睡眠中に足に不快感があるんだけど、これって何?
原因はいくつかあります。
等が原因として考えられます。
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睡眠中の足の不快感というテーマで言えば、いくつか考えられることがあります。それは、
です。
入眠時になるとふくらはぎに、むずむずする耐えがたい不快感を生じる睡眠障害。歩き回ることで不快感は消失するが、これが不眠の原因となる。
睡眠中に生じる四肢の周期的かつ常道的な不随意運動(手足のふるえなど)によって睡眠が妨げられる睡眠障害。
夜中に突然、脚の筋肉がつってしまい、痛さで目が覚めてしまう睡眠障害。
そのうち『冷え』に関しては別で記事を書いていますので、併せてご確認ください。
むずむず脚症候群ですが、『不眠症の科学』にはこうあります。
むずむず脚症候群(レストレスレッグス症候群)
(省略)これは夕方から夜、特に布団に入って眠りかけたときに、脚がむずむずして眠れない、というのが特徴です。もしあなたがベッドパートナーから『眠っているときに、よく足を動かしている』と言われているなら、この病気の可能性があります。
つまりむずむず脚症候群は、
らと同じように『睡眠障害』であり『病気』という位置づけになります。日本人の2~3%がかかっていると言われていて、『高齢者や妊娠中の女性に多い』とされています。ちなみにこの病気の罹患率は高く、睡眠障害の中ではおよそ三番目に高い有病率だと言われています。
睡眠障害の有病率ランキング
ではこのむずむず脚症候群の原因は何かというと、
の2つが主な原因だと考えられています。ほとんどの人が遺伝とは関係なく発症しているのですが、まれに遺伝と考えられるようなケースがあるようです。つまり、家族にも同じ症状が見られることがあるようですね。
次のような症状があると、むずむず脚症候群と診断されます。
文字通り、脚がむずむずして動かしたくなるのがこの病気の特徴ですが、主に、ふくらはぎ、足の甲、足の裏に痛みや不快さを感じ、虫がはう、むずむずする、火照る、痒いというような感覚を覚えます。そして、脚を動かす、床にこすりつける、冷や等のことをすると楽になるので、つい脚を動かしてしまうわけですね。これは、入眠時や横になっているとき、座席でじっとしていなければならないとき等に発症することが多く、『何かに熱中していると症状が弱まる』ケースがあったり、アルコール、カフェイン、向精神薬を飲んだ時にも発症することがあるようです。
そしてこのむずむず脚症候群の人は先ほどあった『周期性四肢運動障害』と関係が深く、およそ7割の人が周期性四肢運動障害を合併していると言われています。また、
の人もむずむず脚症候群を起こしやすいと言われています。
またこの病気は『高齢者や妊娠中の女性に多い』ということですが、なぜ妊娠中の女性かというと、ドーパミンを作る栄養素が関係してくると考えらています。
を十分に取ることが必須だからです。『これは効く! 食べて治す 最新栄養成分事典』にはこうあります。
鉄
(省略)また、妊娠すると血液量の増加に伴い、鉄の需要が増加しますが、貯蔵鉄の少ない潜在性鉄欠乏者は、妊娠すると貧血に移行します。妊娠前から貯蔵鉄を増やしておきましょう。
閉経前の女性はただでさえ鉄不足に陥りがちです。鉄というのは普段『貯蔵鉄』として、文字通り余分な分は肝臓や骨髄、脾臓等に『貯蔵』されます。しかし、妊娠中等の鉄を多く必要になるタイミングで、この貯蔵鉄は枯渇してしまいます。貯蔵鉄が足りなかった人であればなおさらです。
鉄を多く含む食品(可食部100gあたり)
天然あゆ(内臓) | 24mg |
---|---|
かわのり(煮干し) | 61.3mg |
干しひじき | 58.2mg |
あさり | 3.8mg |
豚レバー | 13mg |
ヤツメウナギ | 2mg |
また葉酸も同じです。
葉酸
胎児の成長に不可欠。妊娠・授乳中は必須
