目覚ましにスヌーズ機能は効果ある?
専門家は推奨していません。
まず、人はノンレム睡眠(深い睡眠)のときに強制的に起こされると、不愉快な目覚めを味わうことになります。ですから、アラームは『2つの時間』でセットするわけです。1度目のアラームは『ごく微音で、短いもの』にし、まずレム睡眠へと移行させます。そこで起きられればレム睡眠で起きたことになり、目覚めは良く、もし起きなくてもレム睡眠へと移行しているので、次の2回目のアラームで『レム睡眠起床』ができますから、どちらにせよ目覚めがよくなります。
スヌーズだとその2つのアラームに十分な時間が空けられません。もしそのノンレム睡眠の状態だった場合、何度もアラームが鳴ることによって、不機嫌な目覚めになってしまう可能性があるので、専門家は推奨していません。
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上記の記事にも書きましたが、目覚まし時計というのは基本的に使う必要はありません。
よく考えればわかりますが、昔は目覚まし時計はありませんよね。しかしそれで生活していたわけです。ですから目覚まし時計は生活の必需品ではないのです。
同じようにこの日本で考えられる常識として『満員電車に乗って出勤する』という行為がありますが、それも世界から見れば常識ではありません。このように、まず包括的な視野を持って、物事の根幹から考え直すことによって最善の解決策というものが見えてきます。
フランスの哲学者、ルソーは言いました。
ルソーが書いた著書『人間不平等起源論』の文中にはこうあります。
人間が一人でできる仕事(中略)に専念しているかぎり、人間の本性によって可能なかぎり自由で、健康で、善良で、幸福に生き、(中略)しかし、一人の人間がほかの人間の助けを必要とし、たった一人のために二人分の蓄えをもつことが有益だと気がつくとすぐに、平等は消え去り、私有が導入され、労働が必要となり、(中略)奴隷状態と悲惨とが芽ばえ、成長するのが見られたのであった
つまりルソーは、『人間は元々平等だったが、 その平等さを追い求めた結果、『不自然な不平等』が起きた』 と言います。それが『法律』、『政治』、『家族』、『勤労』といった『社会制度』であり、地位や名誉、そして財産による階級の差異、差別化なわけです。
また、ソクラテスは言いました。
その記事にも書きましたが、あるビジネス誌にはこう書いてありました。
『残業残業また残業。残業をしなければいけない風潮が会社に蔓延していて、残業をすると、会社で英雄になれると思い込む。そういう人が後を絶たない。だが、彼らは仕事をさぼってはならないという強迫観念に襲われ、人間が本当に重視するべき人生をさぼってしまっているのだ。』
ここまで考えれば見えてきますね。人は決して『朝目覚まし時計で強制的に起きて、満員電車で人ごみにもまれながら出社し、会社で上司の顔色をうかがって肩身の狭い思いをし、アフター5でやけ酒をして愚痴を言う』ために生きているのではないのです。こういう根本的な考え方が響く人はいます。こういう話を受け、
そうか。よし、じゃあ思い切って脱サラして、第二の人生を歩もう!
と奮起する人はいるのです。また独立するわけじゃなくても『自立』に今まで以上に目を向けるようになり、主体性が引きあがる人は大勢いるでしょう。それが冒頭の記事に書いた『注意睡眠』と『自己覚醒』という脳内の目覚まし時計を駆使するために必要なポテンシャルになります。
『疲れが確実にとれる「眠り方」のコツ』にはこうあります。
脳内の目覚まし時計を活用しよう
(省略)明け方、睡眠ホルモンのメラトニンの分泌が減少するのと入れ替わりに、コルチゾールは起床する頃にかけて分泌量が増える。メラトニンは副交感神経を優位にし、コルチゾールは交感神経を刺激する働きがある。(中略)自己覚醒の脳内メカニズムは、科学的にはまだはっきりと改名されていないのだが、起きようと決めた時刻のおよそ1時間前から副腎皮質ホルモン(ACTH)の分泌が急激に増加することが実験で確かめられている。このACTHは、副腎皮質に働きかけてコルチゾールの分泌を促すホルモン。つまり、寝る前に起床時間を意識することによって、それが体内時計にインプットされ、予定の約1時間前から起きる準備を体にさせている、というわけだ。
つまりこういうことです。
つまり、
明日は○時に起きるぞ!
