ワキガの原因はアポクリン腺?それともエクリン腺?
ワキガの原因はアポクリン腺です。
しかし、エクリン腺の数も多ければ、汗をたくさんかくため、ワキガ臭を増やす原因となります。
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ワキガの原因はアポクリン腺です。ではここで、ワキガ臭が発生する原因と流れを見てみましょう。
従って、まず最初にこのアポクリン腺があり、そこから出るアポクリン汗が、その他の要素と混じり、あるいは細菌によって酸化・分解され、ニオイを発するんですね。ですからもちろん、その他の要素、
等も『ワキガ臭を悪化させる要素』として数えますが、何よりもこのアポクリン腺があるかどうかということが、大きな境目となります。
例えば、人種別ワキガ体質の割合を見てみましょう。
人種別ワキガ体質の割合
これはある意味、『アポクリン腺が多い人種』という考え方ができます。黒人は全員がアポクリン腺が多い体質を持っているんですね。そして、アジア人はアポクリン腺が少ないのです。この理由として、『体臭・多汗の正しい治し方』にはこうあります。
日本人の10人に1人はワキガ体質
(省略)私の推測では、黒人は体表面の色が黒いことによって、視覚的なものより、性的信号としての体臭が、長らく重要な位置にとどまったものと思われます。しかし、欧米人にもワキガ体質が多いことも考え合わせると、最も大きな要因は、食生活の在り方あるようです。肉類などの高カロリー、高脂肪食は、野菜や穀物食に比べ、皮脂腺やアポクリン腺を刺激し、その活動を活発にさせるといわれています。肉食を中心とする欧米人のアポクリン腺は、日本人などより活発に働いていて、より多くの腺組織が残存したものと思われます。
黒人にアポクリン腺が多い理由として、
という考え方がありますが、結論的には、白人の8割もワキガ体質だということを考えて、『食生活』が大きな影響を与えているということでまとまっています。この本は、1987年に出ている本であり、30年前のものですが、同じ著者が出している最近の本でも見解は変わっていません。
また、肉食というのはアポクリン腺だけじゃなく、皮脂腺やエクリン腺にも悪影響を与えます。2011年に出ている同じ著者の本、『気になる口臭・体臭・加齢臭』にはこうあります。
皮脂腺は、動物性脂肪をたくさん摂取すると、刺激されて働きが活発になります。とくに、ワキガ体質の人が動物性脂肪をとりすぎると、皮脂腺からの分泌量が増え、それがアポクリン腺とエクリン腺を発達させる原因となり、ニオイを更に強くしてしまいます。
下記の記事に書いたように、
肉食というのは、
という理由により、まさに『体臭を強くするためにする行為』と言っても過言ではありません。それに加えて、皮脂腺からの分泌量が増え、アポクリン腺だけではなくエクリン腺も発達させてしまいます。
各汗腺類等から出る物質の働き
アポクリン汗 | ワキガ臭の原因。最初は無臭だが、細菌によって酸化・分解によってワキガ臭となる。 |
---|---|
エクリン汗 | その揮発性により発生されたニオイを拡散する役割がある。 |
皮脂 | 細菌のエサとなる物質。 |
すぐに蒸発する性質。
つまりエクリン汗は揮発性が高いので、液体から気体になりやすく、その気体がニオイを外に運んでしまうんですね。例えば、レストランの近くを通ったらいいニオイがすると思いますが、あれは我々が『液体』ではなく『気体』を鼻から吸っているわけですよね。ニオイというものは気体となって人間の鼻に届くのです。
また、エクリン腺が発達したら、汗をたくさんかくようになります。多汗症、いわゆる『汗っかき』の人はこのエクリン腺が多いわけですが、このエクリン腺が発達すると、アポクリン汗が細菌によって酸化・分解されて作られたニオイが、エクリン汗によって外に拡散されてしまいます。つまり肉食は、
のすべての汗腺類等を刺激し、肥大化させ、成長させます。従って、肉食というのが『体臭を強くするためにする行為』と言っても過言ではないんですね。ですから、もし『ワキガ体質になりたい』のであれば、肉食生活を続けることが推奨されます。
