死量に達する計算だが、ヒガノクリニックの日向野春総院長は「コーヒー好きの人がふだん飲んでいる程度の量なら何の問題もない」。ただし、カフェイン摂取を止めて禁断症状でうつになり自殺するなどのケースは海外であるという。
参考
国内初、カフェイン中毒死 エナジードリンク日常的に大量摂取か産経ニュース
コーヒーであれば30杯立て続けに飲むことはそうはありませんが、エナジードリンクの場合、クラブなどで出たらお酒と混じれば簡単に飲んでしまいますからね。これに懲りて、カフェインの怖さを知り、いっそのことやめてしまうのもいいかもしれません。
また、『カフェインレスコーヒー』もありますからね。それであればその利尿作用自体は減りますからね。リラックスをして、副交感神経を優位にし、クロロゲン酸という抗酸化作用も得られるので、いいとこどりということです。
紅茶にはコーヒーと同じようにカフェインレスタイプのものもありますから、『カフェインレスの紅茶をホットドリンクとして飲む』のであれば、口臭対策、そして睡眠対策として有効だと言えるでしょう。
私も夕方以降はカフェインレスコーヒーを飲むようにしていますが、最初はカフェインレス独特の『無害感』に少し慣れませんでしたが、今では体にとって極めて優しい『ココアミルク』のような飲み物を飲んでいるような感覚で、何も気にせず飲めています。別に私の場合は、夜に『水以外の飲み物』が飲めればそれでよかったので、これに変えたことで、少し夜の寝つきもよくなった気がします。また、麦茶にはカフェインが含まれていませんので、安心して飲めます。
また、上記の記事に書いたように、運転における睡眠不足の解消、あるいは居眠り運転の『前始末 』として有効な対策は、
です。とにもかくにも仮眠が一番重要であり、実はコーヒーというのは一番効果がありません。しかし、仮眠の前にコーヒーを飲むと、カフェインが効いてくるちょうど20分後程度で起きることができるので、コーヒーのカフェインを仮眠の前に摂取する方法は有効です。寝起きが悪い状態で運転を再開するのは危険ですからね。
また、仮眠のタイミングはそれぞれの都合によりますが、一番いいのは『こまめに取る』でしょう。休憩所があり、この後長距離運転が続き、あまり寝ていなく、等、状況は様々ですから、やはり事故を起こす前の『前始末』としてこのような対策を頻繁に取るようにするのが理想ですね。また、昼に眠くなるということについては、下記の記事に書きましたので併せてご確認ください。
また、カフェイン以外の利尿作用と言えば『アルコール』です。『図解雑学 睡眠のしくみ』にはこうあります。
就寝前の軽いお酒ならば、寝酒とかナイトキャップとか呼ばれているように、睡眠を促進する効果がある。しかし、これはあくまでも少量の場合の話、アルコール度数の低いワインを1~2杯、あるいはウイスキーの水割りを1杯程度ならば眠るのに適した状態になるとともに深い眠りにつきやすいが、適量を超えた飲酒は入眠促進効果はあっても睡眠の持続には悪影響を及ぼす。
寝る前に飲むお酒は『ナイトキャップ』ともいわれていて、ごく少量のお酒ならば寝酒も効果があると言う専門家もいます。『不眠症の科学』にはこうあります。
欧米では、寝酒としてリキュールや蒸留酒などアルコール度数が高いものが好まれ、寝酒そのものを意味する『ナイト・キャップ』というカクテルまであります。世界のなかでは特に日本で寝酒が好まれています。2002年に行われた欧米やアジアの10か国を比較した調査によると、日本人が不眠のために医療機関を受診する割合が極端に少なく、そのかわり不眠を解消するためにアルコールを摂取する割合が、ダントツの3割以上を占めました。
欧米では、『ナイト・キャップ』という名前のカクテルまであるようです。どちらにせよナイトキャップというのは日本語で言うと『寝酒』という意味ですね。このようにして、世界的に見ても寝酒を利用する人が大勢いるようです。しかも日本人は世界的に見ても、『不眠のために病院に行かない』という特徴もあって、ダントツに多いですね。
寝酒をする人の国際比較(出典・睡眠疫学調査SLE-EP 2002年より)
ただし、『SLEEP 最高の脳と身体をつくる睡眠の技術』にはこうあります。
飲酒したら寝る前にトイレに行く
寝る前にお酒を飲めば、排尿行動が生じる。当然、これも睡眠を阻害する。膀胱を開放したくなって起き上がれば、睡眠のリズムは乱れる。おしっこをすれば、どうしたって目が覚めてしまう。アルコールが残った状態で眠り、途中で目が覚めると、体の回復に必要な睡眠の段階になかなか戻れない。寝る間際にお酒を飲むなら、ベッドに入る前にトイレに行く時間をたっぷりとることを忘れないでほしい。
