揚げ物・油もの・スナック菓子はニキビの原因?
常識的にはそうです。
例えば唐辛子のカプサイシンですが、こうした刺激物は普通、ニキビの原因だと言われることがあります。しかし、例えば中国人は中華料理によくトウガラシを使いますが、彼らがニキビだらけということでもありません。この話は結構奥が深い問題です。そうではないと否定する専門家もいます。
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下記の記事に書いたように、チョコレートを食べるとニキビになるという人もいれば、ならない人もいます。私がそうです。毎日チョコレートを少しずつ運動の前に食べているのですが、それが理由でニキビができたことはありません。
ただその記事に書いたように、いくつかの古い専門書には、
等の高脂肪・高カロリー食品を食べるとニキビができると説明があります。からくりはこういうことですね。ではここで、思春期にニキビができる原因と流れを見てみましょう。
なぜ思春期のケースを持ちだすかというと、ニキビができる原因というのは複雑であるからして、一例を出すことしかできないからです。ここではわかりやすく思春期にニキビができる原因と流れを載せました。
思春期にニキビができる原因は?なぜ10代に多いの? – Inquiry. |
この流れと照らし合わせながら、高脂肪・高カロリー食品を食べるとニキビができる理由として挙げられている流れを説明すると、こうなります。
皮脂は脂質を多く摂ると分泌されるので、それによって皮脂腺が増大して皮脂が多く分泌されるということですね。もう消している以前書いた記事があるのですが、だいぶ前に書いていて、今よりも全然勉強不足で知識が足りていないのですが、その時も確かに私は『久しぶりに食べたスナック菓子』によって『腰』にニキビが出来ました。
そしてその時にあった専門書にしたがって、こう書いています。
脂肪分や糖分は、皮脂の材料となる。従って、過剰な脂肪分や糖分によって、皮脂の分泌量が増える。食べた分と消費される分のバランスがとれている分には問題はないが、消費しきれないほどの糖質や脂肪をとり、肝臓に蓄積される許容量を超えると、皮脂の分泌量が高まってしまい、ニキビの原因となる。更に、脂肪分や糖分は皮脂の性質を変化させ、皮脂を皮膚の外に排出しにくくしてしまう。つまり、毛穴に皮脂が詰まる原因となるのだ。そうするとコメド(面皰。ニキビの原因となる角栓)が形成されることになる。そして、『アクネ桿菌』などが増殖しやすい環境を作り、炎症や膿疱を招くことに繋がってしまう。
確かに一理あります。理論的にはおかしくはないので信じていたわけです。それに、よく『チョコレートや揚げ物やスナック菓子を食べるとニキビができる』と言われていましたし、その噂とも一致しましたから、信用していました。
例えば、『ニキビちゃんこそ美人になれる』にはこうあります。
食生活の改善
『油っぽいものは食べてはだめ』ニキビで悩んでいる人は、耳にタコができるほど、何度も聞かされている言葉でしょう。確かに油っぽい食事はニキビを悪化させるといわれています。また糖分の多いものも、取りすぎると体内で脂肪に変化するので注意が必要です。以下にニキビに良くないとされる食品、ニキビに良いとされる食品をご紹介します。しかし、これを守ったからといって、必ずしもニキビが治るわけではありません。
としておきつつも、ニキビに良くないとされる食品を挙げています。
必要な栄養素は『ビタミンACE(エース)』と『B2とB6』ですね。そして『亜鉛』を挙げています。その考え方は今でも通用しているものです。
ニキビに有効なビタミンとは?一つの栄養を摂っても効果は低い – Inquiry. |
亜鉛が不足するとニキビや肌荒れの原因となる?クエン酸と同時に摂ろう! – Inquiry. |
しかしやはりここでもチョコレートや揚げ物やスナック菓子がニキビの原因として挙げられていますね。このようにして、『油っぽいものは食べてはだめ』という言葉はニキビで悩んでいる人は、耳にタコができるほど、何度も聞かされている言葉なのです。私もそう聞いていました。
例えば、宮部みゆきのベストセラー小説を2部作で実写映画化した映画『ソロモンの偽証』でEXILEの妹分であるガールズグループ・E-girlsの石井杏奈さんが、ニキビ面のいじめられっ子役を演じていますが、彼女もまた家で母親に同じような助言をされて、ウンザリするシーンがあります。このようにして、多くの人がニキビと食事の在り方について考えさせられてきたのです。
映画『ソロモンの偽証 前篇・事件』『ソロモンの偽証 後篇・裁判』第2弾予告編
ただ、『これでわかるニキビの治療とケア~安易に抗菌薬に頼っていませんか?~』(南江堂)にはこうあります。
ニキビの改善には食生活の改善が必要?