ただし下記の記事に書いたように、
ベジタリアンにはワキガは少ない?肉食と菜食が与える体臭への影響 – Inquiry. |
日本人の食生活は菜食が基本であり、肉はほとんど食べていませんでした。仏教伝来、そして生類憐みの令ですね。そして食の欧米化が進んだのは戦後であり、まだ歴史が圧倒的に短いのです。したがって、まだ日本人の体質は、肉をうまく消化するように出来ていません。その結果、花粉症やアトピー性皮膚炎等、様々なアレルギーを生み出す要因となっているとさえ言われています。
例えば、『新編 花粉症の最新治療』にはこうあります。
アレルギーを促進する食べ物があるのか
(省略)ただ、このように花粉症が増えてきた背景には、日本人の食生活の変化も関係しているだろうと考えられています。肉食中心の食生活が進むのに伴って、アレルギー病が増える傾向があると指摘されているのです。たんぱく質をとりすぎると、アレルギーを起こす抗体を作りやすい体になるためと考えられます。
こういう見解があるんですね。したがって、たとえ『ワキガ体質になりたい』と思って肉食生活を続けても、ワキガ体質以外の様々な『問題』を併発させてしまう可能性があるので注意が必要です。
やはり、日本人には日本人に合った食事や生き方というものがあります。例えばメジャーリーグで活躍するイチロー選手は、最初、海外の選手に負けないように、筋力トレーニングをしてバルクアップを図ったそうです。しかし、自分が生まれ持った『骨格』だけはどうやっても変えられません。
その骨格を無視し、筋肉だけ海外選手を真似てみても、対応できないのです。動きが鈍くなり、怪我をしやすくなり、結果的にパフォーマンスが落ちたというんですね。ですから、イチロー選手は自分に合った筋肉の付け方、そしてトレーニングの仕方、パフォーマンスの仕方というものを熟知しているのです。
例えば、下記の動画はダルビッシュ有選手の公式動画ですが、イチロー選手から教わったトレーニング法を実践しています。
【初動負荷】イチローさん直伝のメニュー! / Yu Darvish
これは、ただ単に思いバーベルを持ち上げるといったウェイトトレーニングと違って、『インナーマッスル』を鍛えるトレーニングです。これだったら、骨格が日本人だろうが外国人だろうが関係ありません。ただ単に図太く筋肉を鍛えるのではなく、怪我をしない、柔軟で、『使える』筋肉が身につきます。
まあ、日本人にどれだけ『ワキガ体質になりたい』と思っている人がいるかはわかりませんが、もしいたとしても、だからといって体質に合わない肉食生活を続けてしまうと、思ってもみないさまざまな弊害が起きることを予測しておきましょう。
もちろん、更に厳密に言うと『日本人は肉食が体質に合わない』というのは間違いで、『多くの日本人は』というのが正解です。中には肉食を続けても、ニオイも発しないし、アレルギーも発しないという人もいます。あくまでも原則的な話なので、特例はあるということも覚えておきましょう。
アポクリン汗腺は、
に存在しています。元々はフェロモンの役割をしていたアポクリン汗ですから、このような部位に集中して存在していると考えられています。アポクリン汗は、
などを多量に含んでいて、分泌されたときは無臭ですが、毛穴や皮膚の表面にある細菌によってこれらの成分が分解されると、ワキガ臭の原因となります。エクリン汗は、
であり、もっと無臭です。
洋服に出来る黄色い汗ジミは、これらアポクリン汗の成分である、
などが原因であると考えられます。つまり、多汗によってびしょ濡れになっても、それらのシミが出来ないのであれば、そこにワキガはない、と考えることが出来るのです。しかし、洋服の色が変わってしまうほど色が染みつくようであれば、それだけアポクリン汗の成分が濃いということになります。
ワキガで服が黄ばむ原因は?洗濯と予防の方法を知っておこう! – Inquiry. |
エクリン汗は、
の3種類があって、それぞれ、
生理的な汗です。では、アポクリン汗はどのような時にかくのかというと、『エクリン汗と同時にかく』というのがわかりやすいイメージです。つまり、『これをしてしまうとアポクリン汗が出る』ということはないんですね。
