ストレスは不眠の原因になる?
なります。
睡眠というのは何かと『身軽』になることが求められます。体も心も、それが重ければなかなか寝つけません。更に、悩みや不安、嫌な記憶というのはあまり脳に定着させたくないものです。実は、人の記憶に定着させるのに必要なのは睡眠です。つまり、嫌なことがあって眠れないのは、脳がその記憶を定着させないようにする『自己防衛本能』なのです。このような様々な事情から、人は心が重ければ眠りにくいのです。
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ストレスがあるとなかなか眠れません。ストレスというのは往々にして『悩み』、『不安』と同義語ですが、やはりそのようなものを抱えている人はある種『重りを背負っている状態』に等しいので、なかなか身軽に眠ることはできないのです。
等に該当する人は眠れないのです。
睡眠というのは、睡眠時にとにかく『身軽』でなければなりません。『頭が10倍よくなる超睡眠脳の作り方』にはこうあります。
寝具は薄くて軽いものに
ベッドは横になったとき体重をしっかり分散して、体の特定の部位に負担をかけないものを選びます。究極的には水に浮かぶ、もしくは水銀に浮かんで寝るのが理想的です。ただし現実的には無理なので、それらに近い感覚としてウォーターベッドも効果的だと思います。ウォーターベッドは体を水に浮かせているわけではなく、水を包んでいるビニールに横たわっているので、完全には体重を分散させているわけではありませんが、それでも普通のベッドよりも体への負担は軽減されています。つまり、重力からの『自由』を得ているわけです。掛布団は、寒いからといってあまり厚手のものを体にかけないようにしてください。布団自体の重さが体へのストレスとなり、眠りが浅くなってしまいます。
このようにして、敷布団や掛布団でさえも『身軽』になることを意識することが大事なのです。もちろん、じゃあ素っ裸で寝ればいいのかということになるとそうではありません。睡眠に重要なのは
等様々な環境が必要です。それらをすべてそろえたうえで身軽さを意識する必要があるということですね。
ですから例えば子供のころ、
明日は遠足だ!
と気分が浮ついていたら、それだけで不眠に悩まされたのを誰もが経験があるはずですが、そういう風に気分が高揚しているだけでも不眠の原因となります。つまり、不安の真逆の『浮ついた状態』であってもいけないのです。とにかく睡眠というものは『安穏とした心』が必要になり、『平常心』が保てない人は寝つきが悪くなるのです。
このように頭の中に悩みが存在すると、いつまでも眠れなくなります。それについては考え方がいくつかありますが、脳科学者の澤口俊之さんは、
と言っています。人間は、寝ることによって記憶を定着させるので、いやなことがあったら眠れなくなるのは、そのいやなことを記憶に定着させないように、脳が自己防衛しているという事実を知れば、
あっそうなんだ、じゃあいい傾向なんだね
と考えることができ、眠れない状態について『さらに落ち込む』ことがなくなります。しかし、『悩みがあると眠れない』ことは事実ですね。『お酒や薬に頼らない「必ず眠れる」技術』にはこうあります。
そう、眠るということは、つぶやきを止めるということでもあるのです。
これらの頭の中のつぶやきは『言語』であり、言語中枢が働くということは、脳の他の部分、記憶や感情、論理性にかかわる部位も一緒に働き、脳の機能が総動員され、覚醒の方向に傾きます。頭の中のつぶやきをなくすことも、睡眠には欠かせない要素となります。脳にも負担をかけてはいけないのです。脳にも『身軽さ』を与えることが大事なのです。
私は随分ストレスコントロールがうまいと自負している人間です。ストレスが溜まって病気になるくらいなら、多少ルールを破ることもいとわない考え方を持っています。恐らく、死んだ父が『ストレスによる肝臓がん』が原因で亡くなったことも大きな影響を与えているでしょう。また、持病の『口唇ヘルペス』も関係しています。15歳のときに強いストレスを負ったのですが、その時にヘルペスを発症させてしまいました。これは疲労やストレスなどで免疫力が下がっているときに必ず発症します。潜んでいるウイルスが口元に降りてきて、皮膚を食い破って増殖しようとするんですね。
ですから私は、
ストレスを負うと死に近づく