現在までの報告で食生活とニキビとの関連性は証明されていない。つまり食事はニキビと関係ないと考えられる。チョコレート、ピザ、フレンチフライ、ポテトチップスを食べているからといってニキビの関連性はないと考えられるが、患者さんの中には強情に主張する方もおり、その場合は試させることも必要であると考えられる。しかし、適切な治療を行うことで食生活を改善しなくてもニキビが改善する症例は、日常外来においてもしばしば経験する。
先ほどの本は2008年よりも前に出ている本で、この本は2008年に出ている本です。しかし、2018年になってもまだあらゆる専門書には、チョコレートや揚げ物やスナック菓子等の高脂肪・高カロリー食品がニキビと関係していると主張し続けています。一体どちらが正しいのでしょうか。私がチョコレートの記事に書いたのは、
という、このあたりの要素が関係していると睨んでいると書きました。チョコレートには実際に『メリット』もあります。そのメリットが働くときは良い影響が出て、『デメリット』が働くときは悪い影響が出る。そういう2パターンにはっきり分かれるので、チョコレートを食べるとニキビになる人もいれば、私のように全くならないという人もいるのだと推測しました。
では一体どのような原因があって、それらの食事を摂るとニキビが出来る『ことがある』のでしょうか。
最も有力なのは『体質とそれまでの食習慣によって効果に違いが出る』ということです。インペリアル・カレッジ・ロンドンで生物学の学士号と修士号を取得したのち、ユニバーシティ・カレッジ・ロンドンおよびロンドン動物学協会で進化生物学の博士号を取得したアランナ・コリンが2016年に書いた『あなたの身体は9割が細菌』にはこうあります。
腸内細菌の組成比が、食べ物からエネルギーをどれだけ引き出すかを決めている。私たちが食べた者は小腸で消化吸収されたあと、大量の細菌がいる大腸に移動する。ここで最近は、流れ作業で働く工場労働者のようにそれぞれの好みの分子を分解し、吸収できるものだけ吸収する。
最近に吸収されなかったものは、私たちが大腸の内壁から吸収できるほど単純な形になっているある菌種は、肉に含まれるアミノ酸分子を分解するのに必要な遺伝子を持っているかもしれない。別の菌種は、緑の野菜に含まれる長鎖の炭水化物を分解するのに適しているかもしれない。また別の菌種は、小腸で吸収されなかった糖分子を回収するのが得意かもしれない。
私たちが食べる食べ物によって、腸内で優勢になる菌種が変わる。たとえば、ベジタリアンの腸内にはアミノ酸の分解が得意な菌種はそう多くないだろう。そうした菌種は肉の安定供給がなければ繁栄できないからだ。
つまり、『普段高脂肪・高カロリー食品を摂らない人』は、『高脂肪・高カロリー食品を分解するのが下手な腸内細菌』しか腸内に持っておらず、それによってその栄養素の分解がままならずに、皮脂腺からその余分な物質が分泌され、ニキビになっている、という考え方です。
そう推測したとき、『チョコレート』という食材が筆頭に挙げられることが見えてきます。もちろん人によりますが、チョコレートというものは、そう毎日毎日食べることはありません。つまり、『たまに食べる高脂肪・高カロリー食品の代名詞』がチョコレートなのであり、ニキビとチョコレートには因果関係がないのです。
同じように『揚げ物やスナック菓子』もそうです。揚げ物やスナック菓子をそう毎日毎日食べる人もあまりいません。もちろんそれも家庭によりけりですが、和食文化が根付いているこの国で、あまり揚げ物やスナック菓子を毎日食べる習慣はなく、無意識に普段は『体にいい和食』を食べている。しかし、たまに揚げ物やスナック菓子など高脂肪なものを食べるので、それに腸内細菌が対応できず、皮脂腺から未消化・未代謝の物質が出てしまいニキビとなるのです。
またもう一つの推測はこうです。下記の記事に書いたように、
を摂りすぎると、それらを消化・分解するのに時間がかかり、腐敗の原因になりやすいのです。また、動物性たんぱく質というのは飽和脂肪酸であり、それだけで腸内の悪玉菌を増やします。すると、その悪玉菌がたんぱく質を分解して、アンモニアなどのニオイ物質にしてしまいます。それが腸から血管を通り、体臭として発生します。ここまでは、体臭のその記事に書いたことです。
しかし下記の流れを見てわかるように、動物性たんぱく質の飽和脂肪酸を摂取すると体臭が悪化するだけじゃなく、ニキビの原因にもなると考えられているのです。
更に、『からだのニオイは食事で消す —体臭は内臓からの注意信号』にはこうあります。
動物性食品の多い都市型の食事で便秘が増加
(省略)夕食も、魚や菜っ葉のおひたし、煮しめ、切り干し大根、きんぴらごぼうなどの和風のおかずは影をひそめ、ハンバーグ、焼肉、グラタン、フライドポテト、コロッケなどの高脂肪のおかずが中心になっています。このように食事が欧米化して、昔ときわだって違ってきているのは、食物繊維をとる量が不足していることです。そして、それが便秘の一番の原因になっているのです。