寝る前の飲酒は基本的にNGだと言うのが王道の意見です。
『お酒や薬に頼らない「必ず眠れる」技術』にはこうあります。
『寝酒』は害の方が大きい
寝酒は良くない。常識的に誰もが言うことです。(中略)飲酒をすると、大脳皮質が制限されます。飲み屋で理路整然と法律の話の出来る人などいませんし、難しい数学の問題を解ける人もいません。これはすべて、前頭葉や頭頂葉、言語中枢などの大脳皮質の働きが抑えられているからです。このことによって、床に入ってあれこれ考えるということが少なくなり、入眠潜時が短くなり、ねつきがよくなります。そして、その後の深い睡眠にも入りやすくなります。この作用のために、多くの人がお酒を飲んで寝ようとするのです。
しかしいいことはここまでです。寝つきはよくなりますが、その後のレム睡眠の時間は極端に短くなります。ノンレム睡眠の深度も浅くなります。つまりすぐに目が覚めてしまうのです。
寝酒によってたとえ寝つきのよさを得られても、
等の様々な問題を引き起こすことになります。睡眠は、レム睡眠とノンレム睡眠を繰り返して行われます。
このように、『δ派のノンレム睡眠』を『4回』ほど繰り返すと睡眠時間は『約7時間』になります。しかし、ベッドについてその瞬間に眠れる人はいませんから、ベッドに0時についた場合、『約7時間半』ほど経った、7時30分に起きられれば、十分な睡眠ができたことになります。これが理想的な睡眠です。しかし、飲酒によってこのレム睡眠やノンレム睡眠の質が低下し、乱れが起きます。すると、起床時にすっきりしなかったり、途中で起きてしまったり、悪夢を見たり等の問題が起き、どちらにせよ睡眠の質が低下してしまうのです。
また『SLEEP 最高の脳と身体をつくる睡眠の技術』にはこうあります。
睡眠時無呼吸症候群の人は、飲酒に注意が必要だ。睡眠障害を専門に研究する、ケース・ウェスタン・リザーブ大学クリーブランド・クリニック・メディカル・スクールで准教授を務めるリーナ・メーラは、アルコールは上記道内の筋肉の正常な緊張を阻害すると主張する。つまりお酒を数杯飲むと、眠っているときの呼吸に問題が発生するリスクが高まるのだ。睡眠時無呼吸の問題を抱えている人がお酒を飲むと、眠っているときに呼吸が止まる頻度が増え、止まっている時間が長くなる可能性が高い。飲酒と睡眠のちゃんぽんは、命を脅かす副作用が生じる確率を激増させる。飲酒にそれだけの価値があるのか、しっかりと考えた方がいい。
冒頭にも睡眠時無呼吸症候群については触れましたが、飲酒によってそのリスクは激増します。これが常識的な『寝酒』に対する考え方です。
しかしそれを踏まえた上で、『スタンフォード式最高の睡眠』にはこうあります。
なぜ『ウォッカを飲むオペラ歌手』は歌がうまいのか?
(省略)大量のアルコールは睡眠の質を下げるが、度数が強くても量が少なければその心配はない。もちろん体質もあるが、飲んですぐに眠ることで、最初の90分、しっかりと深く眠れているのだろう。ウォッカはアルコール度数が40度。なかには90度近いものもある強い酒だ。ワインはおよそ14度、ビールは5度程度だが、このようなアルコール度数の低い酒をだらだらと長時間飲むより、一口飲んで目を閉じるのは入眠にはいいと思われる。
人間の睡眠で一番深い眠りは、最初の90分のノンレム睡眠にあります。したがって、この時間の寝入りをどれだけスムーズに行えるかで、睡眠の質が変わってくるわけですね。ですからこの理論で言うと、最初の90分のためには『度数の高いウォッカを少量飲む』ことは、有益なわけです。度数の低いビールをちびちびと、結果的に大量に飲むと、先ほど言ったような、
等の問題は多少緩和されます。また、下記の記事に書いたように、人間ですからストレスでどうしても眠れないときもありますからね。そのようなときは、このオペラ歌手のような飲み方を真似してみるのもいいかもしれません。先ほども『欧米ではアルコール度数が高いものが好まれる』とありましたが、実はそういうお酒の方が寝酒には適していたということですね。ただしその場合、先ほどあったように『寝る前にトイレに行く時間をたっぷりとる』ことを忘れないようにしましょう。
睡眠や寝る前に飲む飲み物について、男女別でも注意する点があります。
また男性の場合、下記の記事に書いたように、夜間にトイレの回数が多いのはEDの疑いがあります。もちろんそれだけではありませんが、EDの疑いもあるということですね。尿というのは男性ホルモンが関係しています。
夜中にトイレの回数が多いのはEDである証拠?頻尿と男性ホルモンの関係性 – Under”I” |
加齢によって男性ホルモンが少なくなると、
といった諸症状が現れます。ここに『頻尿』と出てきましたね。つまり、