と強く意識するようになりました。そういうことも手伝って、この考え方が形成されていったのです。ですから、仕事でストレスを覚えたときは、さぼって堂々と映画館で映画を観たこともあります。
社会人的に見たら失格でも、人間的に考えたら恐らく私の選択は正しい
そういう理論でもって、ストレスコントロールをしてバランスを取っていました。そもそも、日本人は働きすぎたり、まじめすぎたりするところがあるのです。
日本人は外国人から見て以下のように思われています。
やはり日本人というのは外国人から見てこのように思われているようです。もちろん、デメリットとしては、
等が挙げられ、逆にこれらの特性が彼らの『型』にはまらず、窮屈な思いをしてしまうということがあるわけです。海外では運転や清掃等の仕事中にサングラスをかけて、ガムを噛んだりするシーンがよく見られますが、日本でそういうことをやると『社会人失格』のレッテルを貼られますよね。
私は別に、仕事さえしっかりしていれば問題ないと考えるタイプです。アメリカでは、大リーガーもバッターボックスでガムをくちゃくちゃ噛んでいますからね。世界規模で見たら考え方は十人十色なのです。だからといって私の『映画を観た』という行為を正当化するつもりはありませんが、『じゃあ私がそのままストレスで潰れたらよかったのか』と質問すると、恐らく正確な答えを言える人はいないでしょう。
『SEのためのうつ回避マニュアル~壊れていくSE』にはこうあります。
ここ数年、年を追うごとに相談室にカウンセリングを受けに来られる方の数が増えています。なかでもIT業界の割合が多くなってきています。相談に来たITエンジニアの話に耳を傾けていると、体調不良や人間関係という悩みの向こう側に、折り重なった様々な要因…例えば、過酷な3日間連続徹夜や、厳しい納期、非常に速いスピードで進歩する技術、職場の殺バスとしたコミュニケーション、客先での常駐などが折り重なった『ストレスフル』な環境がみえてきます。
事実、この本が出てからもう10年以上が経ちますが、その間にSEの人が過労によって自殺をするというようなケースがいくつも起きてしまいました。私は『過労で自殺をする』くらいなら、『そんな過労を強いるクソ会社の仕事をさぼって映画を観る』選択肢を選びますけどね。私の行動の正当化でもその亡くなった方の冒涜でもなく、単純にそう考えますけどね。
さて、これで私のストレスコントロールの高さがわかったでしょう。であるからして私はかなりストレスに対する考え方ができていて、『ストレスを負うくらいなら、お金を稼げても仕事をしない』と考えます。もちろん、『難問に立ち向かう時に負う良いストレス』ならいいのですが、『性根が腐った人間に媚びを売らなければいけない仕事』をしなければならないならば、そんな仕事は願い下げということですね。
しかしそんな私でも、ストレスから逃げられないときがあります。そんな時はやはり、いつまで経っても眠れないんですね。いくら私のように日ごろ鍛えていても、ストレスに対する耐性があり、様々な対策を持っていてもです。ではここで睡眠時の人の脳波の動きを見てみましょう。
人が熟眠感を得るためには脳波をこの『δ派』にする必要があります。この状態になると自律神経は副交感神経が優位になっていて、体温は低下しています。これが『ノンレム睡眠』といわれる深い睡眠です。
脳は起きて身体が眠っている。浅い睡眠。Rapid Eye Movement。急速な眼球運動を伴う眠り。瞼の中で目がぎょろぎょろと動いていることから、REM睡眠と名付けられた。
脳も体も眠っている。深い睡眠。
ですから、睡眠に必要なのは『副交感神経が優位な状態』なわけです。ストレスを溜めていて、悩みがあったり、あるいは興奮してしまうとその逆の自律神経である『交感神経』の方が優位になってしまいます。自律神経はシーソーのようなもので、どちらかが優位になれば、どちらかが劣位になります。したがって、何とかしてそのストレスや悩みの原因を解消することが、快眠につなげるためのカギとなるのです。
そのためには、ときにお酒の力を借りることも必要なときがあります。実は、『寝酒』というのは原則的にNG行為です。『お酒や薬に頼らない「必ず眠れる」技術』にはこうあります。
『寝酒』は害の方が大きい