と強く念じて『注意睡眠』をすることによって、ACTHが急激に分泌され、そのおかげでコルチゾールが分泌され、そのおかげで交感神経が優位になり『自己覚醒』できるということですね。『最高の目覚まし時計』というのは、この『脳内の目覚まし時計』です。これを駆使することができれば、目覚まし時計は必要ないのです。また、目覚まし時計を使って強制的に起き、強制的に満員電車に乗り、強制的に会社のルールに従う、という一連の『社会人の常識』も、私には『非常識』のように見えます。ですから最低でも目覚まし時計を使うにあたって、『主体性』について一度立ち止まってじっくりと考えたいものです。
冒頭の記事にも書きましたが、
があります。我々は皆、かつて目覚まし時計を使っていて、部下にいたっては現在進行中で使っている状態です。しかし、ある日目覚まし時計が壊れ、遅刻をしてしまったことで信頼を失くし、それ以来私の場合は、目覚まし時計に頼ることをやめました。ただその代わりに『脳内の目覚まし時計』を活用することができるようになり、同時に人生に対する主体性も磨かれるようになりました。
何があっても言い訳せず、自分の責任だと考えられるようになり、そのおかげで人生の至る場面でスムーズに物事が進むようになりました。知人の場合は会社の上司からシカトされるようになり、
このままじゃまずい…
と思い、そして主体性を身につけました。それ以来、人に言われる前に自分でやるようになり、遅刻はなくなりました。しかし、部下は違います。部下の場合は、いまだにその『主体性』が持てません。人生に対しても、仕事に対しても、自暴自棄になっています。彼は幼少のころに事故で兄を亡くしているということもあって、それをいつまでもいつまでも引きずり、言い訳にして、
自分は被害者だから主体的に何かをやる必要はない。ただ待っていればいい
という考え方で生きるようになってしまっているのです。そしてひどいのは、そのことについて私が再三再四、実に10年以上の時間をかけて本人に言い続け、諭し続けているのにも関わらず、その生活を改めることができないのです。
アイルランドの劇作家、バーナード・ショーは言いました。
人間の癖や習慣を変えるということは、容易ではないのです。彼はいつまで経っても『自立』に目を向けられず、何度も同じミスを繰り返し、遅刻も繰り返し、罰金を払い続けています。
このような背景もあって、私は目覚まし時計に依存することは推奨しません。何しろ、遅刻をしなくなった私が目覚まし時計を使っておらず、遅刻をする部下が目覚まし時計を使っているんですからね。このパラドクス(逆説)がある以上、私は淡々とこの事実を伝えることが誠意だと考えています。
『疲れをとるなら帰りの電車で寝るのをやめなさい』にはこうあります。
目覚まし時計を使わない『自己覚醒法』で起きる
(省略)日本学術振興会特別研究員の池田大樹さんに聞いた。『あらかじめ決めた時刻に、目覚まし時計などの外的手段に多様らず、自発的に目覚めることを自己覚醒といいます。意外かもしれませんが、例えば米国では20歳以上の約半数が、この自己覚醒を習慣にしているという報告があります。日本でも労働者を対象にした調査では、20代が7%、30代が18%、40代が27%、50代が37%と、年齢が上がるにつれて多くなることがわかっています。』
この、『年齢が上がるとともに自己覚醒が増える』ということを見ても、主体性=自立した大人の証拠、という事実が見えてきますね。したがって、世に良いエネルギーを広めるために存在するこのサイトで行うべきなのは、『目覚まし時計依存』の人の応援ではなく、『主体性のある人』になるための助言なのです。また、米国の20代の約50%が自己覚醒を自分のものにしているわけです。それに比べて日本人は7%ですよ。負けていられないと思いませんか。
さて、あくまでもそれを前提としたうえで、それでもどうしても部分的に目覚まし時計が必要なシーンはあるでしょう。私もイレギュラーなイベントがあるときには使っています。一年の350日は使いませんが、15日くらいはイレギュラーなことがあり、そのタイミングで使っているんですね。
では、効果的な目覚まし時計の使い方というのは存在するのでしょうか。『スタンフォード式最高の睡眠』にはこうあります。
覚醒戦略1 アラームは『2つの時間』でセットする
(省略)そこで私が推奨するのは『起床のウィンドウ(余白)』をつくる方法。具体的にはアラームを2つの時間でセットするというものだ。手順はごくシンプルで、仮に7時に起きなくてはいけないとしたら、6時40分と7時の2つの時間にアラームをセットする。6時40分から7時までの20分を『起床のウィンドウ』とするのだ。朝方であれば、レム睡眠の時間は長くなっているし、20分前後で『ノンレム→レム』の切り替えが行われている。このタイミングをねらう作戦だ。
ではここで睡眠時の人の脳波の動きを見てみましょう。
人が熟眠感を得るためには脳波をこの『δ派』にする必要があります。この状態になると自律神経は副交感神経が優位になっていて、体温は低下しています。これが『ノンレム睡眠』といわれる深い睡眠です。