葉酸が不足すると、核酸やたんぱく質の合成が進まず、細胞の新生や増殖が滞ってしまいます。人間の成長のなかで、最も細胞分裂が活発なのは胎児期です。胎児期に葉酸が欠乏すると、脳神経に異常をきたしたり、幼児の発育に影響を及ぼしたりします。(中略)妊娠中、授乳中も葉酸を意識的に摂取することが大切です。妊娠の場合は、推奨量の2倍の400ugは必要だと言われています。
葉酸も妊娠中には欠かせない栄養素なのです。
葉酸を多く含む食品(可食部100gあたり)
鶏レバー | 1300ug |
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牛レバー | 1000ug |
豚レバー | 810ug |
菜の花 | 340ug |
枝豆 | 260ug |
つまり妊娠中の女性は、自然とこれらの『ドーパミンを作るために必要な栄養素』が不足しがちになるため、結果的にむずむず脚症候群になりがちだということになるわけですね。
また例えばパーキンソン病ですが、これもドーパミンと関係しています。パーキンソン病になるとドーパミン神経が減少し、ドーパミンが十分につくられなくなります。つまりこういうことです。
むずむず脚症候群の原因の一つはドーパミン不足ですから、パーキンソン病でドーパミンが十分に作られなくなることは、むずむず脚症候群の原因の一つとなるわけですね。
また『周期性四肢運動障害』ですが、むずむず脚症候群を発症する約7割の人がこの病気だと診断されます。眠っている間に、脚がリズミカルに動いてしまうのが特徴です。この病気の患者は不眠や過眠を訴えていて、多くの場合自覚していません。ベッドパートナー等に指摘されて気づくことが多いのが特徴です。やはり高齢者に多く、特に60歳以上になるとおよそ34%に見られるという報告もあります。
原因としては、むずむず脚症候群と同じように『ドーパミン』が関係していると言われています。ドーパミンの機能低下によって発症するため、むずむず脚症候群と合併しやすいわけですね。『不眠症の科学』にはこうあります。
また、周期性四肢運動と連動して血圧が上昇したり心拍数が増えたりすることがあるため、脚の運動の周期性は交感神経活動の変動によって起こっているのではないか、と考えられています。
交感神経が優位になると以下のような現象が起こります。
交感神経系と副交感神経系の働き
交感神経優位 | 身体 | 副交感神経優位 |
---|---|---|
分泌増大↑ | アドレナリン | 分泌低下↓ |
緊張↑ | 筋肉 | 弛緩↓ |
増加↑ | 心拍数 | 減少↓ |
増加↑ | 呼吸数 | 減少↓ |
上昇↑ | 血圧 | 正常値で安定→ |
促進↑ | 発汗 | 減少↓ |
拡大↑ | 瞳孔 | 縮小↓ |
抑制↓ | 消化器活動 | 活発化↑ |
低下↓ | 免疫機能 | 強化↑ |
血圧が上昇したり心拍数が増えたりするわけですね。ですから、、脚の運動の周期性は交感神経活動の変動によって起きていると考えられていて、自律神経も関係していると考えられています。
では、この2つの病気はどのようにして改善すればいいのでしょうか。一つは先ほど言ったように『鉄分と葉酸を摂る』ということが浮かび上がってきますね。もし妊娠中等の状況で、明らかにそれらが不足しているとわかれば、ドーパミンに必要なそれらの栄養分をしっかり補充しましょう。また、 『ササッとわかる「睡眠障害」解消法』にはこうあります。
むずむず脚症候群と周期性四肢運動は薬物治療で『9割以上が改善』
むずむず脚症候群も周期性四肢運動も、腎不全やパーキンソン病などが原因で起こることがあります。(中略)欧米ではドーパミンの機能を促進する薬剤(主にパーキンソン病の薬)がすでに治療薬として使われています。また、抗けいれん薬の一部も有効です。これらを治療に用いると、患者さんの9割以上は症状が改善します。現在でも、これらの薬の開発が進められています。妊婦が出産したり、腎不全の人が腎臓移植をしたり、原疾患を治すことで、完治する人も相当数います。