寝酒は良くない。常識的に誰もが言うことです。(中略)飲酒をすると、大脳皮質が制限されます。飲み屋で理路整然と法律の話の出来る人などいませんし、難しい数学の問題を解ける人もいません。これはすべて、前頭葉や頭頂葉、言語中枢などの大脳皮質の働きが抑えられているからです。
このことによって、床に入ってあれこれ考えるということが少なくなり、入眠潜時が短くなり、ねつきがよくなります。そして、その後の深い睡眠にも入りやすくなります。この作用のために、多くの人がお酒を飲んで寝ようとするのです。しかしいいことはここまでです。寝つきはよくなりますが、その後のレム睡眠の時間は極端に短くなります。ノンレム睡眠の深度も浅くなります。つまりすぐに目が覚めてしまうのです。
寝酒によってたとえ寝つきのよさを得られても、
等の様々な問題を引き起こすことになります。睡眠は、レム睡眠とノンレム睡眠を繰り返して行われます。
このように、『δ派のノンレム睡眠』を『4回』ほど繰り返すと睡眠時間は『約7時間』になります。しかし、ベッドについてその瞬間に眠れる人はいませんから、ベッドに0時についた場合、『約7時間半』ほど経った、7時30分に起きられれば、十分な睡眠ができたことになります。これが理想的な睡眠です。しかし、飲酒によってこのレム睡眠やノンレム睡眠の質が低下し、乱れが起きます。すると、起床時にすっきりしなかったり、途中で起きてしまったり、悪夢を見たり等の問題が起き、どちらにせよ睡眠の質が低下してしまうのです。
これが常識的な『寝酒』に対する考え方です。しかしそれを踏まえた上で、『スタンフォード式最高の睡眠』にはこうあります。
なぜ『ウォッカを飲むオペラ歌手』は歌がうまいのか?
(省略)大量のアルコールは睡眠の質を下げるが、度数が強くても量が少なければその心配はない。もちろん体質もあるが、飲んですぐに眠ることで、最初の90分、しっかりと深く眠れているのだろう。ウォッカはアルコール度数が40度。なかには90度近いものもある強い酒だ。ワインはおよそ14度、ビールは5度程度だが、このようなアルコール度数の低い酒をだらだらと長時間飲むより、一口飲んで目を閉じるのは入眠にはいいと思われる。
人間の睡眠で一番深い眠りは、最初の90分のノンレム睡眠にあります。したがって、この時間の寝入りをどれだけスムーズに行えるかで、睡眠の質が変わってくるわけですね。ですからこの理論で言うと、最初の90分のためには『度数の高いウォッカを少量飲む』ことは、有益なわけです。度数の低いビールをちびちびと、結果的に大量に飲むと、先ほど言ったような、
等の問題は多少緩和されます。
また例えば、赤ワインには抗酸化作用があります。『キレイになる! フェロモンレシピ』にはこうあります。
『フレンチ・パラドックス』という言葉をご存知ですか?フランス人は動物性脂肪を多く摂取しているのに、動脈硬化が少ないという不思議な事実を表す言葉です。その理由として、赤ワインポリフェノールの影響であるという研究結果があり、また適度にワインを摂取している女性は骨密度が高いことも最近の論文で発表されています。赤ワインポリフェノールにはエストロゲンの生成を助け、ホルモンバランスを整える効果があります。その主成分であるアントシアニンは高い抗酸化作用や血液浄化作用があり、赤ワインに多く含まれるレスベラトールはアンチエイジング効果で注目の高い物質です。赤ワインの中でも熟成が進んでコクの深い『フルボディ』がおすすめです。
フルボディというのは以下の商品ですね。
赤ワインには実に、
という多種のポリフェノールを含んでおり、これはすべてビタミンEよりも強い抗酸化作用があります。ビタミンの中でもACEは抗酸化作用があり、その中でもEが一番抗酸化力があります。そのビタミンEよりも強い抗酸化作用があるわけです。デトックスの専門家は『赤ワインのポリフェノールがいいからと添加物の入っているワインを飲むのはおすすめできません』と言っていますが、
などを少量、適度に飲むなら問題はないということですから、厳選されたこだわりのワインであれば問題ないかもしれない、という事実があるのです。
各ワインのポリフェノール量
赤ワイン | 基準とした場合 |
---|---|
ロゼワイン | 半分以下 |
白ワイン | 10分の1 |
つまりここでも『適切なお酒を、少量飲む』というぐらいなら、正当化されています。もちろんこれと『寝酒』とは別の話なのですが、お酒というものはやはり『適切に、適量に』を守れるのであれば、利用することも許されるシーンがありそうです。したがって、何とかして不眠の原因であるストレスや悩みの原因を解消するためにも、ときにお酒の力を借りることも必要なときがあるのは事実ですね。