脳は起きて身体が眠っている。浅い睡眠。Rapid Eye Movement。急速な眼球運動を伴う眠り。瞼の中で目がぎょろぎょろと動いていることから、REM睡眠と名付けられた。
脳も体も眠っている。深い睡眠。
睡眠は、レム睡眠とノンレム睡眠を繰り返して行われます。
例えばこのように、『δ派のノンレム睡眠』を『4回』ほど繰り返すと睡眠時間は『約7時間』になります。しかし、ベッドについてその瞬間に眠れる人はいませんから、ベッドに0時についた場合、『約7時間半』ほど経った、7時30分に起きられれば、十分な睡眠ができたことになります。
人が夢を見るのはレム睡眠だけではありません。ノンレム睡眠のときにも見ています。しかし、『覚えている』のはレム睡眠の夢だけです。何しろ、朝人が起きるときは、『レム睡眠の状態』で起きるのです。レム睡眠が浅い睡眠で、ノンレム睡眠が深い睡眠ですからね。深い睡眠の状態ではなく、浅い睡眠の状態で人は起きるわけです。ですから、起きる直前、つまりレム睡眠のときに見ていた夢を覚えていて、ノンレム睡眠のときの夢は覚えていないというわけですね。
さて、このスタンフォード式の『2つの時間』でセットする方法ですが、つまりこういうことです。7時に起きる場合のケースですね。
この際、1度目のアラームは『ごく微音で、短いもの』にすることがポイントです。なぜなら、もしこの時にレム睡眠なら睡眠が浅いので、これで起きられますし、もしノンレム睡眠なら、うるさいアラームによって起きるととても不愉快な目覚めになるからです。ノンレム睡眠の状態でも、そのわずかなアラームでしっかりレム睡眠へと移行するので、1度目のアラームは『ごく微音で、短いもの』で十分なのです。
ここで『スヌーズ機能』を想像した人がいるかもしれませんが、スヌーズだと十分な時間が空けられず、もしそのノンレム睡眠の状態だった場合、何度もアラームが鳴ることによって、不機嫌な目覚めになってしまう可能性があるので、専門家は推奨していません。ちなみにその部下のスマホには、3つの時間に分けてアラームが設定してありますが、それでも二度寝をしてしまい、遅刻をしてしまっています。これが私が目覚まし時計依存しないよう、何度も推奨する理由ですね。
また、『病気を治したければ「睡眠」を変えなさい』にはこうあります。
目覚まし時計は帰宅直後にセットすべし
(省略)アラーム設定を寝る直前に行うと、『朝起きるまでもう5時間しかない『『早く寝ないと起きられない』などと焦ってしまいます。その焦りがきっかけとなって交感神経のスイッチが入れば、せっかくの眠気が消えてしまいかねません。
目覚まし時計に対する考え方は色々あります。この場合、セットするときは、寝る直前ではなくて、もっと数時間前に行うのです。そして目覚ましのことを忘れ、夜寝る際の緊張をほぐすわけですね。確かに一理あります。しかしこれだと、『注意睡眠』と『自己覚醒』とは反対の動きになります。注意睡眠とは、夜寝る際に、
明日は○時に起きるぞ!
と強く念じて眠る方法です。ですからそれで言うとこの場合は、こと『寝つき』のことは度外視されています。それよりも『朝起きる』ことがメインになっていますから、このあたりの問題は、バランスが必要です。ですから私の場合は逆に寝る前にセットしますね。そうすれば、その行為自体が『注意睡眠』になりますよね。
明日は○時だから、○時にセットして、と…
という形で、寝る前にそれで多少の緊張が走ったとしても、その代償にそれが注意睡眠となり、翌日の自己覚醒につながるのであれば、目覚まし時計依存にもならないし、かつ目覚まし時計の力も利用できるため、理想的だと考えられます。
『疲れをとるなら帰りの電車で寝るのをやめなさい』にはこうあります。
短い睡眠時間でも日中の作業効率が向上
自己覚醒のメリットは多い。目覚まし時計で強制的に起こされるより起床後の気分がいいだけでなく、日中の居眠りも少ないことがわかっている。さらに池田さん等の実験では、同じ睡眠不足の状態でも、自己覚醒をした場合はそうでない場合に比べ、各制度や作業能率が多いことがわかっている。(中略)目覚めた後は『睡眠慣性』といって、しばらくは眠気を引きずる。この睡眠慣性は覚醒直前の眠りが深いほど悪化するという。自己覚醒の場合は、眠りが比較的浅くなったところで目が覚めるため、睡眠慣性が低減し、快適に目覚められる。
先ほど、『ノンレム睡眠なら、うるさいアラームによって起きるととても不愉快な目覚めになる』と言いましたが、これはこの睡眠慣性という現象のことです。しかし自己覚醒なら浅い睡眠、つまりレム睡眠時に自然に起きるので、快適に目覚められるということですね。またそれで言うと先ほどあった、スタンフォード式の『2つの時間』でセットする方法も、レム睡眠で起床するという意味で、快適な目覚めに有効だと言えます。これらの事実を踏まえた上で、自分の状況に合わせて『目覚まし時計』を使っていきましょう。そしてもちろん目覚まし時計というのは、体内にも存在するということを忘れてはいけません。