ここで出てきたのは『便秘』と『食物繊維不足』です。食物繊維には、
といった効果があり、有害物質の排出(デトックス)や腸内細菌の応援のために欠かせない栄養素(物質)です。ですから、極端な話、抗生物質も含めたあらゆる有害物質を体内に取り込んでも、食物繊維さえ豊富に摂っていれば様々なトラブルが起きにくい。
ニキビを抗生物質で治すと副作用で他の病気になる?~カギを握る腸内細菌~ – Inquiry. |
『正しい玄米食、危ない玄米食~マクロビをしている人はなぜ不健康そうに見えるのか~』にはこうあります。
アフリカのウガンダの人は大腸がんが少なく、スコットランド人は大腸がんが極めて多いとし、その理由は食物繊維の摂取量に関係していると書かれています。ウガンダの人が1日36~45gの食物繊維を摂るいっぽうで、スコットランド人は1日9gしか摂っていないことがわかりました。
ですから、大便の量が多いということは、それだけ『有害物質を外に排出した』ということ。ウガンダの人は相当な量の食物繊維を摂っていて、実際にそのおかげで病気になりにくいのです。もちろん、だからといって有害物質を人一倍摂っていいということにはなりませんが、この結果は興味深いものです。
『食物繊維のすごい効果』については、上記の記事に書きましたので併せてご確認ください。これら食物繊維の効果のうちニキビに効くのは、
の効果ですね。まずは便秘ですが、詳細は下記の記事に書いたのですが、
便秘はニキビの原因になる?毒素(宿便)と悪玉菌が与える影響とは – Inquiry. |
まとめるとこうなります。
もう一つの理由がこうです。
まだあります。
つまりこの便秘の問題で先ほどの3つの要素をすべて考えることになるのですが、便秘が解消されることで有害物質の多くは排出され、腸内環境の悪化も改善します。活性酸素の発生を抑え、皮脂腺から有害物質が出ることを阻止することができるため、便秘を解消するだけでニキビの予防と対策に大いに貢献することができるのです。
大気汚染がニキビに与える影響は?有害物質をデトックス(解毒)しよう! – Inquiry. |
また食物繊維は実にたくさんのメリットを与えます。
食物繊維のすごい効果
これら食物繊維の効果のうちニキビに効くのは、
の効果ですね。
確かにカプサイシンは、上記の記事に書いたように、イソフラボンと合わせて取るとカプサイシンから生み出されたアミノ酸の「働き」を促進してくれるので効果的です。イソフラボンには女性ホルモンのエストロゲンに似た働きをしてくれますから、抗酸化作用をアップさせ、ニキビにもいい影響を与えます。特に女性ですね。
その他にも、
等の効果があります。しかし、食べすぎると排便が困難になりますから、便秘改善といってもどれほど改善されるかは人によって全く違います。『これは効く! 食べて治す 最新栄養成分事典』にはこうあります。
肥満を防ぐとうがらしの辛み成分 カプサイシン
カプサイシンはとうがらしの辛みの成分で、ダイエット効果があるとしてブームになりました。中枢神経を刺激してアドレナリンを放出させ、脂肪分解酵素リパーゼを活性化します。このため、エネルギー代謝が盛んになり脂肪が燃えやすくなります。肥満を予防するほか、健胃作用、殺菌作用もあり、疲労回復にも有効です。
もありますが、このカプサイシンが豊富にふくまれるトウガラシを下記のように油で炒めると、『高脂肪・高カロリー食品』になってしまいますから、何とも言えません。ただ、おいしそうですけどね。
2種類の唐辛子がポイント!辛いもの好きに食べてほしい辣子鶏(ラーズージー)|やみつき旨辛ごはん
またカプサイシンは育毛にも効果があると言いますが、いくら髪の毛にいいからといって、大量に摂ることはできないので過度な期待はできません。また、だからといって違う形でこれを摂取しても、必ず育毛効果が得られるわけではありません。
確かに、トウガラシの辛み等の刺激物は、ニキビにいいのか悪いのか、断言できません。断言できるなら専門家がそう言うはずですが、そうは言っていません。例えば中国人は中華料理によくトウガラシを使いますが、彼らがニキビだらけということでもありません。また例えば、太っている有名人を見てみてもそうです。マツコ・デラックスさんや、ハリセンボンの春菜さんはふくよかな体をしていますが、ニキビが全く見当たりません。また、渡辺直美さんや、
渡辺直美がついに世界進出!!/Gap PR映像
メーガン・トレーナーさんなどもそうです。
Meghan Trainor – All About That Bass (Official Music Video)