というようなことはないのです。エクリン汗と同時に出るので、今挙げた3つの場面によってエクリン汗をかけば、同時にアポクリン汗もかくようになります。
また、下記の記事に書いたように、
運動不足がワキガ臭を悪化させる原因となる?適度な運動で汗腺トレーニングをしよう – Inquiry. |
に加えて、汗というのは、
というものがあります。先ほどの汗の成分やその役割からして、
ということになるでしょうか。いや、アポクリン汗は分泌されたときは無臭なのです。それが、毛穴や皮膚の表面にある細菌によってこれらの成分が分解されると、ワキガ臭の原因となるのです。そう考えると、ここで言う『悪い汗』というのは『アポクリン汗』ということではなく、運動不足等によって発生する、『単なる悪い汗』ということになります。
良い汗と悪い汗の違い
良い汗 | 蒸発しやすく、また少量の塩分を含んでいるので皮膚表面を酸性に保ち、皮膚常在菌の繁殖を抑える。 |
---|---|
悪い汗 | べたべたして蒸発しにくく、ミネラル分を含んでいるため、皮膚表面をアルカリ性にし、細菌の繁殖を促す。 |
元々アポクリン汗というのは『99%水分であるエクリン汗』と違って、粘度があり、黄色い汗ジミになるような成分が含まれていますから、『悪い汗寄り』のべたついたものであるイメージがあります。
しかし、アポクリン汗は分泌されたときは無臭なわけですから、そこに『相性の悪いもの』を混じらせないようにすれば、体臭を抑制することができます。相性の悪いものというのは例えば、皮脂や細菌ですね。
上の表にまとめたように、悪い汗というのはミネラル分を含んでいるため、皮膚表面をアルカリ性にし、細菌の繁殖を促します。つまりここで言うアポクリン汗と『相性の悪いもの』は、『悪い汗』ということになります。
下記の記事に書いたように、
汗腺トレーニングによって、日々『良い汗をかくトレーニング』をしておけば、体臭の原因となるような『悪い汗』をかくことが減少し、ニオイ対策となりますから、
を最適化することを検討しましょう。また同時に、
食事
ワキガの原因となる食べ物とは?『肉食→魚食→??』で対策はバッチリ! – Inquiry. |
ストレス
ワキガの原因はストレス?健康的な生活でどこまでワキガが改善するのか – Inquiry. |
睡眠
睡眠不足とワキガには何の関係がある?寝不足が引き起こす自律神経の乱れ – Inquiry. |
といった要素の最適化も必要になります。これによって、
ということに努めれば、ワキガ臭を悪化させることを抑制することができます。また手術を行えば、
のすべてを切除できます。『ニオイをかげば病気がわかる』にはこうあります。
ところで、美容整形外科で行われているワキガ治療手術は、アポクリン腺を一つひとつレーザーで焼き切るという方法をとっています。こうして人工的にアポクリン腺を取り除いてしまっても、人体や生活にはなんの支障もないようです。
この方は、東京教育大学大学院を修了した理学博士です。嗅覚研究の第一人者として第一線で活躍するニオイのプロですから、『大人のワキガ手術』に関しては、成功率は高いようですね。
子供や未成年はワキガ手術してもいいの?何歳から出来る? – Inquiry. |
そして、エクリン腺を切除しても問題ありません。エクリン腺は身体中の至る所にありますから、ワキの下のエクリン腺を切除し、汗をかかないようにしても、その他の部位にあるエクリン腺が『体温調節』をしてくれますから、体温調節ができなくなる等の心配もないんですね。
例えば、youtuberの『おるたなchannel』のないとーさんは、片方のワキガと大量の汗をかくことについてコンプレックスを持っていました。しかし、下記の動画をご覧ください。
【速報】手術をしました。。
ミラドライという施術によってその問題を解決している様子がうかがえますね。手術ではなくこうした『施術』によって、汗腺に変化を起こさせることによって多汗症を治すことができるんですね。