このような状況になるわけですね。男性ホルモンが低下すると、あまりいいことは起きないということになります。
記事にあるLOH症候群の諸症状で、『下部尿路症状』というものが出てきましたが、れこそが、『夜間に何度も行ってしまうトイレ』の現象です。夜間頻尿(下部尿路症状)が起きてしまう原因はもしかしたらこのような、加齢を伴う自然現象も関係しているかもしれません。
赤ちゃんがどうしてもオムツにトイレをしてしまい、人が最後には必ず死ぬように、老化現象までは止めることはできません。私の祖母は社長夫人として若いときは自分で何でもやっていたと言いますが、今ではデイサービスを利用している90歳のおばあさんとなりました。
私は無宗教ですが、ブッダは言いました。
時間は流れ、宇宙はうごめき、命の火は消え、物質は分かれる。風は吹き荒れ、大地は鳴り響き、海は揺らいで、炎は燃え盛る。
この世は全て、流動変化しています。それが諸行無常という言葉の意味です。我々は生まれたときから、老化に向かっています。不老不死になることはできないし、赤ん坊のような初々しさを永遠に保つことなどできません。ブッダは『しがみつく、執着こそが罪だ』と言いました。執着さえなければ、この世におけるありとあらゆる悩み、苦しみから解放されます。どうにもできないことは、どうにもできないのです。むしろ、一人間の思い通りにしようと思うことなど、思い上がりなのです。もし自分が人生の黄昏時を迎えている場合は、最後にたどり着くのはこのような考え方だと悟ることが大切ですね。
では、女性の場合はどうでしょうか。女性の場合もホルモンバランスが崩れたり、更年期障害によって、
といった尿漏れ、失禁といった『ゆるみ』の現象が起きるようになります。『更年期ラボ』にはこうあります。
女性の骨盤底筋群(膀胱や尿道、子宮など骨盤内の臓器を支える筋肉)が緩み、骨盤の中にある臓器がきちんと支えられていないために起こるもので、妊娠・出産、加齢、肥満、閉経による女性ホルモンの低下などがおもな原因としてあげられます。
女性は何かとホルモンバランスを崩してしまう宿命を背負っていますから、そのタイミングで、
といった様々な問題を引き起こしがちになります。女性というのはとても繊細な生き物なのです。
また、『SLEEP 最高の脳と身体をつくる睡眠の技術』にはこうあります。
アルコールは女性の方が悪影響が出やすい
夜の飲酒は、女性にとってはなおさら危険だ。(中略)すると、男性に比べて女性の被験者のほうが夜中に何度も目が覚め、目覚めている時間が長く、トータルの睡眠時間が短かった。
男女に同じ量の飲酒をしてもらい実験すると、女性の方が飲酒によって睡眠の質が低下したというデータがあります。その理由は、『女性の方がアルコールを代謝するスピードが速い』からだと言われています。つまり、女性の方がすぐお酒に酔ってしまうのであり、お酒に弱いということになります。そして、その影響が睡眠にも出てきます。夜間頻尿の頻度も多いかもしれません。ですから、女性は男性よりも夜の飲酒を控えるべきだということになりますね。
自然による老化現象はどうにもなりませんが、カフェインやアルコールは寝る5時間前までにしておき、もしアルコールを飲まなければどうしても寝られない場合は、あのオペラ歌手のように強い酒を少量飲むだけにした方がいいでしょう。また、違う意見もあります。『疲れが確実にとれる「眠り方」のコツ』では『寝酒にピッタリのカクテル『ナイト・キャップ』の作り方を教えてくれています。
用意するもの
この本でも他の本と同じように、過度の飲酒を禁止したうえで、『睡眠1時間前までに飲む』ことを前提とし、ナイトキャップを楽しむことは別に問題ないとしています。アルコールには利尿作用がありますから、最善は2時間ほどまえに切り上げ、その間にたくさん水分を補給し、あるいはトイレを済ませれば、睡眠中の夜間頻尿も予防できるということですね。
先ほどは『5時間前』とありましたが、今度は『2時間前』ですね。各専門家で意見が違うようです。しかし、カフェインなんかは6時間前でも睡眠の質に影響があるとあったわけですから、やはりアルコールも前であればあるほどいいでしょう。ですから、
『18~19時ごろの、夕食時に、ウォッカやナイトキャップカクテルを1杯飲み、0時ごろ就寝する』
というのが理想的なのではないでしょうか。 まあこのあたりはケースバイケースでしょう。寝る直前に飲まなければ寝られないという人はいるでしょうが、それは考え方自体を改める必要があるかもしれませんね。アルコール以外の選択肢で睡眠できるよう、考え直してみましょう。他に目を向けるべきところはたくさんありますからね。