メーガン・トレーナーの日常の具体的な食事はわかりませんが、渡辺直美さんは揚げ物もスイーツもたくさん食べます。つまり、刺激物も高脂肪食品も、気にしていないのです。しかしニキビはできていませんよね。できていても全く目立たないレベルだし、むしろ肌艶がいいようにも見えます。そう考えるとやはり、『これを食べたらニキビができる』という食材はないのかもしれません。
先ほどのチョコレート等の記事に書いたように、パプアニューギニアの高地や、インドネシアのスラウェシにあるシージプシー・ビレッジ(漂流民の村)で暮らす人にニキビはありません。ニキビのない未開地の人々と、ニキビが常識の先進国の人々との違いは、もしかしたら『たまに食生活が荒れる』ということかもしれません。彼ら未開地の人々は、毎日食べるものが大体決まっていて、荒れるような食材もそう多くなく、先進国の人には多岐にわたる選択肢があり、暴飲暴食がいつでもできる。
チョコレートも刺激物も、そう毎日は食べません。したがって、その『突然の刺激』に動揺した体が、何らかの反応を起こしてニキビができた。そう考えることもできます。そうすれば、中国では日常的にトウガラシを食べるから、中国人はトウガラシを食べてもニキビができるわけではない、という考え方が出来ます。
実際のところはわかりませんね。ちなみに私はトウガラシの入った麻婆豆腐が大好きです。食べてもニキビはできません。
唐辛子と花椒が食欲をそそる!四川風麻婆豆腐|やみつき旨辛ごはん
このような事実を考えると、この『揚げ物・スナック菓子・チョコレート、唐辛子とニキビ問題』のキーワードは、
このあたりにあるかもしれません。つまり、『揚げ物・スナック菓子・チョコレート、唐辛子』そのものがニキビと因果関係があるのではなく、あくまでも相関関係に過ぎないわけです。
直接的な関係がある
因果関係はないが、何かしらの関係がある
例えばこういうことです。
揚げ物やスナック菓子やチョコレートや唐辛子などを食べる人は、少し食生活が乱れ気味である。健康志向な人であればそのような食事を食べることは少ない。そう考えると、実際にはその他にも体に悪いことを無意識にしている可能性があり、それらが総合的に関与して、ニキビができてしまっている
ではここで、ニキビができる原因を見てみましょう。
ニキビができる原因(内因性)
ニキビができる原因(外因性)
その他
ニキビは一つの原因によって発症するわけではないので、このすべての要素を最適化することが求められます。例えばニキビはアクネ菌の増殖が原因だと長い間言われてきましたが、最近の研究ではそうではなく、例えば『抗生物質』の服用が関係している可能性もあるという説も上がっています。
ニキビを抗生物質で治すと副作用で他の病気になる?~カギを握る腸内細菌~ – Inquiry. |
ニキビの原因はアクネ菌!…というのは本当なのか?知られざる真実とは – Inquiry. |
ちなみに私は普段、揚げ物やスナック菓子を食べません。月に一度も食べません。チョコレートは運動前に少しだけかじるだけで、後のスイーツは、饅頭が家にあったとしても食べることはありません。それは、ダイエットとトレーニングを同時に行っているからです。そういう生活はもう10年は続いています。
お腹の脂肪が完全に取れたとは言いませんが、ほぼダイエットも成功しています。太っていたころの私を知る人が写真を見れば、みんな驚きます。ですから私はとてもヘルシーな生活を心がけています。とても健康的な生活を意識して生きているので、あまり健康に問題が起きません。しかし、そんな私でもニキビが出来たり、皮膚炎を起こしたりすることがあります。それは決まって私が、『健康路線から外れたとき』なのです。
例えば睡眠不足や、薬物乱用ですね。これによって皮膚炎が起き、ニキビ痕が残るようになってしまいました。薬物乱用というのは、頭痛薬や風邪薬等の用法容量を守らない摂取ですね。便秘の記事に書いたように、それら有害物質によってもニキビはできます。
ですから、『揚げ物・スナック菓子・チョコレート』というのは『健康路線から外れたケースの代名詞』として挙げられるだけで、それ自体がニキビと因果関係があるということではないのではないでしょうか。それは、チョコレートの記事に書いた『ニキビのない未開地の人々と、ニキビが常識の先進国の人々との違い』を考えればより理解が深まることです。
更に難易度を上げると以下のような内容にたどり着きます。この話はとても奥が深そうですね。それは、『揚げ物・スナック菓子・チョコレートを食べるとニキビができる人と、そうじゃない人がいて、専門家でも意見が分かれている』という、この不可解な現象を考えると自然とうなづけることです。
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