古代ギリシャ哲学者 ソクラテス(画像)
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クリトンは幼馴染として、無実の罪でソクラテスが刑死することを見過ごすわけにはいかなかった。だからソクラテスが頑なに自分の意見を曲げずに脱獄を断ると、周囲の人の意見や、体裁、あるいは『一般常識』などを用いてソクラテスを説得する。しかしソクラテスは言うことを聞かない。
『ありがとうクリトン。確認するよ。「深く真剣に考えた意見は尊重し、浅はかないい加減な意見は無視する」これでいいね。賢い人の意見は善く、愚かな人の意見は悪なのだね。』
その通りだというクリトンに続けてソクラテスは説く。
『では、栄養のあるものを食べればよくなるのに、医者や栄養士などプロの意見に従わずに、素人のでたらめな意見に左右され悪い物を食べ、「大切なもの」をだめにするならば、それでもなお生きがいがあるだろうか。「大切なもの」というのは体のことなのだがね。そうではないのかね。』
例えばその適当な食事で『毒』に蝕まれ、体が動かなくなって瀕死になったとする。 それでもその『毒入り』の食事を食べるべきかと。
イングランドの作家、ジョージ・ハーバートは言う。
もちろん、ひとりの教師は百人の愚か者に優るわけだが、ソクラテスやジョージ・ハーバートの言う様に、より賢明な意見に耳を傾けるということが、重要なのだ。
と、クリトンは言う。するとソクラテスは続けた。
『では、それは魂がダメになる場合でも同じことだとは思わないか。 私が今日、脱獄をする。それは誰が善しとするのかね。そもそもわたしは、善いことかもしれない死を、よくわからないのに恐れて逃げることは絶対にしないし、死を恐れることは、「本当は知者ではないのに、知者であると思い込む」のと同じだと思っているのだ。もしも脱獄が正しいとわかれば脱走しよう。だが、今のところ『脱獄』も『死』も『無知な大衆に命乞いをする』ことも、正しいとは思えないがね。そんなことをして生きながらえた人生は、無意味に思えるのだ。』
『孤独』と『孤高』の意味を知らなければ、この話は理解できないだろう。
※これらの言葉は参考文献『これならわかるソクラテスの言葉』や史実に基づき、自らの生きる糧、自らを戒めるため、内省の為に日々書き留めたものです。史実を正確に把握したい方は正当な書物をご覧ください。