私はお酒が嫌いなのでいいのですが、もし私がお酒が飲める人間であれば、たまにある『ストレスで眠れないとき』に、少量のお酒に頼ることはあるでしょう。しかしもちろん一番重要なのは、それはあくまでも『応急処置』だということへの理解ですね。
ストレスは本来、『ストレスだと感じない』なら、ストレスではないのです。
『SEのためのうつ回避マニュアル~壊れていくSE』にはこうあります。
受け止め方で変わるストレス反応
Case…バグ発見時の反応の違い
中堅SEのAさんと新人SEのBさんが、同時に重大なバグを発見しました。二人とも『あっ!』と叫んで動きが止まり、目を見開き、唖然とモニターを見つめます(緊急反応)。
その後Aさんはこう思います。
ああ、これは前にも見たことがある。そうそうあのやり方をすればすぐに解決できる
Bさんはこう思います。
どうしよう。お手上げだ。これじゃあ納期に間に合わない。
Aさんは肩の力が抜け、呼吸は深くゆったりとしたものになり、Bさんの表情はこわばり、心臓の鼓動は高まり、手のひらにじっとりと汗をかいています。
本にはこう続きます。
アメリカの心理学者ラザルスらは、『外的刺激が自動的にストレスを生み出すのではなく、個人がそのストレッサーをどのように評価するかによって、ストレスの感じ方が異なってくる』と唱えました。
つまり人は、ストレスの原因である『ストレッサー』に直面したとき、その対処法を知っているかいないかで、そこから受けるストレスのダメージに違いがあるということなのです。『考え方』がストレスを負いやすいものであれば、いつまで経ってもストレッサーへの対処は適切なものにはできません。見るべきなのは以下の記事です。
つまり、『自分の考え方次第で、ストレッサーは単なる勉強の題材となる』のです。
うぅ、なんでいつもこうなるんだ…
と悲観的に考えるのではなく、
うむ。これでまた新しい境地を得られたか。
と、謙虚に勉強するのです。そのように考え方を完全に『インサイド・アウト』にし、自分のものにすることができれば、お酒に頼らない強く前向きで、ポジティブな性格を作り上げることができます。
ストレスは生きている限り起き続けます。大事なのは『それを避けて生きる』ことではなく、『それとどううまく付き合うか』ということですね。ストレスさえ自分の人生を充実させる『調味料』として受け入れ、味方にするのです。また、
『悩みがあって眠れないのは、その悩みの種を記憶として定着させないように自己防衛しているから当たり前だ』
という『知識』などを味方にすることも大事ですね。そうやって前向きに考えていくうちにストレスの元は小さくなって、いつの間にか副交感神経が優位になり、安眠できるようになっていきます。最後には『時間が解決する』んですね。人はいずれ最後には死にます。ですから、頭の片隅で、
こんなことで悩んでいる時間はもったいないか…
と思っていれば、そのうちその『決定的な真理』に引っ張られ、悩みの種は小さくなっていきます。そもそも、複雑に考える人だからこそ悩むのです。あっけらかんとしていて、おおざっぱな人にはない悩みですね。しかし、複雑に物事を考えられるからこそ、たどり着ける境地というものもあります。常に頭で物事を深く考える理論先行型の人は、こうした『決定的な真理』に目を向け、その真理の力を思い知るのが薬になるでしょう。
私は無宗教ですが、ブッダは言いました。
時間は流れ、宇宙はうごめき、命の火は消え、物質は分かれる。風は吹き荒れ、大地は鳴り響き、海は揺らいで、炎は燃え盛る。
この世は全て、流動変化しています。それが諸行無常という言葉の意味です。我々は生まれたときから、老化に向かっています。不老不死になることはできないし、赤ん坊のような初々しさを永遠に保つことなどできません。こうした一つ一つの『決定的な真理』を理解していくと、自然と心が軽快になります。仏教では、『それこそが極楽です』と説いています。つまり極楽というのは『あの世』のことではなく、『晴れ晴れとした心』なのです。こういう話はここまでにしましょう。とにかく言いたいのは、ストレスフリーで生きて、限られた残りの時間を有意義に生きていきましょう、ということですね。