これらは同じくドーパミンの分泌が低下してしまっている可能性が考えられるため、それを促進する薬を投与すれば改善することが多いようです。またその逆で、ドーパミンの機能を低下させる薬を打てば、症状が出てしまうことがあるようですね。そして、
から身を遠ざけることも有効な手段の一つです。これらは症状を悪化させるため、まずはこうした要素を断ち切ることが大切になります。
むずむず脚症候群の概要
発症部位 | ふくらはぎ、足の裏、足の甲 |
---|---|
感じる感覚 | 虫がはう、むずむずする、火照る、痒い |
緩和される行為 | 脚を動かす、床にこすりつける、冷やす |
発症タイミング | 入眠時や横になっているとき、じっとしていなければならないとき |
悪化する要因 | カフェイン、アルコール、ニコチン、肉体疲労 |
治療法 | ドーパミンの機能を促進する薬剤の投与 |
周期性四肢運動障害の概要
箇所 | 脚関節、ひざや股関節 |
---|---|
症状 | リズミカルに動いてしまう |
持続時間 | 0.5~5秒程度 |
間隔 | 20~40秒程度 |
原因 | ドーパミンの機能低下 |
悪化する要因 | カフェイン、アルコール、ニコチン、肉体疲労 |
治療法 | ドーパミンの機能を促進する薬剤の投与 |
また『睡眠関連下肢こむら返り』ですが、これはこの2つの病気とは違い、ドーパミンは関係していませんが、共通点はあります。『足の筋肉がつる』というのが症状で、一般健常者の16%ほどがこれを経験しています。50歳以上の人になると、誰もが一度は経験することになるというデータもあり、60歳以上で33%80歳以上の人で50%、2か月に1回はこむら返りを経験し、60歳以上の6%が毎晩経験していると言われています。
子供や若者にはほとんどなく、妊娠中には40%に増えることから、やはりこの病気も『高齢者と妊娠中の女性』が罹患しやすいようです。ここが共通点ですね。ほとんどの人は出産後にほとんど改善しますので、妊娠中というものはとにかく色々なことが起きてしまう時期だということです。ホルモンバランスも崩れますから、その他にも、
等、様々な問題が起きますからね。体の中で一つの命が生まれるわけですから、細心の注意を払いたい時期です。健康な人でも、過激な運動や水泳、長時間の歩行などを行うと筋肉が損傷し、あるいは疲労物質が筋肉にたまって筋肉が収縮しやすくなり、この症状が出ることがあります。また病気などもこむら返りを起こす原因です。
こむら返りを起こす病気の例
対策は以下のようなものが挙げられます。
ただこのストレッチですが、無理に筋肉をストレッチすると部分的な筋断裂が起きてしまう可能性もありますので注意が必要です。しかしやはり高齢者になると多くみられる症状ということからもわかるように、これはある種の老化現象の一つだと考えることができます。私の祖母は、84歳のころに何もない場所でつまづき、足を骨折して病院に入院しました。年を取るということはそういうことなのです。
私は無宗教ですが、ブッダは言いました。
時間は流れ、宇宙はうごめき、命の火は消え、物質は分かれる。風は吹き荒れ、大地は鳴り響き、海は揺らいで、炎は燃え盛る。
この世は全て、流動変化しています。それが諸行無常という言葉の意味です。我々は生まれたときから、老化に向かっています。不老不死になることはできないし、赤ん坊のような初々しさを永遠に保つことなどできません。人間はこの『決定的な真理』からなるべく目を逸らして、楽をし、淡い希望を抱いて人生を生きますが、結局最後にたどり着くのはこういう考え方です。老化現象というものは止めることはできません。出来る限りのことをしてそれでもだめなら、それを受け入れるしかありません。それだけは頭の片隅に入れておきましょう。もちろん、まだ寿命が遠いという人は、最善の対策をして、なるべく健康で生きていけるように努めましょう。